Sid.64 夜中に遭遇する豊穣の女神はエロい

「あ、夜ご飯の準備しないと」


 そう言うと俺から離れ、部屋から出る際に振り向き「翔真君。旅行の時は弾けようね」と言って笑顔でドアを閉じて行った。

 弾ける、とはあれか、やり捲り。じゃないかもしれないけど、でも楽しみたいって気持ちはあるのだろう。エロいものも含めて。

 堪らん。


 夜になると親父が帰宅したようだ。

 寝室で絢佳さんと話をしているのだろうか、リビングにもダイニングにも居ない。

 内容は気になるも絢佳さんだから、上手く親父をあしらうと思う。


 風呂に入ってベッドに潜り込むが、昨日は心愛が隣に居たんだよな。

 居ると暑苦しいしエロい気分になるし、居なけりゃなんか寂しさを感じたり。いや、なんで寂しさを感じるのか。

 あれは俺の趣味から外れた存在だ。胸も尻も平たいってのに。まあ、多少はあったけど。柔かったけど。肌はさすがに綺麗だったけど。ちょっと薄い茂みの奥が気になったけど。

 じゃねえよ。


 俺が心愛を好きになる可能性は無いな。

 全てが絢佳さんとは真逆の存在だし。


 眠れん。

 トイレ行こう。


 起き上がり部屋を出ると洗面所に明かりが灯ってる。

 もしかしてションベンガキか? だが時間は午前一時半。起きてるとは思えんってことは、絢佳さんか親父のどちらか。

 まあいい。親父なら遠慮は要らないし。万が一ションベンガキなら、速攻で踵を返せばいいだけだ。

 洗面所のドアを開けると、思わず目が釘付けになる。


「あ、翔真君」

「え、と」

「おトイレ?」

「あ、はい」


 もう隠す気無いんだな。ベビードールに包まれた見事なばるんばるんと、そのショーツだかパンツは、何の役に立つのか。中央に穴空いてんじゃん。お陰で茂みがはみ出してるし。


「翔真君。トイレ入らないの?」

「あ、えっと」


 もう、なんて言いながら、ちょっとだけ披露してくれてるし。

 トイレどころじゃないって。反応しちゃって違うものが出そうだ。


「元気ね」

「まあ、それなりに」

「大祐さん、ちっとも駄目」

「あ、そうなんですか」


 欲求不満になりかけてるから、俺で発散しちゃおうかなとか、家でそれをやったらまずいんじゃ?

 いや、俺で発散?

 まじで望むけど、なんて思っていると。


「旅行まではお預けだからね」


 言いながらも「大祐さんが今夜居なかったらなあ」って。暴発しそうだっての。

 あ、ヤバい。ションベンも漏れそう。


「あ、絢佳さん。トイレ」

「そうだったね」


 微笑みながらドアを開けて「どうぞ」だって。

 入るとドアを閉じようとしてるのに、抵抗があると思ったら。


「見ちゃおうかな」

「それはちょっと」


 笑ってるし、ついでにばるんばるんを、ばるんと披露してくれてるし。そのせいで猛烈な反応をしてションベンどころじゃなくなってる。

 便器に向けても上向いてるし、下げると出にくくなるしで悪戦苦闘する羽目に。


「出たの?」

「飛び散って」

「じゃあ掃除するね」


 出したままの状態なのに、堂々とトイレに入って来て「用足しの時は困るのね」とか言ってるし。しっかり見てるし。

 掃除してる間、俺の股間は曝されてる。すぐ側に絢佳さんの顔があるし。これ、もしかしてと思っていると「済んだ?」と言われ、済んだと言うと。

 まさかの事態で瞬殺されることに。


 にこにこしてるよ。


「翔真君の頂いちゃった」


 軽く口をすすぎ「今度は繋がろうね」と言って、曝け出されたばるんばるんを仕舞い「おやすみ。翔真君」と言うと洗面所を出て行った。

 ひょっとして親父が居ない夜は、家でしようってことか?

