#4・信念


話の内容が変わるような改変、アドリブはご遠慮下さい。


残虐描写、暴力描写があります。

内容をご確認のうえ、上演や収録の判断をお願いいたします。


<登場人物>

・ザーグ

国家魔術士一級。基本的に敬語。

重力を操る。年齢不詳。性別不問。


・アイト

ザーグと組む国家魔術士。

身体強化魔法で筋力を強化して戦う。

ザーグより歳は若い。口調は幼め。

嗅覚過敏で魔力や感情の探知が得意。

年齢不詳。性別不問。


・ナイン

国家魔術士二級を持つ

城下町にある出版社のベテラン記者。

氷の魔術士。ザーグに付きまとう。

口調は少し皮肉っぽい敬語。

性別不問。一人称変更可。


・ユーベル

双子の魔族の兄(姉)。闇魔術士。

魔族の両親から産まれた純血の魔族。

プライドが高い。

年齢不詳。一人称変更可。性別不問。



----お話はここから----


-王国の城下町


ナイン:ザーグさん!先日、南の闇市にいましたよね?

私、見ちゃったんですよ!この目で!

そして撮っちゃったんですよ、このカメラで!

司祭であるあなたが、闇市に何をしに行ったんです?


アイト:おい、お前うるさいぞ!

どっか行け、シッシッ!


ナイン:あなたに用はありません


アイト:お前はそうかもしれないけど、

ボクたちの仕事にこれ以上関わろうとすると痛い目にあうよ!


ナイン:私、ジャーナリストですが

これ、この通り(国家魔術士二級の証を見せつける)


アイト:ぐぅ(唸る)…お前、魔術士だったのか…

悪事働いてるヤツ特有の胡散臭い匂いが強いからか…ボクの嗅覚で魔力の探知、全然出来なかった…(凹む)


ザーグ:ナインさん、

あなたは資格を掲げればどうにかなるとお思いですか?

でしたら私は国家魔術士一級の司祭です


ナイン:魔術士の級が上でもザーグさん

あなたは私の上司ではありませんので!

私はこの城下町にオフィスを構える

出版社のベテラン記者です!


ザーグ:アイト、行きましょう


アイト:おう!じゃあな!


ナイン:こほん(咳払い)ま、私

こういう扱い、私慣れていますので


アイト:…だろうね

だってあんた、業(ごう)の深い匂いで

ボクの嗅覚で感知出来なかったもん


ナイン:アイトさん、でしたね

私、あなたの異常な嗅覚にも興味が出てきました


アイト:ボクが味わってる最低なあんたの匂い…

出来るならもんなら、とっくに共有してるよ


-城下町、裏通り


ユーベル:(M)王国の城下町…

この町はまだマシな食糧がある

我は純血の魔族だ、食糧へもこだわりがある

魔力を持つ人間は魔力量に比例して味も上質だ

城下町は魔力を持つ人間が比較的多い


-ユーベルにボロボロの衣服を纏った人間が近づいてくる


ユーベル:なんだ?下民

我をただの人間だと思っているな?

愚か、実に愚かだ…

貴様らなど魔物のエサになる価値も無い

闇創成魔法、ブラックゲート



-突如大きな門が現れ、人間が吸い込まれていく


ユーベル:その門の先は地獄ではない

安心しろ…ただの虚無だ

お前たちを食おうとする魔物はいない

時間の概念も何も無いただの無だ


-城下町、カフェテリア


ナイン:あのザーグって司祭、

記者としての勘なのか

魔術士としての勘なのか

なーんか胡散臭いんですよねえ〜


アイト:って、本人に聞こえるように言うの

どーなの?それ、あんた単純に嫌な奴だな


ナイン:むむ、失礼な

まあ…嫌な奴だなんて言われたの

いつぶりでしょうか?


アイト:なんだよ…


ナイン:私って、友達いないんですよー


アイト:だろうな


ナイン:大学から大学院まで行ったのに

一人も友達出来ませんでした!


アイト:あっそ、


ナイン:私のどこが悪いんでしょうか?

学園のルールに従い

生徒の校則違反を先生方へ報告をして、

その後は教室から弾きものにされました!


