第8話 仲間
「おはよう。良く眠れたかな?」
「ええ。久々に。」
次の日、シャルに起こされ、朝食を出される。
まともな寝床は久々だ。
「あの村の状況は何となく把握している。魔王様も敵となる奴等のスキルを先に把握しておきたいらしくてね、私達が派遣されたんだ。」
「……。」
昨日は暗くて良く見えなかったが、この人、結構な美人だ。
黒く綺麗な髪を腰まで伸ばし、それを一つに纏めている。
隠密や、戦闘には向かない気もするが、それでも隊長ということはそれなりの実力があるのだろう。
「……君が気になっているであろうアーロンさんのことについて話そうか。」
じっくりと見つめていたのを勘違いされてしまったようだ。
まぁ、良いが。
「君のお父さん、アーロンさんは魔王軍、隠密部隊隊長として君の村に潜伏、現地でスキルの報告、もしくは排除していたんだ。そして現地で妻を迎え、君という息子を授かった。」
村では魔王の手先だとか言われていたが、本当に魔王の手先だったのか。
流石に予想外だ。
「しかし、長きに渡る潜伏は国から怪しまれた。その黒髪は村では目立ってね。君が生まれて数年後、君を襲った王国の隠密部隊が現れ、君の父を殺害した。まだ幼かった君は難をのがれられたがね。」
「……じゃあ、あいつらも仇ってことですね。」
シャルは頷いた。
「そうだ。しかし、奴等は強い。君のお父さんは陽炎部隊でもトップクラスの戦闘能力を持っていた。が、殺された。魔王様より与えられたナイフを持ってしてもかなわなかった。」
その言葉を聞き、懐のティルを思い出す。
「そう。そのナイフだ。魔王様より与えられたナイフ。スキルテイカー。禁じられた手法により太古の昔に作られたスキル奪いの魔剣だ。」
(……黙っていてすみません。)
ティルが謝る。
が、感謝こそすれ、謝られるようなことはされていないと思う。
「そのナイフは呪いのようなものがあってね。持ち主が死ぬ際に、他のスキルを全て忘れて持ち主のスキルを奪うという物がある。」
「なぜそんな呪いが?」
シャルは首を横に振る。
「まぁ、詳細は不明だ。そのナイフも喋りたがらないしで、魔王様も難儀されていたらしい。なにせかなり古い魔剣だからね。」
「成る程……。」
ナイフを見る。
つまり、『隠密』スキルは正真正命父のスキルなのだ。
「さて、色々と聞きたい事があるだろうが、君には私達に協力してもらいたい。」
「協力?」
シャルは笑顔で話す。
「取引しよう。」
「……はぁ。」
困惑する俺を他所に、シャルは笑顔で続ける。
「私達は全力で君に協力しよう。『キャンプ』を持っている隊員もいるしね。今後、君の復讐劇には必ずやあの王国軍が邪魔をしてくる。それの露払いをしよう。稽古もつけてあげても良い。」
「見返りは?」
「陽炎部隊の臨時隊員としてこの村の村民のスキルについて、詳細を教えて欲しい。魔王軍は今後脅威になる存在を今のうちに排除しておこうと考えている。それに協力してほしいんだ。」
しばらく考える。
正直、受けて損は無い。
今後、あいつ等が邪魔をしてくるのなら復習が失敗する可能性がある。
いや、殺されるかもしれない。
そのためにも彼女達の協力は必要だろう。
「……分かりました。でも、一つだけ条件を追加させて下さい。」
「なんだい?」
「……父の事を教えて下さい。」
父の事は殆ど知らない。
だから知りたいのだ。
「あはは!良いよ!そんなことなら何でも話してあげるよ!これからよろしくね!アルフレッド君!」
「……よろしくお願いします。」
シャルと握手を交わす。
初めての仲間だ。
……少しノリはキツイが。
保有スキル
『隠密』 強制的に相手の認識外になる
『不意打ち』 相手が認識していない場合、攻撃力が二倍。
『奇襲』 相手が認識していない場合、攻撃力が五倍。
『俊足』 発動してから三十秒間、速度が五倍。
『回復』 致命傷以外なら即座に回復可能。
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