第6話かつて自分は天使だった

 かつてレオンはここともかのの世界とも違う世界で天使だった。その背中には黄金の羽が輝いてた。これはどの天使にもない、レオンだけのものだった。

 至高なる天上神に一番最初に作られたが故に黄金の羽を与えられ、全ての天使たちの長となり、時には天上神の代理も務める。それくらいの偉い天使だった。


 レオンがいた世界は神々と天使たちが住まう天界、人間が暮らす人間界、魔族が暮らす魔界の3つの小世界から成っていた。

 その世界での人間たちは裸に近い布だけを身にまとい、獣を追いかけるような原始的な営みをしていた。


 神々はそんな人間たちのことを気にかけることはなく、自分たちは自分たちの営みをしていた。魔族は魔族で魔界で自分たちの営みをして、お互い不可侵だった。それが普通だった。


 だが、ある時、魔族たちが人間界に侵攻したことで、3つの世界を巻き込む大きな戦いへと発展し、人間界は戦場と化し、地獄となった。

 レオンも天使たちを率い、人間界で魔族たちと戦い抜いた。


 最終的に天上神と魔王が直接ぶつかり合い、あまりの強大な力により世界が揺れた。

 それから、世界が、仲間の天使たちがどうなったのかレオンはわからない。

 気づいたら、今の世界にいたからだ。

 この世界から動やったら出られるのか皆目見当がつかない。


 世界を彷徨い、自分のいる世界とは違うことを知った。

 その後、とある貴族の婦人の子どもとして転生した。そちらのほうがある程度の自由が効く衣食住も地位もたやすく手に入り、都合が良かったからだ。


 レオンはいつか元の世界に戻り、戦いがどうなったのか知り、そして、今度こそ魔族を完膚なきまでに叩き潰すことを唯一の目標としている。

 そのために、元の世界に戻るための手がかりをずっと探していた。


 かのはレオンにとっての希望となった。

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