第30話 盂蘭盆会 🎇



大甕に桔梗と百合の盆支度

投げ入れて百日草と濃竜胆


床の間に年代順に絵灯籠

瓜馬の踏ん張る足や魂祭


北窓に風の来てゐる夏座敷

浅間嶺に雲のひと刷秋近し


親せきの眉の似てをり茄子の馬

手土産の最中どつさり盆供とて


隣家より届く花火や日は西に

おろし立て赤き鼻緒に白浴衣


ひとつ星あかるく咲きて迎へ盆

クロどちを遊ばせ降らす盆の月


そ~れつと新民謡の盆踊り

都会より移住の人も踊かな


形だけ川に流せる瓜茄子

黄濁に軽石浮かべ夏の川


来夏を約しておくる送り盆

ひつそりと爪弾く糸や秋の風




さびしめば虫の応ふる門の闇


野牡丹やいつかは逢へるよねきつと




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