第29話 覚醒の兆し

「それで、どうしてサキには隠してたんですか?」

「それは……本人に頼まれたから……」

「わたし麟斗のとんでも秘密知っちゃったかも……!?」


バレたら嫌われちゃうかも……

そんな不安を抱えつつ私は彩夏ちゃんに質問をする


「いつから麟斗はやってたの?」

「去年の2月くらいじゃない?」

「登録者何人くらい?」

「8万とか9万とか?」


結構頑張ってるんだ……

それもわたしがモデルになる前から

頑張るのはいいけど頑張りすぎるのは嫌だ


「それよりなんでわかったんだよ……」

「何のことですか?」

「すっとぼけんなよ…… なんでわたしのこと草原更紗だってわかったんだ?」

「いつも配信見てるからですね」

「なにそれ嬉しい!スパチャしてね!」

「毎回してますよ」

「そうなの!?」


真白ちゃんオタクだったんだ……

衝撃の事実にわたしはびっくりするが今はそれどころではない


「じゃあまさか麟斗いつも朝眠そうにしてたのって……」

「あぁ、撮影とかランクバトルの影響をもろに食らってるな

あいつ普通に月末休んでるし」


去年から朝すごく眠そうにしてた理由がわかった

彩夏ちゃん曰く睡眠時間はあまり取れてないとのこと

無理はしないでほしい……


「それで、そいつどんな奴なの?わたしまだ全然知らないんだけど……」

「えっ……んーと、ね……なんて言えばいいんだろう……」


真白から麟斗のことを聞かれてしまい返答に困ってしまう

幼馴染とでも言っておこうかな?

それか彩夏ちゃんの弟……

だめだ、その2つはもう知られている

独占欲というものが働いて麟斗のことを真白に知られたくない


「んぁ?麟斗のこと知りたいのか?後で教えてやるからな」

「いいんですか?」

「大切なリスナーさんのお願いだ 聞かなきゃな」


彩夏ちゃんが変なところで男気を発揮して真白に麟斗のことを教える約束をしてしまう

うぅぅ……わたしの麟斗の良さがみんなに伝わっていく……嫌だよぉ……

これまではわたしにべったりでどこにも一緒だったのに

わたしがモデル始めたり麟斗が配信始めたりとそれぞれの道を歩み始めていている

このまま関わり減ってもう会わないとかあるのかな?

そうなったらさみしいよ……



「あ、そろそろ麟斗の誕生日だ」

「彩夏ちゃん、それ自分のお誕生日も祝って欲しいって言ってるようなものだよ?」

「バレちゃったかぁ……」

「まさか……双子なの?」


真白はとても驚いている

そういえば彩夏ちゃんと麟斗の関係言うのを忘れていた


「グッズ爆買いして高額スパチャします……!」


真白は一気にオタクモードになってしまったのでそれを制御しつつ

わたしも麟斗へのプレゼント何にしようかなぁ……

と考えていた



彩夏side


「麟斗〜帰ってきたよ!」

「おかえりなさい」

「相変わらず頑張ってるわね」

「大会が近いからね」


なんとか麟斗がやってるゲームについての情報は吐かされなくて済んだ

麟斗大好きサキに追いかけ回されるとサキ大好き麟斗は集中できなくなるかもしれないから

にしても本当は2人は両想いなのに全然気付いてないのはちょっと笑える

2人ともごまかしてるつもりだけど好きなの丸わかりなんだよ……


「あや姉、今日の夜はマカロニグラタンでいい?」

「うん!麟斗の作るお料理は全部美味しいから!」

「サキのために修行がんばったからね!」


そういいながら手慣れた様子で料理する麟斗

わたしは大会のことが気になって今の様子を聞くことにした


「大会は大丈夫?」

「うん ついでに普段の設備を新しくしたよ」

「麟斗結構お金設備に使うわね……」

「大事だからね」


麟斗曰く大会はホテルに泊まるのでいいが

普段のランクバトルや公式ネット大会等は基本的に自宅なのでしっかりと設備は整えたいらしい


「新しく買ったのは椅子とコントローラーだよ」

「そうなんだ」

「期待しててね!」


そう言う麟斗の目は覚悟が決まってるように見えた

いつか覚醒して大物になる

そんな予感がした



───────────────────────


次回

双子の誕生日

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