Sid.67 まだ続く無限平面の母との対話
俺の言い分が理解できていないのだろうか。
「あくまで仮の話ですが、結婚後に金が尽きた場合に俺を捨てる、それも考えられますよね」
それまでは豪勢な生活ができていた。しかし、金が無くなり貧乏生活を余儀なくされる。そうなった時に金目当ての女性が、果たして金の無い男と一緒に居られるのか。親としては貧乏人になったら、価値は無いと判断するのでは、と問うと。
さすがに少し腹を立てたのか「そこまで腐ってない」と憤慨気味だ。
「無いよりあった方がいい程度。でも、無いからって別れろなんて」
そんな人で無しに見えていたのかと、落胆する母親が居て、心愛も「お金じゃないんです。幾らなんでも酷いです」と言ってはいる。
人なんて大金を目にしたら変わる。今は大金を積まれてないし、見てもいないし、具体的な資産も知らないからな。だから綺麗ごとを言える面はあるはず。
それを言うと「確かにそうかもしれないけど」と。
「でもね、心愛が笠岡君と結婚しても、あたしたちにお金が入るわけじゃないでしょ」
そもそも娘の幸せを願うだけで、自分たちがそれに
「見くびらないで、と言いたいけど」
当初はそんなことも考えたのは事実、だそうだ。
今回は俺の言い分に関して当然と捉えるが、二度とそんなことが理由だと思わないで欲しいそうで。
「あたしにとって、心愛は大切で可愛い娘なの」
親としては最良の出会いを希望し、最高の伴侶を求めたいのは当然。
居なければ無理に結婚する必要はないし、居るのであれば是が非でも娘の背中を押したい。
「それが親心だと思うから」
今は俺が最良かどうかは分からない。それでも話に聞いている限りでは、娘のことも考えた行動があり、勢いに任せたこともしない。むしろ奥手じゃないかと思う程に、じれったい関係だと思うそうだ。
「慎重さもあると思うから、安心して娘を泊まりに出せるって、それだけは分かって」
今はお互いを見極めて、分相応な付き合いをしてくれれば、自分から何かを言う気はないそうだ。
「それって体の関係は?」
「あんまり煩いことは言いたくないから」
「つまり」
「同意してるなら二人に任せたいし」
現状俺が拒絶してるから手を出されることはない、そう踏んでいるとか。
健全な付き合いはベストではあれ、そこは興味を抱く年齢でもある。自分で責任を負える範囲内で付き合って欲しいそうだ。
抱くも抱かないも俺の判断。そこに口を挟む気はない。娘が求めているが無理強いしても、俺が逃げかねないなら自重させるとも。
「ただね、ちゃんと娘を見て欲しいの」
顔はどうにもならない。体型も太れはしても胸は豊かにならない。
それでも可愛い娘なのだと。大切な大切な、それこそ目に入れても痛くない存在。そこだけは分かって欲しいと懇願された。
「人をね、信用してないように見えるから」
確かに信じてはいない。絢佳さんだけが唯一信じられる存在。学校の女子なんて、信じるとバカを見る程度だ。あれらには相手にすらされないけどな。
同じ学校の生徒ってことで、信じるに足らないと思っていたが。
心愛を見ると目が潤んでるし。信じて欲しいのだろう。
「今は、気持ちもあると思うんで、信じはしますが」
俺を知ったら離れる。間違いなく。
惚れ込んでるから輝いて見えるだけのことだ。すぐに馬脚を露わすのが俺だぞ。その時が来れば捨てられるのだろう。
まあいい。どうせ長続きする関係じゃないのだから。
「手は出しません」
「翔真先輩。出していいんですよ」
「出さない」
ため息を吐く母親だ。心愛も「いいって言ってるんです」と譲らないが、気持ちが冷めた時に後悔するのは女子の方だっての。なんで、あんな奴と、なんて思うわけだ。
「時間が必要なのかな」
解決には時間が必要かもしれないと。
まだ付き合い始めて日も浅いから、長く付き合えるようになれば、違うと分かってもらえるだろうと心愛に言ってる。
