Sid.94 幸福の鐘を鳴らし幸せを祈願

 電話中にちょっかい掛けるってことは、絢佳さんが嫉妬したのか。

 笑顔のように見えて目は笑ってなかったからな。だが、それもまた嬉しく思えるんだよ。嫉妬してくれるってことは、少なからず愛されてるってことだし。

 しかしだ。


「翔真君って」

「不可抗力です」

「大祐さんの血を色濃く反映してるのかな」

「母親の血も混ざってます」


 だから親父の浮気性は半分程度しか受け継いでないと思う。絢佳さんが納得するかは別だけど。

 俺の股間を弄りながら、親父の浮気性は已む無しとしたが。浮気を認める代わりに、こうして俺と旅行ができて、体の結び付きも可能になった。すっかり穴兄弟だけどな。

 それでも。


「旅行中だから少しね」


 そう言うことか。

 せっかくの二人きりの旅行なのだから、余計な邪魔が入らないようにってことだ。普段は心愛に対して嫉妬したりしない。してるかもしれないが、それを感じさせないからな。

 むしろ心愛と付き合えと背中を押してる。家では母親の顔が多く占めるわけで。


「電源切っておきます」

「それだとナビできないでしょ」

「じゃあ放置します」

「それも可哀想かな」


 複雑な心境って奴か。経験値が圧倒的に不足してるから、どう対処するのが正解なのか分からん。

 親父なら最適解を見出せるのかもしれんけど。


 地球岬までの道順を調べ、絢佳さんの手が股間から離れると、移動し始める。

 そのまま取り出して抜いてくれても、と思ってしまったけどな。暫し元気な状態でのナビだった。


「右折右折で六九九号線です」


 駐車場を出て右折し直進。白鳥大橋信号で右折。都度指示することで迷わず運転できる。

 六九九号線に入ってしまえば。あとは道なりに進むだけ。

 途中で左車線に入る必要がある。注意するのはその辺だろう。母恋ぼこい駅前で右折し直進、そして室蘭八景のひとつ、金屏風を右折だ。


「渋滞なしで十六分程度ですね」

「じゃあ二十分くらい見込んでおけばいいかな」


 途中、渋滞気味の場所もあったが、概ね順調に進み無事に地球岬に着いた。

 駐車場に車を置いて外に出ると、分厚い雲に覆われる空だ。


「雨降りそうですね」

「早めに鳴らして帰る?」

「そうですね」


 駐車場の端にはコンテナハウスの土産物店がある。他にも二つばかり。自販機も複数あるようだ。

 やきとり、あるじゃん。


「やきとり、ありますね」

「ここで買って食べる?」

「戻っても面倒ですし」

「じゃあ鐘鳴らしたら買おうか」


 とりあえず展望台に向かい雨が降る前に、鳴らすものを鳴らして幸福祈願をしておこう。

 俺が少し先を歩き、後ろから絢佳さんが付いて来る。

 展望台の手前に鐘があり、鐘の上に地球を模したオブジェがあるのか。絵鞆えとも公園の鐘はシンプルだったな。

 あまり人も居ないことで、さっさと傍に行き二人で紐を手にし鳴らしておく。


「展望台より、こっちの方が高い位置にあるのね」

「なぜか展望台が低い。晴れてれば絶景だったんでしょう」

「ちょっと惜しいけど、じゃあやきとり買って帰ろうか」


 駐車場に戻り売店で室蘭やきとりを買う。

 愛想のいいおばちゃんが相手してくれるようだ。


「ソフトクリームあるのね」

「暑いですし食べます?」

「そうね。バニラ抹茶がいいかな」

「俺は、バニラチョコで」


 やきとりをひとつとソフトクリーム、それと揚げ餅を買い、車に乗り込み車内で食べる。

 食べている間に雨が降り始めたようだ。


「通り雨程度ならいいんだけど」

「ゲリラ豪雨は勘弁ですね」


 昨今、雨も降り方が異様な程だからな。一気に降って道路が冠水するし。

 食べ終えると帰ることにした。

 エンジンを掛け走り出す頃には、土砂降り状態で前が見にくい。打ち付ける雨音が騒々しいし、視界は悪くなってるしで、慎重に車を動かす絢佳さんだ。


「ワイパーがあんまり役に立たないの」

「仕方ないですよ。こんな降り方じゃ」


 ゆっくりと移動していたが、伊達市辺りまで来ると雨脚も弱まったようだ。


「少し回復してきたかな」

