第13話 クラスチェンジ
「疾風おいで」
職業部屋に入ってすぐ疾風を抱きかかえ水晶にタッチさせる。
候補は、戦士、魔法使い、僧侶、魔法戦士、聖戦士。足りないものを足すなら戦士か魔法戦士。
ここは魔法戦士もとい侍一択。
「おん!」
疾風を地面に降ろし、力の指輪と鋼の槍を装備させる。
鋼の槍は、疾風に槍術が生えるまでは杖術で運用して貰う。まあ、フランスにはステッキの先端にスパイクや仕込みナイフを装着したものを駆使するラ・カンという杖術があるのだから特に問題はないだろう。ないよね?
すべすべ饅頭:『侍というより足軽だね』
うん。言いたい事は解るよ。これに胴丸鎧、脇差しと陣笠に旗指物を装備したら足軽よね。足りないものが多いけど・・・
「取り敢えず第2階層でレベルを上げてきます。いくよ疾風」
ドローンカメラに宣言して、第二階層に向かう。
このダンジョンの第二階層は、コボルトやゴブリンが最大で二体出現する。最も余程の拙い位置取りでもしない限りは連携ぽい攻撃はされないので、ソロでもなんとか対応出来るのだ。
「わんわんぉ!」
「わんわんぉ!」
第二階層に降りてきてすぐ、武器を持たないコボルト二匹を発見!
「疾風!左が近い。対面に移動して」
「わふっ!」
疾風が移動するのを見て腰に吊ったパチンコを構える。
パチンコは、射撃・投擲スキルが無くても八割以上の命中率を誇る射撃武器だ。
「ぎゃん!」
パチンコ玉が当たり、水饅頭が体当たり。体勢が崩れたところに疾風の槍が刺さる。さらに槍の一撃。
「ぎゃう」
たちまち黒い粒子に還るコボルト。
「つぎ!」
律儀に順番待ちしていたコボルトにパチンコ玉を放つ。
二発放って二発命中!
続けて水饅頭がコボルトの腹部に体当たりを、疾風が槍でコボルトの顔面を攻撃する。急所攻撃は効くなぁ。
ドロップ品は魔石が一個のみ。悲しい・・・
しばらく進むと、小学生ほどの背丈にぽっこり出っ張った腹に緑色の肌。鷲鼻に老人のような顔のモンスターがナイフを片手に襲いかかってくる。
『ゴブリンだ!』
視聴者さんが指摘する。ゴブリン。ファンタジーでもかなり雑魚よりのモンスターたけど、人の顔を持っているので慣れるまでは倒すのに忌避感が強い。
『おお、なんと立派なマーラー様!』
視聴者さんが指摘するようにゴブリンのボロい腰布の部分がこんもりと盛り上がっていくのが見える。
これは、も、モザイク案件です!もっとも、全てのゴブリンが異性を見ておっきする訳じゃないけど、配信事故は配信事故です。
「弱点を晒すとか、バカですか?」
パチンコ玉でゴブリンの股間を狙い撃ち。
「ぎゃう!」
股間を押さえてのたうつゴブリン。疾風が槍でゴブリンの顔面を突く。
ゴブリンはナイフと魔石と牙を残して消える。
「えらい目に遭った」
ドロップ品を回収して先に進む。
『スライムのレベルが上がりました。ラージスライム、メディスンスライムに進化出来ます』
何匹かのゴブリンやコボルトを倒し、目標であったナイフも集まったとき、水饅頭が光りながら震えて、アナウンスが流れる。回復や解毒スライムが表示されないのは上位のメディスンスライムがエントリーされたからだ。
「よし。メディスンスライムにクラスチェンジ」
水饅頭の身体が光に包まれ、真っ白なスライムに変化する。メディスンスライム・・・一日一回、飲むと解毒と麻痺解除とレベル1回復魔法が同時に発動する万能薬をポーション瓶1個分以上産出するスライムで通称はお薬饅頭。テイムしたスライムからしか進化しない種類なので、テイマーなら必ず最初に育てるスライムの一匹でもある。
ちなみに攻撃時に毒化、麻痺化を付与するバッドスライムというものも居たりする。
今日はここまでにしよう。
ギルドに戻って疾風をテイムモンスターとして登録し、ナイフを納品。魔石の売却をして家路についた。
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