第3話 身体を綺麗にしましょう!

 「あと1日だけティオを家に置いておく」という父親との約束をしたリタ。早速リタは森で倒れてボロボロだったティオを綺麗にするべく彼を連れて浴場へ足を運んだ。


「それじゃあティオ、一緒にお風呂に入りましょ!」

「え?お風呂?」

「服も葉っぱとかで汚れてるから、お洗濯しましょ!ついでに、身体も綺麗に洗お!」

「う…うん、でも、"一緒に"って言うのは?」

「もちろん!私も一緒に!」

「・・・・・!!??」




 ティオは顔を赤らめて絶句した。

 それもそのはず、いくら幼いとはいえ年頃の男の子だから…

 そんなティオの思いとは異なり、リタはティオと脱衣所に到着し、堂々と彼の前で衣服を脱ぎ、同時に服を脱いだ拍子にリタの胸がぷるんと揺れたのが見えた。12歳とは思えないほどの大きな胸に、透き通るような肌…そして綺麗なピンクの髪色…まさに今のリタは生まれたままの姿であり、そんな彼女にティオは見惚れてしまっていた。


(おっきい…それに、綺麗…)

「ん?どうしたの?ティオ?」

「わ!な、なんでもない!!」

(照れてる?照れてるところも可愛い!)

「さあ、ティオも脱いで!」

「や、やめて~!自分で脱げるから~!」


 赤面で照れるティオの姿を愛らしさを感じたリタ。そして衣服を全て脱ぎ終えた2人は浴室へ入り、体を洗い始めた。

 まずはリタがティオの後ろに移動し、背中を洗うことから始まる。そしてそんな状況の中、リタの胸が背中に当たっている事に気が付くも、その事を言えないまま、今度は前を洗い始めようとしていた。


「ティオ、足を広げて、こっち向いて」

「だ、大丈夫だから!自分で洗うから!!」

「遠慮しなくていいから!ほら、お姉ちゃんに見せて!」

「や、やめて~!」


 ティオの抵抗もむなしく、リタは堂々と彼の男の子の部分を見てしまう…しかし…


「あは!ちっちゃ~い!」

「もう、やめてよ~!」


 抵抗を突破したかのごとくリタはティオの体を洗い終えた。次は頭を洗うことにした。よく泡立っている洗髪の薬剤にティオは目を光らせていたが、同時に目の前にある全裸のリタに再び赤面をしていた。更には今彼の目の前には無防備にも剥き出しのリタの乳房があり、自分の頭を洗ってくれている反動で胸が微かだが揺れていたのがはっきりしていた。

 そんな中でティオはのぼせそうになったが、頭から洗髪薬剤を洗い流す為のお湯をかけられた事で我に戻り、今度はリタから背中を流すように言われた。当然これもティオは赤面しつつ、彼女の背中を拭くのだった。


「うわ~…お肌スベスベ…」

「そう?うふふ!ティオのお肌もスベスベで髪も綺麗だったよ…」

「え!?いや…そんな…」

「うふふ!」


 体を洗うのを終えた2人は、ようやくお湯に浸かる事となった。大きな湯舟に2人、しかも子供だけはさすがに広すぎであった。お湯に浸かった2人は同じ方向に体を向け、リタはティオをギュっと抱くようにして暖まるのだった。


「ティオ、お風呂暖かいねぇ~」

「う、うん…」

(あわわわ…胸が僕の背中に…当たってる…)


 自分の背中にリタの大きな胸が当たっている事を言うべきか言わないべきかの瀬戸際の中で、ティオは目をぐるぐる回して再び赤面をしていた。もはや、"思春期真っただ中の男の子"と言ったまさにその状態であったから…。


「ねぇ、ティオはどこから来たの?」

「え?」

「ティオ、森で見つけた時鞄とか無かったし、どこから来たのかな~って思ってね?」

「え~っと…」

「家族はいる?お父さんやお母さんは?お兄ちゃんやお姉ちゃんはいる?弟か妹は?」

「え…あの…」


 リタによる突然の質問攻めに困惑したティオであったが、彼の表情は沈んでいた。

 それはまさに、何も解からないからであるかのように…


「ごめん、僕何も分からないんだ?」

「え?」

「実は僕、お父さんとお母さんの顔、知らなくて…生まれた時から、ずっと1人なんだ…」

「え…!?」

「気付いたら、どこかで育てられていて…、そこで僕悪い事させられてて、でも"嫌だ"って言うと叩かれて痛くて…怖かった…」


 リタは理解した。ティオがどんな所でどんなに辛い思いをしていたのかというのを…


「そうだったんだね…」

「だから、もう怖いのも痛いのも嫌になって、逃げたの…とにかく走って…誰かに追いかけられたらと思ってて、でも疲れちゃって…」


 リタは更に察した。あの時森で見つけたティオは、そんな辛く酷い思いをしていて、必死でその場所から逃げてきたということを…


(だから起きた時、私を見てあんなに怯えたんだね…)


 そんな恐怖に縛られていたティオ。

 だが、リタは笑顔で返答した。


「でも、もう大丈夫だよ」

「え?」

「孤児院には、ティオの知ってる怖い人達はいないから、きっと楽しく暮らせるよ!」

「本当?」

「本当だよ!」


 その言葉を聞いてティオはホッとしたような笑顔をリタに見せた。


 だが、そんな時、湯船の一ヶ所から湯がブクブクと音を立てていた。


「ん?なんだろう?」

「え?あ、あれって…」


 疑問に思うティオに反してリタは覚えがあるかのように絶句していて、案の定その絶句の真相はすぐに明らかになった。


「はー!!」

「は、え、な、なに!?」

「やっぱり、サティお姉さま!」


 湯から出てきたのは、リタの姉であるサティであった。当然ティオは驚き、リタも驚いていた。

 しかも、リタにとってはこの事態は初めての事ではないようで、リタは怒っていた。


「リタ!まだ小さいとはいえ、男の子と一緒にお風呂なんていけません!」

「ちょっと、何て事を言うんですか!!」


 実はこれはサティの悪い癖の1つであった。リタを愛しすぎるサティは、14歳になってもなお妹とお風呂に入りたがる事があり、これはリタにとっても1である。

 また、この事態によりティオも絶句していた。目の前にリタの姉のサティが現れた事に加えて、彼女の裸姿やリタよりも大きな彼女の胸を前にして、またしても年頃の男の子としての感情が暴発寸前だったからであった。


「あなたがティオね、さぁ、リタから離れなさい!」

「ちょ、止めてくださいお姉さま!ティオが嫌がってます!」

「な、なんでこうなるのお~!!」


 リタからティオを離そうとするサティとティオから離れたくないリタの引っ張り合いが始まっていた。当然ティオは引っ張られて困っているが、引っ張られている拍子になんとサティの手がティオから離され、同時にティオは離れた反動でリタに接近しあるアクシデントが起きた。


「きゃ!」

「え?」


 突如として"ムニュッ"とした感覚を感じてティオは、目を開けると自分の両手がリタの胸に押すかのように触れていた。


「え!あ、ご、ごめんなさい!!わ、わざとじゃ…」


 必死で謝罪するティオであったが、当のリタは…


「もう、ティオもやっぱり男の子なんだね…いいわよ、ティオ可愛いから、私の胸触ってもいいよ」


 リタは怒る所か笑顔で許してくれた。だが、彼女の言葉にはどうも抵抗があるようでティオは焦っていた。


「リタになんて事を!」

「ち、違~う!ごめんなさ~い!!」


 結局、サティに怒りの眼差しを向けられて、謝り続けるティオであった。

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