アイト:ボクは学校の記憶とか

残ってないからわかんないけど、

校則違反したやつに逆恨みされたんだろ?

ま、知らないけど


ナイン:学校は集団である以上、

校則規則は守らないと

集団学習システムは成り立ちません

私はただ、それに従っただけのことです!


アイト:…単に運が悪かったんじゃねーの?


ナイン:運ですか…

たしかに、クラス分けは先生方が行います

運の要素は多少なりともありますよね


アイト:ふーん…


ナイン:そんな可哀想な学生時代を送った私に、天は魔力というギフトをくれたのです!


アイト:へー…(飽きている)


ナイン:しかも氷を操る魔術!!

氷は鏡のように反射します

この反射を利用して…役者や歌手などのスキャンダル、

大物官僚の悪事も暴いてきました!!

窮地に陥った時は氷の壁を作って

追っ手を撒いて逃げたりしました!


アイト:使い方がアレだけど…

氷の性質云々は理解して

魔術は使ってるのな…


ナイン:そんな魔術も使えて大物のスキャンダルのネタも持ってこれるこの私が!

なぜ、解雇寸前になっているのでしょうか!!

全くもって意味がわかりません!!


アイト:ボクに言うなよ!知らないし!


ザーグ:…ナインさん、あなた

先日発売された雑誌のこの記事、

あなたが書いたものですよね?


ナイン:ええ、そうです!

グラナド社の裏の顔、

魔力と科学の力で人工的に魔物を作る実験をしていたんです!

これはもう、人間社会でやってはいけない禁忌でしょう!


ザーグ:はぁ…あなたにもいちおう

正義感みたいなものはあるのですね

今回は相手が悪過ぎたのでしょう

転職も視野に入れてみてはいかがですか?


ナイン:グラナド社は魔術士どころか、

人間社会の違反者集団です!

ちなみに私、転職は一切考えてませんので!


ザーグ:その熱意がなぜ私へ突然向いたのですか?


ナイン:ザーグさんはあの事件を

直接解決したじゃないですか!

そんな教団の人間が、南地区の闇市から出てきた…

なにか関連する情報があるに決まってます!

これは私の記者としての勘ですが


ザーグ:教団にも守秘義務があります

ので、南地区の件は私の上司へ直接取材をなされてはいかがですか?


ナイン:教団の上層部…!!


ザーグ:はい


ナイン:つい、熱くなりすぎて忘れていました!その手がありました!


アイト:これが東洋で言う

「灯台もと暗し」ってやつか


ナイン:(食い気味に)…!アイトさん、あなた東洋にもお詳しいのですか?!!


アイト:え、ボクなんか全然詳しくないよ


ナイン:東洋魔術が高度であることは

世界中に知れ渡っているのに、文化まで…!!

やはりあなたたちは取材しがいがありますね!


アイト:謎のスイッチ入ったなー…めんどい


-カフェテリアの近くで悲鳴が聞こえる


ナイン:な、なんですか?!いきなり!


アイト:(においをかぐ)…ザーグ、

街中でやり合うには厄介な相手だよ


ザーグ:魔物では無いようですね

しかもこんな白昼堂々と…


アイト:微細な魔力はさっきから感じてたけど…こいつはヤバい!


ナイン:ひいい!わわわ、私はベテラン記者〜、

こここ…こういう時は避難するに越したことはないです〜!


ザーグ:ええ、あなたは街の方と共に避難してください


アイト:…鼻がひりつく、陰湿で嫌な匂いだ


-城下町中でサイレンが鳴る


ナイン:この町でサイレンなんて!

町中に魔物や魔族がいるなんて!!

感覚がおかしくなりそうです!

避難避難っと…!


ユーベル:…そこの愚民、魔力以外に

教団の情報を多く持っているな?


ナイン:ひいいいい!!何ですか!あなた!!

わ、私はただのベテラン記者ですー!

持っている情報は教団だけじゃありませんんん!!


ユーベル:そうか、なら今すぐここで殺す必要は無いか


ナイン:ですよね〜、さすがわかっていらっしゃる!


ユーベル:貴様を余の下僕にしてやろう

純血の魔族、ユーベルの配下になれるぞ

高待遇を約束しよう


ナイン:なな、何を言って…


アイト:身体強化魔法、ラピッドステップ!