「別荘に着く頃にはあがりそうですね」


 凡そ一時間程掛けて別荘に戻ると小雨が降る空模様だった。

 ガレージに車を置き別荘に入るが「明日、給油しておこうかな」と言ってる。


「必要ですか?」

「えっとね、せっかくだから函館に行きたいなって」

「あ、いいですね」

「だから給油」


 ここからだと車で高速を使っても二時間半は掛かる。距離にして百六十五キロはあるようだし。


「絢佳さん、疲れませんか?」

「今夜はゆっくり休むから」

「無し、ですか?」

「もう。少しならいいけど」


 代わりにしっかり肩を揉んで、だそうだ。そんなのはお安い御用だ。喜んでやるし、ついでにばるんばるんも揉み放題。なんて考えていると「翔真君。お勉強」だって。

 まあやっておく必要はあるか。


 夕方まで休憩を挟みながら勉強し、絢佳さんが夕食の支度をする間、俺は風呂掃除を済ませておく。ベッドメイクやトイレ掃除もやる。

 リビングは絢佳さんが掃除する、と言って聞かず、お任せすることに。

 風呂とトイレ掃除を済ませリビングに戻ると、薄着を通り越して肉感の凄まじい姿が。


「えっと」

「暑くなっちゃって」


 下着姿で掃除してるし。

 どうせだから全裸で、なんて思ったりもするが。


「下着は身に着けてるんですね」

「脱いだ方がいいのかな?」

「いや、あの。まあ」


 俺を見て微笑みながら「こんな姿も愉しむ余裕を見せないと」だそうだ。


「でも、まだ若いから仕方ないかな」

「いえ。絢佳さんの下着姿は扇情的すぎるんで」

「じゃあ、どっちがいいのかな」

「どっちもです」


 そんなもの決まってる。絢佳さんがどんな格好をしていようと、その全てが好きだし愛してるし欲しい。できるならば親父と離婚して、俺と結婚して欲しいくらいだ。

 さすがに不可能だとは理解しているけどな。


「翔真君はそのまま?」

「じゃあ、パンツ一丁で」


 笑ってるし。

 互いに下着姿のまま夕食を済ませると、食器を片付けテーブル上にばるんばるんを乗せる絢佳さんだ。


「じゃあ肩、お願いね」


 そう言いながらブラを外し、巨大な肉塊がテーブル上を占拠する。まさに占拠されてるよな。

 肩に手を当て揉み解すとリラックスした様子だ。


「翔真君上手」

とこ?」

「そっちはもう少しかな」


 まだ合格じゃないようだ。確かに現状、若さに任せた勢いだけだろうけど。きっちり満足させるには経験が足りてない。絢佳さんが教えてくれるといいんだけどなあ。

 手取り足取り股間取り。

 親父を喜ばせるだけのテクはあるだろうし。それでも役立たない親父って、罪だよなあ。


 デコルテ全体をマッサージするが、俺の手は自然とばるんばるんに導かれる。

 しっかり重さを感じ取り、柔さとめり込む感触も愉しむ。


「あのね翔真君」

「あ、駄目でした?」

「違うの」


 俺の方に顔を向け「ベッド」とか言ってる。これはあれか、その気になったってことで。

 じゃあってことで二人でベッドルームに移動し、邪魔な下着を脱ぎ去り励むことに。

 事が済むと「夜は無いから」だそうだ。

 明日は長距離移動だし、負担が大きいから已む無しだな。俺が運転できるようになれば、絢佳さんを蹂躙し捲る。ひと晩中悶えさせてあげよう。

 それまでにテクも磨かないとな。


 シャワーを浴びてさっぱりしたら、暫しリビングで寛ぎ、絢佳さんの髪を乾かしスタイリングもしておく。


「慣れたかな」

「たぶん少しは」


 時々頼んじゃうからね、だそうで。

 絢佳さんに触れられるなら、何でもするぞ。

 あ、そうだ。


「えっとですね」

「なぁに?」

「その、下の」

「もう」


 そろそろ手入れしようと思っていたから、明後日くらいに教えると言ってる。

 それって手入れの仕方ってことだよな。大開脚絢佳さんを拝めるのか。堪らん。


「じゃあ寝ようか」

「明日は何時に?」

「八時半くらいには出たいかな」


 明日の勉強は無しだそうだ。往復するだけで少なくとも五時間だもんな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る