掌編「記憶喪失」



「――記憶がないんだってね。ところで君にこのスイッチを押してほしいんだ……、押せば上にある刃が落ちて、目の前にいる彼の首が斬り落とされる――ただの事務的な作業だよ。お願い」


「で、できません……。だって私の指一本で、この人が死ぬことなるんですよ!? できるわけがないでしょう……ッ。私は人殺しになりたくありません!!」


「記憶がなくとも常識はあるようだね――喪失したなら倫理観もないと思ったが……――仕方ない、このスイッチは僕が押すとしよう……。記憶があると心苦しいんだけどねえ」


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