しんどい?

しんどい?


 いつもよりも、しんどそうな桜木さんが顔をしている。


 それでも、笑ってる。


 なんでよ。なんでなのよ!




×+×+×+×+×




 それでも、私は笑い続けないと。

 死んだ祖父、死んだ母、みんな言ってた。

「お前は笑顔だけが取り柄だ。」

 例え、皮肉でも、例え、いじめでも、かまわない。


 私に、取り柄がある。


 それだけが重要だ。



×+×+×+×+×



「大丈夫か?」


 クラスで大人気の黒井くんから声をかけられた。

「だ、大丈夫……」


 なぜか、そこで意識が途切れた。




×+×+×+×+×



「おい、どんな無茶をした。」


 なぜか、黒井くんに責められている。


「いや、なんでもないよ。黒井くん。」


「そんなことないだろ。あと、俺のことは、正人と呼べ。」


「わかった、正人くん。」


 ここは、運命の分かれ道。



×+×+×+×+×




 笑顔だけが取り柄の私は、笑顔だけで出会い、笑顔だけで愛された。


 ただ、それだけの笑顔。


 ただ、笑っている笑顔。



 ただ、それだけ。


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