12孤独
俺は体を自由に動かせるようになり、周りを見渡した。
「まじかよ...」
洞窟は崩壊して外が見えるようになり、そのうえ草木一つなく、土地全体がやせこけていた。
しばらく歩いて確認してみたところ森全体が消滅してしまったかのようになっていた。
さらに歩いて行くと、どんよりとしたオーラを放つ大きな壁がまるで何かを閉じ込めるように広がっていた。それは森全体を囲んでいた。
俺はそれが何かを調べていると、あることを思い出した。
「そういえば、この壁作ったの俺だな。他の人間たちや魔物を傷つけないように作ったのだったよな? 被害はなかったのか? まあ、どうでもいいか」
そうして俺はその壁を取り払った。
明るい光が差し込み、潤った地面、草木が視界に入ってきた。
「俺のせいでこの森終わったなw 結構思い入れのある場所だったんだけどな....これからどうすっかなぁ 」
そうして俺は森だった場所を抜けて歩き続けた。前までは出会った魔物のほとんどが仲間にしてくれと伝えてきたが、なぜか今は俺を見た途端怯えて逃げていく。俺は少し悲しい気持ちになった。
「あぁ…そういうことか。さすがにこのオーラと見た目だとそうなるよな 」
俺の体からは異常なほどの真っ黒なオーラを放っていた。そして見た目も変わり、一本だけだった角も二本になり、翼の枚数も4枚へと増えていた。
さすがにどうにかしなければと思っていると頭に今自分が欲しているであろうスキルが自然と浮かび上がった。
「『身体変造』」
このスキルを使い、俺は禍々しい見た目を普通の人間の体へと作りかえた。これでとりあえずは大丈夫だろう。
こうしてスキルを使ったことで気づいたことがある。さっきは当たり前のようにスキルを使ったが、俺には数え切れないほどのスキルがそなわっていることがわかった。どれを使えばいいのか分からなくなるかと思ったが、どうやら自分が使いたいスキルを本能的に導き出してくれるようだ。
「あとは、オーラだが。、、、このスキルだな。『力の抑制』」
これで少しは良くなっただろうと思ったところで、俺は一人になったことによる孤独感を感じていた。そして俺は今まで人間を避けていた理由が自分の禍々しい見た目であることを思い出した。俺のことを見て怖がらない人間はいないと思っていたのだが、姿を変えることができたので少しの希望が見えた。
自分が孤独で寂しさを感じているということを少しでもまぎらわせるために人が住む街へと向かうことにした。
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俺が今後について考えながら人が住む街へとめざして歩いていると突然、視界に映っていた景色が変わった。
この場所を俺は知っている。なぜならここは、俺が初めて神と出会った場所だからだ。
しかし目の前にいたのは前回とは違い、老婆だった。
何が起こっているかわからずあたふたしていると、老婆が呟いた。
「すまんな、驚かせてしまって。やっとお前さんを連れ戻すことができた。さて、こちらでの名前はハイルだったか? さてハイルよ、これからのことについて相談がある 」
いきなりのことに俺は頭が混乱していたが、前回会ったじじいの神よりなぜか頼りがいがありそうで、落ち着く感じがした。
「なんの相談だ? その前にあんたは誰だ? 」
俺は疑問に思ったことを口にした。
そうすると婆さんは
「すまんな。まず私は地球を治める神だ。ばあちゃんでも婆さんでも好きに読んでくれて構わんからな 」
(まじか!? 神かよ!? あのじじいとはずいぶん雰囲気が違うな。てか口調が若々しいな。口調と見た目が一致しない...よし、俺は婆ちゃんと呼ぶことにしよう。そういえば相談ってなんだ? 神がわざわざ俺に? )
俺がそう思っていると、驚かずにはいられないことを口にした。
「ハイル。地球に戻る気はあるか? 」
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