9 封印を目指して
「あ、あの、どうなったんですか、これって……」
ソフィが戸惑った様子でたずねてきた。
「急に壁がいっぱい出てきましたね……」
と、ベローナ。
どうやら『こちら側』にいるのは、俺とソフィ、ベローナの三人だけのようだ。
直前に目にした壁の様子だと、教室内は何分割かされて、それぞれ数人のグループに分けられているんじゃないだろうか?
できれば――合流したいところだ。
今の状況はクラスメイトや教官たちが少人数で分断され、各個撃破されやすくなっている。
ここが異界のダンジョンと融合したなら、当然異界のモンスターが生息しているはずだし、できるだけ大勢で固まったほうがいい。
「まず合流を目指そう」
俺はソフィとベローナに言った。
「今は、異界の――いや、正体不明の魔法現象によって教室内がいくつかの区画に分けられてしまっている。簡単に言えば校舎内がダンジョン化したようなものだ」
「ダンジョン化……」
「得体の知れない現象だ。このダンジョン内にもしかしたら罠の類やモンスターがいるかもしれない」
「えっ」
「あくまでも可能性の話だ」
俺はおびえる二人に言った。
実際には、俺はこれが『異界のダンジョン』である可能性が高いと知っているし、そうであれば内部に罠やモンスターが生息することも知っている。
けれど、それはいずれも『一周目』の世界の知識だ。
みだりに明かすわけにはいかない。
『一周目』では異界のダンジョンは最初に世界中にいっせいに出現した。
今回はどうだろうか?
やっぱり世界中に同時発生したのか、それともこの魔法学園に限定的に出現したのか。
ともあれ、まず考えるべきはこのダンジョンのことだ。
こいつは魔法学園と重なるように出現し、おそらく大半の生徒はダンジョン内に閉じこめられただろう。
現状で――絶対にやらなければいけないのは、このダンジョンのコアを封印することだ。
それができないと、ダンジョン内のモンスターは一定時間を経過した後、地上に出てくるのだ。
そうなれば近隣住民が無差別に襲われる。
そして、大勢の犠牲者が出る。
俺の両親や姉も『一周目』ではそうして殺された。
ただ、ダンジョンコアの封印は容易なことじゃない。
できれば、ルリアたちの協力を仰ぎたい。
「だから順序としてはまずルリアたちに合流。それからダンジョンコアを探し出して封印だ」
「えっ、ダンジョンコア……?」
またキョトンとする二人。
しまった、これも彼女たちが知らない知識だ。
どうも俺は焦っているらしい。
考えを上手くまとめ切れていない。
落ち着け、俺。
絶対にダンジョンコアを封印し、犠牲をゼロにするんだ――。
***
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