 おとなしくなった俺。部屋に戻ると、歓喜に打ち震える状態なのは言うまでもない。少しずつ経験が積み上がる。次はいよいよかと期待に、またも股間が膨らむ有様だ。


 絢佳さん、エロ過ぎ。

 親父がなぜあれで役立たないのか不思議だ。贅沢病にでも罹ってんじゃないのか。

 他所で使い過ぎてるとか。ありそうだよな。バカ親父。


 朝になると昨日の興奮冷めやらぬ、と言った感じではあるが、そこは気を落ち着かせ少しだけ気合を入れる。

 十時には家庭教師も来ることだし。

 たぶん心愛も来る。


 身支度を整えダイニングへ行くと、ションベンガキが居る。もちろん朝の挨拶なんてあるわけもない。

 しっかりシカトしてるし。これはあれだ、一生このままだな。

 昨日のような迂闊なことは口に出さないとは思うが、これで心愛も敵認定したかもしれん。バカだな。自らが成長できる機会を喪失してるんだが。


 親父も少しするとダイニングに来て「翔真。何かやりたいことは無いのか?」とか言ってる。

 昨日絢佳さんに言われたんだろう。


「あれば遠慮なく言え。必要なら金は幾らでも出すからな」

「大祐さん。お金じゃなくて」

「ああ、そうだったな。勉強ばかりじゃできないこともあるか」


 今後、日曜日は完全休養として、好きに過ごせばいいと言う。大学もランクを落とせば問題無いだろうと。その分、余裕ができるから外出するのも良し。

 外に出れば何かしら興味を抱くものもあるだろう、だって。

 家と学校の往復ばかりで、世の中の見聞が不足していたと思うそうだ。


 今の俺の学力レベルであれば、中堅大学程度は軽く受かるはず。と絢佳さんは言う。そもそもトップレベルの進学校だから、自身の能力が低いと思い込んだだけだそうで。そこらの高校生より遥かにできているとも。

 ちょっと過大評価と思いはするが、勉強を見てくれた上でのことだから。


 朝食が済むと親父はさっさと家をあとにする。俺と絢佳さんに見送られ「今夜から二日間は帰れない」とか言ってるし。浮気相手の所か?

 そうなると絢佳さんから「使わないで帰って来てね」と言われ「善処する」だって。浮気自体は隠す気無いのか。開き直ったのか、絢佳さんが隠し立てするなと言ったのか、それは不明だけど。

 俺を見て「翔真。本当は凄く嫌なんだが、俺も悪いから許す」って、なんのことかと思ったが、絢佳さんと繋がる許可のことだ。


「いいのか?」

「仕方ないだろ」

「そうか」

「穴兄弟なんて嫌なんだがな」


 アホだ。

 絢佳さんは俺と親父の共有物らしい。物じゃねえんだから、その認識は改めた方がいいと思う。

 愛すべき存在だろうに。俺にとっても親父にとっても。

 苦笑する絢佳さんに見送られ、車に乗り家をあとにする親父だった。


「もう。本当にしょうがないんだから」

「あの、親父だけど」

「もうね、好きにしろだって」


 好きなだけやりゃいいと。親父はこれまで好き放題してきた。贖罪の意味も込めて二人の関係に口は挟まないと。

 ただ、どうしても「穴兄弟はなあ」と口を衝く始末だそうで。

 確かに。俺もそれは思う。俺だけの絢佳さんであればと思うし。浮気三昧の親父でさえも、そう思うのは虫が良過ぎると思うけどな。


 ああ、これって親子丼だ。絢佳さんにとっての。

 比較されても若さで俺の勝ちだな。親父みたいに草臥れてないからな。

 唯一勝てる部分はそれだ。他はからっきしだけど。


 家の中に入るとションベンガキが俺を睨んでる。


「愛唯には今度ネズミの国に連れて行ってあげるからね」


 絢佳さんにそう言われ頷くが、その睨みつけるのをやめろ。目付き悪いな。ほんと、クソガキ、ションベンガキだ。

 目線を逸らし絢佳さんに向けて、勉強の準備で部屋に戻る、と言って階段を上がるのだがドアホンが鳴ってる。

 来やがった。


 上り掛けの階段を下りて玄関ドアを開けると、門の前にしっかり居るし。


「翔真先輩! おはようございますぅ」


 元気だなあ。

 招き入れると玄関先でションベンガキと目が合ったようだ。


「おはよう。愛唯ちゃん」


 逃げた。

 そのまま二階に上がって行きやがったぞ。


「嫌われちゃったぁ。翔真先輩、慰めてください」

「アホか」

「もう。愛唯ったら」


 昨日のことを飲み下すには幼過ぎるのか。


「まだ怒ってるか?」

「なんでです?」


 何とも思ってないそうだ。

 心愛の方が少しだけ大人なようだな。

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