第4話 竜の聖域への道

朝霧が森を覆い隠し、ヴィヴィアンとイリオスはひっそりとした道を進んでいた。足下には落ち葉が敷き詰められ、その上を歩く音だけが静かな森に響き渡る。周囲は霧に包まれており、視界は極めて限られていた。


「この霧は私たちを隠してくれるかもしれないわ。でも、同時に私たちの視界も奪っている。気をつけて進まなくちゃ。」ヴィヴィアンが言うと、イリオスは静かに頷いた。


「心配無用、ヴィヴィアン。私の感覚は霧を通しても道を見つけることができる。」イリオスの声は落ち着いていて、ヴィヴィアンに安心感を与えた。


彼らが進むにつれて、霧は徐々に晴れ、巨大な山々がその姿を現した。山の頂には、伝説の竜の聖域へと続くと言われる古びた石の階段が見え始めた。


「あれが竜の聖域への入口ね。私たちの旅も、ここからが本当の試練みたい。」ヴィヴィアンは、目の前に広がる景色に息をのんだ。


「恐れることはない。私たちは互いに信じ合っている。その絆が私たちを導く。」イリオスの言葉はヴィヴィアンの心を強くした。


石の階段を上りながら、彼らは周囲の自然の美しさに心を奪われた。鳥のさえずりや、風に揺れる木々の音が、彼らの耳に心地よく響いた。しかし、その美しさの中にも、未知の危険が潜んでいることを彼らは感じ取っていた。


突然、狩人たちの待ち伏せに遭う。狩人たちは影から現れ、彼らに向かって矢を放った。ヴィヴィアンとイリオスは即座に反応し、戦いに挑んだ。イリオスは巨大な翼を広げ、狩人たちに向かって火を吹き、ヴィヴィアンは魔法の力を使って狩人たちの動きを封じた。


「私たちの道を阻む者は、誰であれ退けるわ!」ヴィヴィアンの声は決意に満ちていた。イリオスもまた、彼女の横で力強く唸り声を上げた。


戦いの後、彼らは再び竜の聖域への道を進み続けた。今回の戦いが、これから彼らが直面する試練の序章に過ぎないことを、ヴィヴィアンとイリオスは理解していた。しかし、彼らは恐れることなく、互いに信じ合い、共に前進することを誓った。

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