08説得
まず俺は仲間の魔物を大きな洞窟に集めた。俺はこの洞窟に住んでいる。
そして俺は魔物達に勇者が攻めてくることを伝えた上で、どうしたいかを聞いた。
「これから言うことにどのような選択をしても俺は責めたりはしない。正直に答えてくれ。俺と一緒に勇者と戦うものは右側、自分と家族の命を守るため逃げたいというものは左側へと別れてくれ 」
俺は正直、全員が逃げて欲しかった。
それでも、
「魔王様、我々は元々勇者と戦うことになるだろうと覚悟はしておりました。それと最初から我々は、いずれ死ぬことになるのならば魔王様と心中を共にすると決めておりました。一緒に戦わせてください 」
魔物たちはその言葉に賛成するように頷いている。
(そうか、 俺も覚悟を決めないといけないな )
「みんなありがとう。 勝てる可能性が低かったとしても、全員が力を合わせれば勝てると信じて勇者を倒そう!! 」
俺の呼びかけで魔物たちは「おーー!! 」と自分たちを鼓舞した。
その後、魔物たちに防備を固めるよう伝え、俺はリベルタのところへと向かった。
ーーーーーーーーーーーー
俺はリベルタがいつも訓練している場所に来ていた。
そこにはいつもより気合いを入れて訓練に取り組むリベルタの姿があった。
俺はそこへ近づき声をかけた。
「リベルタ、話がある 。実はーーーー」
俺はリベルタに勇者の話をした。リベルタは既に知っていたのかあまり驚いてはいなかった。
「安心して !! 私はハイルを守るため頑張るから !! 」
俺が今一番聞きたくなかった言葉が飛んできた。俺はリベルタに逃げて欲しかった。
「リベルタ....すまんがお前には逃げてもらえないか? 」
「なんで? 嫌に決まってるじゃない!! 私はハイルと戦う!! 」
あきらめさせるのが無理だと思った俺は一呼吸置いたあとに覚悟を決めてとあることを言うことにした。
「リベルタ。お前は人間だ。魔物の中には人間をなにかれ構わず憎んでいるものが多くいる。だから俺らに関わるべきじゃない 」
「でもハイルは私を憎んでなんかいないじゃない !! 」
「リベルタの言う通り俺は憎んではいない。それは俺がお前を使える道具だと思っているからだ 」
「え?」
俺は嫌われるためとはいえ、自分でも最低だと思うことを言い放っていた。
それを聞いたリベルタは、涙目で
「どういうこと?? 十年前にハイルが一緒に着いて来て欲しいと言ったのは嘘だったの 」
「それは本当だ。ただ、そのとき俺は仲間も頼るものも何も無かったからたまたまいたお前頼ったに過ぎない。そのあとも使えそうだったから使っていた。」
それを聞いたリベルタは泣き出した。そして、どこかに走って逃げて行った。
(あぁ....取り返しのつかないことをしたな..)
俺はとても心が痛かった。
それでも、リベルタが助かるのならばという思いから後悔はしていなかった。
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