(ナインの首元を掴んで)逃げるぞ、落ちるなよ!


ナイン:いやいやいや!首根っこ掴まないで!苦しいです!!


ユーベル:早いな、だが…

闇創成魔法、ブラックダガー!


アイト:ちっ、あいつ飛び道具系か!


ナイン:うわあああ!当たる、当たりますうぅぅ!!


ユーベル:ブラックダガー連撃!


アイト:このままじゃボクもこいつもやられる!


ナイン:氷創成魔法、オーロラウォール!


ユーベル:くっ…!余のブラックダガーを凍らせて落とした…だと?


ナイン:アイトさん、逃げましょう!


アイト:…っ!……あいよ!


ユーベル:逃がすか!!

闇創成魔法、ブラックウィップ!

こんな魔力障壁、余の魔術で破壊するまで…


ナイン:ふっふっふー


アイト:なんだお前、変な笑い方して


ナイン:変なとは失礼な!

私の魔術、オーロラウォールは私の意識が無くならない限り

壊されるということはありません!


ユーベル:(食い気味に)この雑魚が!

少し手間がかかったぞ


ナイン:えええええ!!私の氷の魔力障壁が壊された…!嘘です〜!!


ユーベル:貴様のあの魔力障壁、

余の手にかかればガラスよりも容易く打ち破れるわ!

純血の魔族の力を侮りすぎだぞ人間!


アイト:もう追いつかれた!

ボクの最速魔法が…!


ユーベル:黒いローブに銀十字、

教団の者だな?

いまの教団魔術士はこの程度か


アイト:なんだと…!!


ユーベル:貴様ら魔力を持つ人間へは

純血の魔族、ユーベル様の血となり肉となるという名誉を与えてやろう

闇創成魔法、ブラックウィップ!


アイト:あんたナインだったな、逃げろ!

(攻撃が当たる)…くっ、痛え!


ナイン:アイトさん!


アイト:身体強化魔法、ラピッドステッ

…っ!!くそ!略式詠唱も使えねえ!!


ユーベル:身体強化魔法か

貴様が天より授かった魔法は

余の闇魔法には到底敵わない


アイト:っ!んなもん、やってみないとわかんねーだろ!それに!!


ユーベル:っ!


ザーグ:重力創成魔法、グラビティグレース!プラス300!


-ユーベルが地面に打ち付けられる


ユーベル:ぐあっ…!!

よ、余が…地面に、打ち付けられるとは…!


ザーグ:プラス500!!


ユーベル:うぐ……!っ…クソがぁ!!

や…闇創成…魔法…


ザーグ:その重力の中で詠唱するとは…

プラス3、……うぐっ…!!


アイト:ザーグ!無理するな!!

こっから先はボクがやる!


ザーグ:…プラス100!!


ユーベル:ブ…ラック、…ゲート!


ザーグ:ぐっ…!!


アイト:ザーグ!!

まずい!あの黒い門、その辺のイスやら来やら吸い込んでいく!

人間も吸い込むのか!!


ナイン:そんなことはさせません!!

氷創成魔法、オーロラウォール!


ユーベル:なっ…!!

余のブラックゲートに氷の壁が!!

先ほどと同じようにまた壊すまでだ!


ナイン:先程とは比じゃないですよ

純血の魔族さん


アイト:さっきのよりも障壁の魔力が洗練されてる…!


ザーグ:…(呼吸を整えて)これは…

完全詠唱をした魔術ですね


ユーベル:貴様…!!余計なことをしおって!!

今すぐ息の根を止め、余の食糧となるが良い!

闇創成魔法、ブラ…っ!!(蹴りをくらう)

くそ!邪魔をするな!!


アイト:ボクってさ、普段から鍛えてるんだよっと!


-アイトとユーベルの肉弾戦が始まる


ユーベル:くっ!…人間の分際で!


アイト:おいしょ!てやあ!!


ユーベル:って!…余の顔を狙って蹴りを入れてくるとは…!!


アイト:教団の魔術士の中でも

ボクの魔力以外の戦闘力、上位なんだよね!


ユーベル:貴様!魔力を持っていながら、

魔術以外で戦うとは…!!