とりあえず、長く引き留めてごめんなさい、ってことで解放された。
「どうせなら娘の部屋に泊まって行けばいいんだけど」
「無いです」
「分かってるけどね」
警戒してるし心を開くこともない。でも心配してくれたり気遣いもする。
いつか娘に心を開いて受け入れてくれることを望むそうだ。
まだ高校生だっての。これが互いに大人であれば、先のことも考えるだろうけど。先のことはなるようにしかならん。どうせ、どこかのタイミングで俺から離れるんだから、焦って行動する必要性は一切ない。
いつまでも気持ちなんて続いて堪るか。俺が卒業してしまえば会う機会も減るからな。そうなれば他の男に目移りするだろ。
だったら手なんて出さないに限る。当たり前の考えだと思うんだがなあ。なんでこの家族には通じないのか。
玄関先で心愛に見送られ家をあとにした。
スマホを見ると二十三時半じゃねえか。前より遅くなってるし。
急いで家に帰ると絢佳さんが出てきて「翔真君。ちょっと表情が険しいね」と、ひと目見ただけで気付くんだよな。
俺をちゃんと見てる。だから気付ける。これがあるから全幅の信頼を置けるんだよ。
「ちょっと揉めてました」
「喧嘩?」
「いえ。ちょっと言い過ぎたかもしれません」
「そうなの?」
そう言うと「翔真君。自分が悪いって言うけど、あんまり人のことは悪く言わないから」と抱き締めてくる。思っても口に出さないだけなんだが。
相変わらずの凄まじいばるんばるんを押し付けてくる。堪らん。
「思ってても口に出さないから」
だから心配になるそうだ。
内に溜め込んでばかりで、それらがストレスになるだろうにと。
「私には言っていいからね」
あまり溜め込むなと。
「愛唯のこともね、悪いところは指摘してくれれば」
「特に無いです」
「だからね、そうやって隠さないで不満は吐き出して欲しいの」
「時間しか解決しないですから」
不満を口にして改善するなら、少しは口にもするけどな。あれ相手には不可能だ。だったら選択肢はひとつ。関わらない。生涯に渡って。それが一番ストレスを抱えない方法だからな。
絢佳さんには悪いけど、あれに期待するものは何ひとつない。
一生嫌ってくれて構わない。
「もう。そういうところは頑固なんだから」
誰に似たのか、とばるんばるんを押し付け、背伸びして俺の唇奪ってくれるし。
そうなると下半身に力が漲ってくるんだよ。
唇が離れると「もうすぐ十八歳なのね」と。
「お祝いしてあげるからね」
「あ、それですけど、心愛も祝うとか言って」
「じゃあ一緒に祝おうか」
「別に要らんですけど」
要らんじゃない、と。
十八歳の誕生日当日は心愛と過ごし、旅行の際には思いっきり楽しもうね、だそうだ。
その愉しむってのは、やっぱり一線を越えた付き合いなのだろうか。俺はそれを切に望む。絢佳さんと繋がることばかり考えてたからな。
親父だけに独占させておくなんて、勿体無いにも程があるってものだ。
しかも親父は使い物にならないと来たもので。だったら俺が、となるのも当然だろう。
まあ、絢佳さん次第だけど。
絢佳さんの肉弾抱擁が終わると「じゃあ、おやすみなさい」と言われ自室に戻る。
軽くタッチされたぞ。股間を。欲してるかもしれんし、思わずびくっと反応してしまうし。いつでも奪って欲しいと思う。即座に臨戦態勢になるからな。今もなってるけど。
部屋に戻り風呂はどうするか、と思ったが入っておこう。
風呂から上がると絢佳さんが居るし。
「あ、翔真君の」
もう見せることに抵抗はない。好きなだけ見て欲しいなんて。
だが、絢佳さんも負けてないんだよ。ばるんばるんが零れてるし。
「その、下着?」
「あ、これ?」
股の部分は布が無いし。
なんて格好をしてるんだ! 親父は帰宅してないはずなのに。
「翔真君専用にしようかなって」
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