第3話 チャンス到来

第2話主人公描写が抜けてました。ごめんなさい。

☆‐☆‐☆‐


「さて・・・」


 ボス部屋の奥にある扉は二つ。一つは職業部屋といい、職なしで入ったときに条件を満たしていればスキルとジョブが得られ、ジョブ持ちが入ればジョブチェンジが出来る小部屋。一つは第二階層へ向かう小部屋の扉だ。

 念のため職業部屋に入って選択出来るジョブを確認する・・・残念。他の基本職にすら転職出来ない。

 今のところ取得出来るジョブは二つまで。自分は生産職である薬師と戦闘職である盗賊を取っている。

 ちなみ、基本戦闘職の掛け合わせで生まれる上位職・・・例えば戦士と魔法使いを合わせた魔法戦士(一部の界隈では昔のゲームで存在した侍というジョブで呼ばれることも)とか、戦士と僧侶を合わせた聖戦士。魔法使いと僧侶を合わせた司祭、盗賊と弓士を合わせた野伏といったジョブになるという技で実質三つのジョブが得られるようになるけど、今の自分には表示されない。基礎レベルが低く、転職に必要な能力値も足りていないという状況だ。


 第二階層に降りてくる。ここはスライムと野犬。あと走る草という見た目がまんま足の生えた雑草がモンスターが居る。

 走る草を倒すと薬草や毒消し草。レアドロップとして麻痺消し草をドロップする。ちなみに草はそのまま食べても少しだけ効果を発揮するけど、兎に角苦い。そして売り値は薬草・毒消し草が200円。麻痺消し草が500円で売れる。それらを薬師スキルでポーションに加工するとまともに飲める回復・毒消しポーションは300円。麻痺解除ポーションは600円で売れる。駆け出し開拓者は、次の装備のステップアップの為に浅い階層で走る草を討伐するのがお約束です。大体薬草100束で鍛治師が打つ数打ちのショートソードか木の盾が、300束ならオーク皮の鎧が買えます。


「耳をすませば・・・」


 通路の曲がり角で息を殺し、集中。ワンコ特有の息遣いは聞こえて来ない。


<スキル気配察知レベル1を取得しました。気配察知は3メートル以内のモンスターや罠や隠し扉を察知するアクティブスキルです。>


「おっ」


 頭の中にレベルが上がったりジョブを得たときに聞こえる不思議ボイスが流れる。気配察知は盗賊の初級スキルの一つ。どうやらモンスターの気配を察知しようと努力した結果、スキルを取得したようだ。

 ちなみに盗賊の初級ジョブスキルは小剣術という刃渡り50センチまでの小剣の扱いが上手くなるスキル。隠密という姿を隠すスキル。忍び足という足音を立てずに移動するスキル。気配察知というモンスターの存在を察知するスキル。急所攻撃(小)という、通常の2倍から3倍のダメージを与えるスキル。罠発見解除という宝箱や床に仕掛けられている罠の存在を感知し解除するスキルの六つがある。

 解除スキルは、中級ダンジョンから頻繁に出現する罠や宝箱に有効で、罠の感知解除ができる盗賊はパーティーに一人は欲しい職業。なお、それより浅い階層に出現する罠は受けるダメージが軽いので、罠を無視して解除する漢解除が主流だったりする。


「気配察知をアクティブ」


 早速スキルを行使する。なんというか、壁があるのに同心円状に何か無いかを探っているような感覚が広がっていく。戦争映画とかでよくあるソナーとかレーダーを見ているような感覚だ。取りあえずゆっくりと進む。


 感あり・・・隠密を発動させて息を潜める。

 野犬がやってきた。しきりに地面を嗅ぎながら自分の横を通り過ぎる。

 攻撃をするなら今!

 野犬の背後から首にショートソードを差し込む。


 ギャン


 ショートソードの最低ダメージは2。背後からの攻撃は通常の攻撃の2倍。盗賊の急所攻撃はレベル1でも通常の攻撃の2倍のダメージを叩き出す。なのでHPが最大8の野犬の命は簡単に刈り取れる。

 ボフンと光って野犬の魔石100円と野犬の牙50円がドロップ。

 これは、基礎レベルとジョブスキルを安全にレベルアップさせるチャンスかな。

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