第14話 遺書の所在。

話は突然終わって「降りてて、駐車場探してくる」と言われて、私達3人が降りたのは姫宮明日香の生家前だった。

蒲生葉子さんはボロボロの顔でインターフォンを鳴らすと、中から女の人が出てきて頭を下げてくれてから「上がって?堀切君は?」と言ってくれた。


「堀切君は駐車場を探しています。こっちの2人は、お電話でお話しした通り、女の子は関谷優斗君の妹さんで、男の子は同じクラスで私の弟です」


私と新田樹はその声に合わせて慌てて姿勢を正して、「関谷愛です」、「新田樹です」と挨拶をすると、軒先なのに姫宮明日香さんのお母さんは崩れ落ちて泣いてしまって、「ごめんなさい。お兄さんの事を…ごめんなさい」と謝りはじめてしまった。


困惑する中、堀切拓実さんが来てくれて、「中で話しましょう」と言ってくれた。

本当なら仏壇にお線香をあげたかったが、蒲生葉子さんが発作の話をして止めてきた。



私は思い違いをしていたようで、姫宮明日香さんの一家はお兄ちゃんが死んだ事は姫宮明日香さんに原因があるとして、申し訳なく思っていて…私が来たのもお兄ちゃんのことで怒りをぶつけに来たものだと思い込んでいた。


私は何一つ知らずに同じ高校に入り、知りたい気持ちから蒲生葉子さんにあった事なんかを説明した。


「そうだったの。葉子さん、どうしたら良くて連れてきたのかしら?」

「…ここで止めるべきか、最後まで全部話すべきか、私が持つ遺書を読ませてあげるべきか、それらを悩んでいて、とりあえず姫宮さんの家族の人に会わせてあげたくて連れてきました」


ん?

え?

遺書?

蒲生葉子さん?


私はビックリして蒲生葉子さんを見ると、「清算だから、私は見させてもらって写真に収めたの。今も持っているわ」と言ってスマートフォンを見せてくる。


姫宮明日香さんのお母さんは困った顔をしてから「清算するの?2人に会うの?」と聞く。


「それが条件ですから、会わないとは言わせません」


また蚊帳の外になりかけていて、困惑する私を見て「どこまで話してあげたの?」と姫宮明日香さんのお母さんが聞くと、「断片的ですが清算の手前まで、あの女の話と彼の名前は出していません」と蒲生葉子さんは答える。


「殆どは出したのね」と言った姫宮明日香さんのお母さんは、「ここで止めることもできるのよ。後はそんなこともあったのねと言って終わらせることもできるわ」と私に聞く。


「なんで終わらせたいんですか?それが知りたいです」

「…それは…。うちの明日香が悪いのよ。あなたのお兄さん、優斗さんは凄い人だった。明日香を想い、命を明日香と共に終わらせる時も、恨みも怒りも…負の感情の一切を振り払っていた。でも明日香は恨みと怒りを捨てずに命を絶った。勿論私は親だから、明日香の怒りはわかるし、同じ気持ち。清算をしてくれた葉子さんも、明日香の怒りを貰ってくれているの。でもあなたは優斗さんの妹でも、優斗さんじゃない。怒りや恨み、負の感情を持ってほしくないのよ」


ここまで聞いてどうするというのだろう?


「でも、俺たちここにくるまで色々聞いちゃいましたよ?」


新田樹の言葉に、姫宮明日香さんのお母さんは首を横に振って、「名前を知っていない。知らなければここでまだ止まれるのよ。だって噂になってない」と言うと、堀切拓実さんが「2人は優斗と姫宮さんと一緒に出掛けていた俺の事を知ってた?」と聞いてきた。


確かに知らなかった。

ハッとなって顔を見合わせた私と新田樹を見て、蒲生葉子さんは「私は卒業式より2人のお別れを見送ったから有名人なのよ。まあそうならない為にも手は尽くしたけどね」と遠い目で語った。


「今ここで引き返す事ができたら、ある程度の真相は見えたわよね?それでも良いと思う。調べたけど、皆口が硬くてわからなかった。偶然蒲生葉子に会えたけど、はぐらかされた。何も教えてもらえなかった。これからも調べてみるって言って誤魔化せばいいのよ」


確かにそれも可能だ。

だが、やはりまだ知らない事が多すぎる気がする。


「もし仮に、この先を知るとしたらどうなりますか?」


私はもう一度、蒲生葉子さんに聞いてみた。

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