第154話 破壊作戦

動き回る朝陽をサポートする為に、僕たちは敵を引き付けるように、ボス部屋の前に陣取り、派手に戦った。


理央の範囲魔法を惜しみなく使い、敵をどんどん倒していく。その間に朝陽が魔導装置に忍び寄る作戦である。朝陽は忍者スキルもあるからか、隠密行動も得意で、なんとも器用に隠れながら数多くのモンスターが跋扈する場を切り抜けていた。


しかし、それでもモンスターだらけのところを完全にステルスで切り抜けるには無理があった。ところどころで発見されてターゲットにされる。しかし、そこは回避タンクの力をいかんなく発揮して、避けて避けて逃げ切る。ハラハラしながらもなんとか魔導装置の場所まで移動できた。


それから破壊活動に入ったんだけど、これが思ったより大変そうだった。かなりの耐久力のある装置で、朝陽は何度も攻撃するけど、なかなか破壊できない。さらに装置周りの敵が無視してくれるわけもなく、それらから逃げながら装置を攻撃するを何度も繰り返す必要があった。


「朝陽、火力はあまりないからね、もう一人くらい破壊要員を増やせれればいいんだけど」

「朝陽以外であそこまでいける奴はいないし、どうしようもない。ここは朝陽に任せるしかないな」


朝陽も大変そうだけど、僕たちも余裕があるわけではなかった。恐ろしいほどの数のモンスターが押し寄せてきて、目の前の敵を倒すだけで精一杯だった。


それから全員で全力で戦って30分、ようやく朝陽が魔導装置の破壊に成功した。周囲に無色の波動のようなものを撒き散らし、派手に装置は爆発した。朝陽はそれを確認すると、すぐにその場から離脱して、僕たちの方へと戻ってきた。


「よし、いったん休憩だ! ボス部屋に戻るぞ!」


かなり疲れている様子の朝陽がそう言うと、みんな反論することもなく、素直に従った。


「ようやく一つだね」

「まだ五個もあるのかよ……正直、しんどいぞ」

「あと一人だけでも朝陽と一緒に魔導装置の破壊に回れないかな」

「だよね、そうすれば効率は二倍になるし」

「そうしたいけど、朝陽についていける奴なんて誰もいないだろうに」


「待って、私たちのPTの中に、朝陽についていっても足手まといにならない者がいるじゃない」

理央が何かに気が付きそう言う。一瞬、そんな仲間がいるかと考えたけど、理央の目線でそれが誰かがわかった。


「あっ、グミか!」

「ちょっと待っててね」


理央はそう言うと、インベントリからなにやらスカーフのような生地を取り出し、それを朝陽の首に巻く。生地は首の後ろにスペースを作っていて、そこにグミを生地に包むように乗せた。


「ほら、これなら邪魔にならないでしょ」

「確かにそうだけどよ、そもそもグミって攻撃できるのか?」

確かに火力不足の対応だから、攻撃できなければ意味がない。朝陽の問いに、グミは控えめにこう答えた。


「レベルが上がって、一応、攻撃魔法も覚えました。どれくらいお役に立てるかわかりませんが、一生懸命頑張ります!」


前向きなグミの言葉に、朝陽は頷いて納得したようだ。ともかく、これで魔導装置の破壊効率があがった。僕たちは第二ラウンドに入る為にボス部屋から出た。

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