第44話 良夜 🌔
合流に鷺ひとつ置く夕月夜
音楽と月とネオンの街の川
すつぽんと躍り出たる望の月
ぐんぐんと昇る満月ビルの空
盛り塩や添水そふづことんと月あかり
バーの扉にサイドカーてふ良夜かな
満月や凛とつぶらな仔鹿の目
月照らす栗鼠の巣穴を一瞬に
惣構へ城のいくさや萩の月
山城の姫の仰げるけふの月
十六夜の木の間隠れに出にけり
立待の名こそゆかしく昇り来ぬ
座布団の縁をなぞれる居待月
あふむけにあふぐ天窓寝待月
諦めを悟りし後の二十日月
犬猫のねごとや二十三夜月
宵闇や山頂ほのと明るめり
月恋の唄かそけしや月の雨
床の間の中古のアコギ良夜かな
小窓から月がおとなふ独居の夜
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