Sid.81 旅行前日に女神の荷物チェック

 夕食後、名残惜しそうな表情を見せる心愛だ。

 帰らないといけないからな。明日から旅行で家には居ないし。


「一週間です?」

「そうだ」

「一緒に行きたいです」

「それは無理だな」


 帰って来たら嵌め捲る、とか言ってるし。


「どうせ、継母さんとやり捲るんです。だったらあたしも」

「あのなあ」

「翔真先輩には、あたしを見て欲しいんです」


 分かるんだけど、俺の気持ちの問題があるからな。出会うタイミングの問題もあったと言えよう。

 先に心愛と出会っていたら。

 いや、絢佳さんを見たら結局同じだ。あらゆる魅力を詰め込んだ、完全なパッケージ。片やいろいろ不足してるわけで。性格は悪くないし表情も愛らしい。でも、及ばなかったり足りないものがある。経験してきたものが醸し出す雰囲気だ。

 高校生程度に望むのが間違いなんだが。


 とりあえず家に送り届けるが、やっぱり家の中に連れ込まれる。母娘揃って引き摺り込むからな。

 今日は父親も居て「娘をよろしく」とか言ってるし。気軽に言うなっての。こっちはただの高校生だぞ。しかもできの悪い。

 母親もせっせと心愛の背中を押す始末だ。


「その、笠岡君の継母だけど、凄いんだって?」


 おい、おっさん。奥さんが睨んでるぞ。気付いて無いのか?


「凄いとは?」

「あれだよ、ボンキュッボン」


 奥さんの視線が突き刺さってるんだが。

 家庭内不和が生じないといいけどな。


「一般的に言えば、そうなんでしょう」

「そうかあ。一度見てみた……」


 と、ここで奥さんを見て表情が引き攣ってるわけだ。アホだな。こういう話は男だけで話すものだろ。きっとあとで説教食らうな。

 俺の知ったことではないが。

 それにしても、絢佳さんが凄いって、誰から聞いたんだ?

 心愛か、それとも母親が思わず口にしたか。心愛なら仕方ないだろうけど、母親が自ら口にしたのであれば、自業自得の面もあるだろうな。

 お互い様。男が本能で求めるものがあるのだから。興味だって抱くだろうし。


 そろそろ帰る、となったら心愛がキスを迫るし。

 玄関先で親の目を盗んで。

 暫しお別れだからキスくらいはと、抱き寄せて唇を重ね合わせる。

 離れると寂しそうな表情を見せるし。なんだよ、その捨て犬みたいな表情は。まさにワンココア。


「翔真先輩、どっぷり嵌まって来そうです」

「それはないな」

「嘘です。出し尽くすんですよね」

「だから」


 またもキスをされ、おいこら、こんな場所で股間を弄るな。反応しちゃうだろ。


「出さないんです?」

「出せるかアホ」


 玄関先で何してやがる。心愛にしてみれば自宅であっても、俺にとっては他人様の家でしかない。

 なかなか帰してくれないが、明日に響くから帰る、と言うと情けない表情を見せるし。眉尻下がって口もへの字になって。ちょっと泣きそうだし。


「とにかく帰って来たらだ」

「同じだけ抱くんです」

「えっとだな。親が聞いたら卒倒するぞ」

「しないです。問題無いんです」


 帰るには嘘でもいいから同意しておくしかない。

 頷くと「絶対ですよ」とか言って、やっと解放された。


 心愛の家をあとにするが振り返ると、まだ玄関前に居るし。まさに捨て犬ワンココア。

 俺、たぶん猫派。犬派じゃないと思う。

 適度に放置してくれて、適度に構うくらいが丁度いい。

 あ、絢佳さんって、どっちかと言えば猫っぽいな。突き放すこともあるし、べったりの時もあるし。適度な距離感を保ってる感じもあるし。だから心地良いのかも。

 心愛は常時べったりだからなあ。時々鬱陶しい。


 家に帰ると絢佳さんが出迎えてくれる。


「明日の準備できてる?」

「まだですけど、すぐ済みます」


 心愛が居たせいで準備ができてない。すぐに部屋に向かいバッグに替えの服を詰め込む。下着は一週間分。替えの服は上が三着で下がひとつで充分だ。万が一、無いとは思うが寒い場合に備え、上に羽織るものを一着。

