すみちゃんのプロフィール集め

 卒業式まであと少しの頃、皆にプロフィール帳を書いてもらったことがあった。その時はいっぱい集まって嬉しいって思ってたけど、やらなければよかったと今は思う。


「ねえねえ、れーちゃんのこと好きって書いてる人がいるよ!」

「キャー!」「だれ~?」


「えっとね……」

 知らない名前が書かれてた。おかしいな。このクラスでしか配ってないはずなのに。


「しらはって、誰?」


 あの後すぐだったな、れーちゃんが行方不明になったのは。

 

 しらは様のお嫁さんになるんだって、れーちゃんは嬉しそうに笑ってた。大人達もさ、夏に白羽しらはの矢が立ったって、名誉なことだって、嬉しそうにしてたしさ。


 私は中学校も高校も、ずっとれーちゃんと一緒に行けると思ってたのになぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る