第2話 あんぱんの臍 🍨



鯖缶を丸ごと皿へ春隣

紅梅や海苔の佃煮ぽんと開く


どの家か干物焼くらし春の朝

卒業や牛丼に盛る紅しやうが


アボカドの種の無口や初燕

柿若葉ほろりと酢飯ほぐれけり


夕薄暑あんぱんの臍押してみる

オムレツにパセリの森を添へて朝


浅漬の茄子の紫紺の滲みけり

蜜豆や佳きことのみを語りゐる


舞鶴の海軍カレー白日傘

駅弁や雲丹と蟹との贅尽くし


白き朝トマトのスープ熱くして

烏賊刺の透きて緑の地酒かな


塀ごしに呵々大笑の柘榴たり

粗塩のほのかに甘き秋刀魚かな


ゆきひらに炊く白粥や霜の朝

プラモデル完成間近青みかん


熱々のショコラオーレや一葉忌

言ひかけてやめる癖あり鮟鱇鍋




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