魔術士としての誇りは無いのか!


アイト:誇り?そんなもん、ただのくだらないお荷物だね!

最後に生きてた方が勝者なんだから!


ユーベル:くっ!蛮族か貴様は!!


アイト:なんとでもどーぞ!

そのくだらない誇りのせいで

負けたらたまったもんじゃないね!


ユーベル:余の誇りを「くだらないもの」扱いするとは…!!


アイト:そのプライドの高さがお前の弱点だ!!

(ユーベルの腹部へ蹴りを入れる)


ユーベル:ぐはっ…!!


アイト:さあ、洗いざらい吐いてもらおうか

魔族がこの城下町へ何しに来たの?


ユーベル:くそが!!


-膝をついたザーグの元へナインが向かう


ナイン:ザーグさん、大丈夫ですか?


ザーグ:ええ、大丈夫です…

まさかあなたに助けられるとは

思いもしませんでした


ナイン:私、あなたに関する情報を

まだ何も得ていませんので

勝手に死なれては困ります

教団員の記事は読者に人気でして

当社の雑誌の発行部数にも

大いに貢献しております


ザーグ:ふ、そういうこと…ですか、

実にあなたらしい…


ナイン:今回は目の前で起きたことを

私の目で見たまま、記事にしますよ


ザーグ:では今後、私に付き纏うことは止めてくださいね


ナイン:それは無理です


ザーグ:(ナインを無視する)……まずは目の前の事態の対処をしなければ


ナイン:あのユーベルという魔族…

私、どこかで見た気がするんですよね…


ザーグ:あなた…

あんな高位魔族を見て

よく生きていますね


ナイン:私は国家魔術士二級を持っていますから、

たとえ高位魔族が相手でもバッチリ取材出来るように鍛えてますので!


ザーグ:はぁ…それは多分、

あなたのジャーナリストとしての根性が為せるものかと


ナイン:私のメンタルの強さは

あなたがよーく知っていますでしょう


ザーグ:ですね

ということで、今回も手を貸して頂けますか?


ナイン:はい、勿論です


-ユーベルとアイトが対峙している


ユーベル:…っ!

よくも余の顔にケガを負わせたな!


アイト:膨大な魔力量に頼ってるから

泥臭い戦い方なんかしてこなかったんだろ!


ユーベル:貴様はここで殺す…!!

闇創成魔法…


アイト:(食い気味に)させるかよ!!

おらあ!!


ユーベル:…ふっ(鼻で笑う)


-突然、空間から鎌を持つ魔物が現れ

アイトの肩を斬る


アイト:ぐあっ!!…なんだと…?!


ユーベル:余は高位魔族、

人間なんぞ相手に詠唱破棄までさせられるとは

正直、予想外で不愉快極まりない…


アイト:この鎌を持ってる骸骨…

詠唱破棄で…召喚魔法だと?


ユーベル:余の闇魔法は詠唱が短いほど効果が上がる…純血の魔族の為せる芸術だ

今の貴様程度、1分もあれば片付くだろう

行け!デスサイザー!!

その人間の首を落とせ!!


ナイン:氷創成魔法、オーロラアロー!


ユーベル:…っ!何?!!

デスサイザーの手が、鎌ごと氷に覆われていく…!

あんな弱小な魔力で、どうやって…?


ナイン:情報も魔術も要は使いよう、ですよ


ユーベル:貴様…!!


ナイン:私の氷魔法は自由自在

私という人間をそのまま体現した、

と言っても過言ではありません


アイト:ん?さっきの鎌で斬られたところが氷で覆われてる…


ナイン:ついでに止血もしておきました


アイト:とんだ貸しが出来ちまったな…


ユーベル:どいつもこいつも何なんだ!!

魔族こそ魔術の最高の使い手であるはず…!!

なのにこいつらは…!!


ナイン:人間の知恵と生存本能を侮らないことです


ユーベル:余は食糧の吟味をしに来ただけだ…

何故こうなった…!!


ザーグ:重力拘束魔法、グラビティコフィン!


ユーベル:貴様ら…!!


-突然、太陽のような光が地上へ向かって降りてくる


アイト:くっ…この眩しさはヤバい!!