 下着だのシャツは必要なら現地で洗濯すれば済む。

 タオルを三枚、ハンカチを三枚。靴下だけ七足。


 ボストンバッグに全部無理やり押し込んだ。意外と膨れるものだな。

 さて、絢佳さんの荷物もチェックしておこう。

 ダイニングに行くと、しっかりばるんばるんを乗せてる絢佳さんが居る。


「準備終わった?」

「済みました。それと」


 絢佳さんの荷物チェックと言うと。


「あのね、大丈夫だから」

「キャリーはひとつで済みましたか?」

「えっとね」


 二つあるな。目が泳いだ。


「どこに置いてます? 絢佳さんの部屋?」

「だからね、私のは」

「内容物のチェックをしますから」

「ねえ、翔真君。大丈夫なの」


 聞かない。二つも要らないし。

 二階に上がり絢佳さんの部屋に入ると、しっかりキャリーが二つ用意されてるし。

 付いて来た絢佳さんが「翔真君。レディの荷物なの」とか、調子のいいことを言っているから、不要な荷物は置いて行くのが鉄則です、と言うと。


「もう。下着も入ってるんだけど」

「何度も見てますよ」

「でもね、ほら、見たら愉しみが無くなっちゃうでしょ」

「問題ありません。下着より中身です」


 暫しの攻防の末荷物を開けると、その瞬間、溢れ返る服、服、服、オープンテディとベビードール。実にエロいものまで。まあエロいランジェリーは入れておこう。

 しかしだ。


「絢佳さん。ひと月くらい滞在する気ですか?」

「なんか増えちゃうの」

「要らんです」


 厳選して半分に減らすことに成功した。


「ねえ、これだと」

「問題ありません」

「もう。翔真君たら」

「旅行上手は荷物が少ない、です」


 化粧品も多いんだよな。ここまで要らんだろと思うが、さすがに何が何なのかまで分からん。容器を見て重複していそうなのを省いているが、まあ、何か足りない場合は現地調達してもらおう。


「明日早いんですよね」

「えっとね、七時半にタクシーを呼んであるの」

「電車とかバスじゃないんですか」

「電車、混むでしょ」


 空港直行バスはターミナル駅まで行く必要がある。

 荷物を抱えて混雑する電車には乗りたくない、ってことか。

 旅行気分も萎えるよな。


「空路ですよね。羽田?」

「そう。新千歳まで一時間半くらいかな」


 新千歳空港まで行き、そこからレンタカーで洞爺湖方面に、だそうだ。

 道路状況にもよるが別荘まで一時間半程らしい。


「じゃあお風呂入って寝ようか」

「一緒ですか?」

「もうね、それでいいと思うの」


 最高だ。

 絢佳さんの体を洗い捲って、いや触り捲ってあげよう。


 いそいそと風呂場に行き、揃って服を脱ぎ捨て、素晴らしいばるんばるんを拝む。

 風呂に入ると流しっこ、なんて言って互いの全身をだな。

 実に堪らん。我慢ならんけど今日はすでに出してる。それでも使える状態になるからな。若いがゆえに勢いだけはある。

 結果、風呂場で愉しんでしまった。


「もう、翔真君。激しすぎ」

「なんか抑えが」

「若いなあ」


 親父と比べたら圧倒的だろう。水平程度にしか上がらないのとは違う。腹に張り付く勢いだからな。

 風呂から上がり少しの間、絢佳さんと寛いだら。


「今日は翔真君の部屋で一緒に寝ようか」


 寝られるか不安もある。だって絢佳さんが隣に居るとなればな。

 仲良くベッドに寝そべると、心愛とは違い過ぎる部分がな。圧倒的物量は他の追随を許さない。

 まじで顔面が埋もれる。

 極めて寝心地の良い枕。夢見も良さそうだ。


 因みに全裸だ。

 他に誰も居ないのだから、パジャマなど着る必要すらない。全裸で家の中をうろうろできるからな。

 ばるんばるんに埋もれながら寝た。

 ついにで絢佳さんの手は俺を握ったままで。


 目覚まし時計が鳴ってる、と思ったら止まった。

 目を開けると絢佳さんが起きて止めたようだ。


「起きないと」

「ですね」


 まあ掛け布団を捲ると朝から元気になってしまう。弩級のばるんばるんが目に飛び込むからな。

 揃ってベッドから出て服を着て、出掛ける準備をする必要がある。愉しむのは現地に到着してからだ。

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