06 奴隷の少女②
少女は抱きついていた俺に対して、
「離れて!!早く!!」
と言い放った
「離すと逃げるからこうしているんだぞ」
「 うっさい変態 !! さっきまで全裸だったやつに抱きつかれて、平気でいられるわけないじゃない !! 」
よく考えるとそれもそうだ。
俺は彼女から腕をどけた。
「まあ、これで俺はお前を悪いようにはしないと理解して貰えたかな?」
「無理」
「え、まじ? なんで? 」
「だから!!さっき言った通り...ハァ...もういいや。で、あんたは何を聞きたいわけ? 」
彼女はあきらめたように聞いてきた。それに対し俺は、
「お互いに名前を知らずに会話するのは不便だろ、だから名前を教えてくれ 」
「私、産まれてすぐに売られて奴隷だったから名前は無い...」
なんとなく気まずくなりそうだと感じた俺は
「じゃあ、お前の名前俺が決める!! 今日からお前はリベルタだ!! 異論は認めん!! ちなみに俺も名前が無い、リベルタが決めてくれ !! 」
と俺は無理やり名前を付けた。不思議とリベルタは嬉しそうに見えた。
リベルタは少し悩んだあと
「じゃあ、あんたの名前、ハイル。」
本当につけて貰えると思っていなかった俺は何も言えないでいた
「なんだ、何とか言え、不満か?」
「いや、いい名前だなと思って。ありがとな、俺に名前付けてくれて 」
リベルタは小さな声で「わたしも名前、あ..ありがと」
「え? 何か言ったか? 」
「なんでもない!! 」
「それでハイルこれか.....」
リベルタが口が止まり、リベルタは急に怯えた顔を見せて言った
「はっはhハイル、そ、そ、その角と背中のものは何!? 」
額にはえている角と背中にある翼を見て怯えていた。
リベルタは俺が裸になって会話を試みようとしていたおかげで下の角に焦点が行っていたのでその印象の強さから、服を着たときから今まで俺の外見に気づいていなかった。
少しは信頼して貰えたのにここで台無しにするわけにはいかないと思った俺はフラットな感じで返答することにした
「あー俺? 俺実は魔王? ちなみに俺ガチで弱い。 仲間欲しいからさ、リベルタ、俺について来ない? まじで頼むよぉ 」
意味の分からないことと意味の分からないことが重なり、リベルタはどうすればいいのか分からなくなっていた。そしてリベルタは頭の整理がついていないまま
「分かった。ついて行く。行くあてもないから 」
なんとなくで返事をした。
ーーーーーーーーーーー
それから、10年が経った
リベルタは20歳になり、立派な大人になっていた。正直かわいい、まじ惚れそう。それに比べて俺は老けたり、成長したりしない体になったことが分かった。
今ではもうリベルタは俺がオーラをまとっていても怖がらなくなった。それでもやっぱり、オーラは消している。いつ人間に遭遇するか分からないしね。
そして俺には他にも仲間が沢山できた。
森の中ではじめて魔物に遭遇したときに俺が魔王だからか、カタコトの人語で「ナカマニシテホシイ」と頼んできた。仲間は多い方がいいと思った俺は快諾した。
その後も頼んでくる魔物は全て仲間にしていった。
俺と俺の仲間たちがいるのは魔族の森と呼ばれている場所らしい。
これを教えてくれたのは仲間にした魔族だ。何人かの魔族はバレないように気をつけながら人里で暮らしていて、定期的に人間の情報を送ってくれるらしい。
その情報を俺はもらっているのだ。
そしてその情報の中のひとつに、無視することのできないものが混ざっていた。
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