ナイン:目をつぶらないと視力が持っていかれます…!


ザーグ:うっ…!!


ユーベル:…メルク!!


ザーグ:メルク?


ユーベル:貴様ら、運が良かったな

今日のところは撤退してやろう

今度は余が直々に貴様らの首をはねる!

首を洗って待っていろ!!


ザーグ:略式詠唱が…相殺された…!!


ユーベル:さらばだ、愚鈍な人間共


アイト:目くらまして尻尾撒いて逃げるとはな!!

今度お前に出くわしたらまたボッコボコにしてやるよ!


ナイン:うぅぅぅ!…はやく、魔力障壁を張らないと!近くの人たちの視力もやられます!


ザーグ:重力創成魔法、グラビティネスト!

…私の魔術のみでは近隣の人々を守れません!!

ナインさん、お願いします!


ナイン:読者が減るのは無視出来ない大問題です!

氷創成魔法、オーロラウォール!


アイト:(M)…この光の匂い、間違いなく魔族のものだけど

嫌な匂いがしない…

どんな使い手なんだ??


-光魔法の効果が切れる


ナイン:ふぅ…なんとかなりましたかね?


ザーグ:ええ、本当に助かりました…

うっ、…


ナイン:あんな無茶な使い方をするからですよ、ザーグさん


ザーグ:すみません…それ程までに

あの魔族の魔力が洗練されていましたので


アイト:二人とも!大丈夫か?!


ザーグ:はい、なんとか

それよりアイト、今止血しているその氷が溶けたらまずいので…早く医療機関へ行ってください


アイト:ん?…


ナイン:久しぶりに魔力を使いまくったので、私は休みますよ〜


アイト:お、おいっ!ナイン!!

(氷魔法が解除される)

ぐあああ!!傷が開いた!!

痛ってええ!!


-城下町、外壁


ユーベル:くそっ!!純血の魔族である余が…あんな人間共に…!!

お前は町の中へ来るなと言っただろう

全く…あんなヤツらの前に

お前のような選ばれし純血の魔族が出てくるなんて、魔族の名折れだぞ!

…だが、助かった

感謝する、メルク


-メルクと呼ばれた魔族はユーベルへ微笑みを向ける


-城下町、教団入口前


ザーグ:先刻、グラナド社の記事が原因で解雇寸前と言っていましたが…

ナインさん、教団へ来る気は無いのですね


ナイン:はい、私は私のやり方

そして生き方がありますので


ザーグ:ナインさん、あなた…

国家魔術士の試験、一級とれると思いますよ


ナイン:いやいやいや〜

ただのベテラン記者には不要な資格です

たまに教団員の方へ力を貸して

恩を売っておいて…

密着取材とか、雑誌読者の求める真実の記事を書く!

全ては私の書く記事を待つ読者の皆さまの為に…!!


ザーグ:あなたは相変わらずですね


ナイン:今度、アイトさんの密着取材をさせてくださいね

あの方、見た目も読者さんに人気が出そうですし…

能力も人間の理想を具現化したものですから!

まさか、あーんな高位魔族を魔力無しでフルボッコにするなんて!

今から記事を書くのが楽しみで仕方ないです!


ザーグ:アイトに言っておきます

ですが、密着取材中でも我等の仕事が最優先ですのでお忘れなきよう

その前にアイトの大怪我が治ってからにしてください


ナイン:そこんとこはもちろんですよ!


ザーグ:本当にあなたという方は…

潔いほどに自分に対して真っ直ぐですね


ナイン:ふっふっふ(笑)

私は他の記者とは格が違いますので!

今後ともよろしくお願いします、師匠


ザーグ:その呼び方は…もうやめてくださいと言いましたよね


ナイン:たまには呼ばせてください

ザーグさんがいなかったら

私は拗らせた大人として生きる道しか無かったんですから


ザーグ:それはあなたの中身の問題です


ナイン:中身の問題とは、非常に厳しいお言葉です


ザーグ:人間の中身は長く生きれば生きるほど、変わることを否定しますから


ナイン:頑固ですもんね、師匠も


ザーグ:あなたに言われたくありませんよ、ナインさん


-笑い合う二人



-#4・完-

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