Sid.78 節操無しと下手くそは噛み合わず

 三十過ぎた女性が高校生程度を恋愛対象として見るか。

 絢佳さんも言っていたが、普通はあり得ないらしい。絢佳さんの場合は同情を愛情と履き違えた結果、妙な恋心が芽生えたのだろう。

 とりあえず火がついてしまえば、あとはひたすら延焼し続け、いずれ燃え尽きるわけで。

 その時に冷静になり何をしていたのか、と後悔するが、絢佳さんの場合はそれも織り込み済みだろう。

 絢佳さんを見ると、うんうんと頷いてるし。


「でも、翔真先輩と継母ママさんは」

「仲がいいだけでしょ」


 良好な親子関係を築けている証拠だと。それだけ互いに信頼できる関係なのだと。

 ナイスアシストだ。バカだと思いそうになったが、まあ、見抜けない時点でお察しって奴か。ワンココアの方が見抜けてる。毎日のように来てるってのもあるな。

 つまりだ、毎日観察されたら容易にバレる。でも他人の目からは、そう簡単には見抜けないってことで。


「翔真先輩。今はそう言うことにしておきます」

「事実だからな」

「絶対違うんです。いずれ尻尾を掴むんです」


 すでに掴まれてるけどな。


「そろそろお暇しないと」

「あたしは泊まるから」

「あの、こんなこと言ってますけど」


 もう今夜と明日は諦めたよ。旅行先でその分、激しく萌えればいい。

 どうせ明日も泊まると言い出すだろうし。


「不安だからだと思うので、ご両親が許可するなら」


 迷惑にならないよう節度を保ちなさいよ、と言って帰るようだ。

 玄関先で見送るとワンココアの奴、俺を睨んで「翔真先輩。いつしたんです?」とか言ってるし。


「何を?」

「惚けても無駄です。したんですよね」

「してないぞ」

「目が泳いでるんです」


 くっそ。俺に嘘は吐けないのか。ポーカーフェイスも無理。すぐ動揺するからかもしれん。

 絢佳さんは苦笑気味ながら無言だ。どうやらワンココアを警戒してるのだろう。


「今日と明日は翔真先輩を寝かせません」

「心愛が先に寝ると思うぞ」

「寝ないんです。翔真先輩も寝させません」


 そうか。頑張ってくれ、ワンココア。

 二階に上がろうとすると、絢佳さんも一緒に来るから見ると。


「お風呂掃除しないと」


 昼間は全裸生活をしていたからか。家事の多くはできてないんだっけ。

 階段を上がるのだが、さっさとワンココアが上がり、パンツを見せびらかしてるし。薄いとは言え左右に揺れると、それなりに魅力はある。

 俺の後ろに絢佳さんが居て「階段も少し掃除機掛けないと」と言ってるな。まじで今日は何もできてない。


「明日でもいいんじゃないんですか」

「駄目。今日中にやっておかないとね」

「継母さんは翔真先輩を構い過ぎなんです」

「確かにね。少し遠慮させてもらうから」


 まじか。

 なんて。この場を凌ぐための方便って奴だ。旅行先で好きなだけ萌えられるからな。

 二階に上がると絢佳さんは風呂場へ。俺とワンココアは俺の部屋に。

 部屋に入るとベッドに腰を下ろし、隣に座るよう促してくるし。俺の部屋なのに主導権を握るのはワンココアかよ。


「翔真先輩」


 そう言うと枕元に忍ばせていた熊を取り出し「全部使うんです」とか言ってるよ。使い切れるかっての。幾つあると思ってるんだよ。幾ら俺が旺盛でも使い切れる程に回数は熟せない。やり過ぎて空気出るだろうし、互いに擦り切れるぞ。

 しかも今日は絢佳さんに出してるし。あ、そうだった。

 これ、やったら薄い、とか言ってバレるパターンだ。まずったな。


「今夜はやめよう」

「何言ってるんです? 今日と明日はやり捲るんです」

「擦り切れて出血するぞ」

「大丈夫です。潤滑ゼリー持ってきました」


 こいつ。


「先にお風呂ですか? それともやってからですか」

「あのなあ」

「どっちがいいです?」

「どっちも要らん」


 喚いてる。

 だったら先にやってから風呂だとか、やり捲って汁塗れになるんだとか。アホすぎて言葉を失うっての。


「汗臭いから風呂が先だな」


 そう言うとまたも腕の臭い嗅いでるし。犬だ。ワンココアの本領発揮だな。


「少し臭うんです」

「じゃあ風呂だ」

「一緒です」


 もう諦めた。風呂は一緒に入るしかない。

 こいつの性欲、何とかならんのか。前も後ろも平面なのに、性欲だけは絢佳さんを上回るな。少しは節度ってのを意識した方がいい。

 俺が言えた義理じゃないが。だから言わんけど。俺もまた絢佳さんを前にすると、抑えが効かなくなるからなあ。


「今、絢佳さんが風呂掃除してるから、あと三十分くらいだな」


 まあ遠慮しないワンココアが居るし、すでに服を脱ぎ始めるし。

 丸出しになるとベッドに寝そべり「翔真先輩も脱ぐんです」って、昼は絢佳さんと全裸生活、夜はワンココアと全裸生活ってか。

 ろくに服を着ることもないようだな。


 それにしても、平たいなあ。

 なのに反応する俺って節操が無いよ。


 結局、二人揃って全裸。

 俺のを弄ぶワンココアが居て、無い胸を弄びたい俺が居る。

 無いんだよ。

 平ら過ぎて。


 絢佳さんなら手から零れる程の圧倒的量感なのに。まあそれでも柔さはあるからな。これはこれで。

 三十分を経過すると「お風呂入るんです」とか言って、そのまま部屋を出るようだ。今日はションベンガキも親父も居ないから、まあ、そのままでも問題は無いんだけど。

 こいつ、家でもこうなのか?


 小さなケツを振りながら風呂に向かい、ドアを開け蓋を外して体を流すワンココアだ。

 ついでに俺のも洗ってるし。


「元気ですぅ」

「そりゃなあ」

「年増には負けないんです」


 いや、思いっきり負けてる。若さ以外は。肌の張り艶に関しては、さすがに絢佳さんも及ばないけどな。そこは十代だからか水を弾き捲る。

 皺も無ければきめの細かさもあるし。顕微鏡で観察すると、若い人は肌の皮溝が細かく綺麗な三角形を描くそうだ。歳を取るにつれ三角形が乱れるとか。

 まあ歳食っても頑張れば多少は回復できるらしいが。それでも十代には及ぶはずもない。


 触り心地が違うな。

 心愛の体を触り捲っていると滑らかな肌触りゆえに、確実に気分が高揚してくる。凹凸に乏しいってのに。

 若さは武器ってのは事実だ。

 だから男は幾つになっても若い子を欲するのだろう。


 悶えてやがる。


「翔真先輩、凄く積極的ですぅ」


 喜んでるし。まあいいか。

 風呂から上がり部屋に戻ると、もはや我慢も限界だ。

 しっかり頂いたら、やっぱりな。


「痛いですぅ」


 無理はしないに越したことはない。


「続きはまた明日だな」


 悔しそうだ。まだ二回目だからな。

 潤滑ゼリーを使ったところで、傷物になってるんだから少しは控えた方がいい。


「弄るな」

「出し尽くすんです」

「あのなあ。それだと明日楽しめないぞ」


 手が止まって「我慢します」だって。

 助かったな。

 経験不足がゆえに絢佳さんのような、エロい反応を見せることは無い。俺も下手くそだし。下手くそだから充分に気持ちよくさせられない。

 やっぱり絢佳さんに鍛えてもらった方がいいな。年上女性の手解きは必要だ。


 寝るまでの間、雑談に興じるが、俺の気持ちを自分に向けさせたいようで。


「翔真先輩は継母さんに嵌まり過ぎてます」

「そうでもない」

「誤魔化さなくていいんです。見てれば分かるんです」


 だからこそ、一緒に住んで自分を見てもらいたかったと。

 でもな、見たから好きになるわけじゃないと思うぞ。見ても好きにならない相手も居るし。

 絢佳さんにはひと目惚れしたけど。強烈すぎるからな。何もかも。


「まあ、焦ることはない」

「焦るんです」

「焦ってもいいことはない」

「戻って来ないかもしれないんです」


 俺の絢佳さんへの気持ちが強すぎる、そう見えるようだ。確かにそうだな。現状、絢佳さん一択に近い状態だし。心愛も悪くはないが、俺の心を占める存在は絢佳さん。

 何もかも満たす存在だからだ。俺が辛い時に慰めることができる。迷えばアドバイスもできる。時々可愛らしさを見せる。

 経験を積んでるからこそできるんだよ。

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