Sid.48 二日酔いで予定は変更された

 昨夜は大変だった。

 風呂場の前でのやり取りでドアを開け放ち、全裸の絢佳さんが出てきたからな。ばるんばるんを洗えと喚いて、目を逸らすも抱き着かれて「私を抱けないの?」とかな。

 もう開き直って犯そうと思ったくらいだ。

 でも、酔ってる相手ってことで、血の涙を流しながら誘惑に抗い、風呂場に押し込み事無きを得た。


 風呂から上がると幾らか冷静になっていたようで。


「なんかごめんね」

「いいですよ」

「ほんと、私って」

「可愛らしくて好きですよ」


 完璧じゃないから好きになれる。

 どんな人もどこか変な面はあって、それが普通だと思う。それが個性に繋がるだろうし、それを好きになれることもある。

 まあでも、バスタオル一枚で出て来ないで欲しいとは思う。

 風呂場で全裸を見てはいるが、刺激が強過ぎて漏れ出たからな。一日に何度漏らせば気が済むのかって。幾ら若くても枯れかねないぞ。


 少し酔いが醒めた状態で、やっと就寝できたのが二時頃だったか。


 朝になり目覚めると、だからなんで?


「絢佳さん、起きてください」


 俺のベッドで抱き着いて寝てるし。ばるんばるんの感触が凄くて、朝から元気いっぱいなんだよ。

 どうしたものか。

 身動き取れないし。感触は愉しみたいし。

 それでも。


「絢佳さん。起きないと」

「んんっ」

「八時になっちゃいますよ」

「ん、んんっ」


 あかんな。

 ばるんばるんを揉み倒したろか。やらないけど。

 仕方ない。もう少しだけ感触を愉しんでいよう。


 次に目覚めたのは九時前だ。

 さすがに起こした方が良さそうだし。


「絢佳さん、九時です」


 少しすると目を覚ましたのか、俺と目が合うと「あれ? 翔真君なんで同じベッド」なんて言ってるし。


「絢佳さんが潜り込んだんですよ」


 視線をもうひとつのベッドに向けると「あ、やだ。もう」なんて言ってる。

 起き上がると「いったぁ」とか言って蹲るし。


「二日酔いって奴ですか?」

「そう、みたい」


 着ていたパジャマの胸元は完全にはだけてるし、それでもブラは着けているから、丸出しではないけどな。

 暫く頭を抱えていたが「ごめんね。今日は予定変更」だって。

 午後は勉強に当てるから、それまでに酒を抜くそうだ。


「迎え酒かなあ」

「駄目ですよ。そうやってアル中になるんです」

「厳しいなあ、翔真君は」

「厳しいじゃなくてですね」


 冗談だそうで。

 ベッドから出ると目の前でパジャマ、全部脱ぎ捨ててるし、下着姿をしっかり見せ付けてるよ。

 いいのか?

 まあいいんだろうけど。


「あ、翔真君」


 朝ご飯は簡単でいいかと。


「構いませんよ。たまには俺が用意しますか?」

「駄目。それは私の仕事」


 ウエスト周りは少し肉付きがいいのか。ばるんばるんは凄いし腰回りも凄いんだよな。

 シャツを羽織ってスカートを穿くと「朝ご飯用意するね」だって。

 俺が見ても気にもしないのか。まるで夫婦だな。

 まあ言っても、昨日全裸を見られたし。凄かったな。全身の量感ってのはガキには無いものだ。


 さて、俺も着替えなければ。

 突っ張り過ぎる股間は絢佳さんが居なくなると、自動的に収まって来て服を着られる状態になった。

 洗面所で顔を洗い歯磨きを済ませ、身嗜みを一応整えておく。


 リビングに行くとキッチンで作業する絢佳さんが居る。


「もう少し待っててね」


 少しして朝食になった。

 トースト、ソーセージ、スクランブルエッグ、簡単なサラダ。実に簡単だ。これなら俺でも用意できるのに。

 やっぱり絢佳さんと並んで座り「今日はお酒飲まない」とか言ってるよ。


「昨日は手に負えませんでしたからね」

「ごめんね」

「いいんですよ。裸も見られたんで」

「手を出しても良かったのに」


 そんな状態で我慢しろとは言わないそうだ。自分が悪いんだから、手を出されて当然だし、それを問題にすることも無いからと。


「翔真君。今度そんなことがあったら、遠慮しないでいいからね」

「えっと、考えておきます」

「怒ったりしないし犯された、なんて言わないから」

「その時が来たら」


 俺の気持ちを知っているのに、お預け食らわせて迷惑だったでしょ、と。

 我慢しなくていいそうだ。

 食事が済むと「頭が」なんて言いながら、食器を片付ける絢佳さんだ。

 まだ酒が抜けて無いのか。


 テーブルに突っ伏すと「もう少し待っててね」だそうで。

 ばるんばるんがはみ出してるし。邪魔そうだよな。突っ伏すにしてもでか過ぎて。


 暫くの間、別荘内は静けさが木霊する。

 絢佳さんを見ていると、時々子どもみたいで可愛らしい。今はちょっと疲れたお姉さんだな。

 あんまり年齢を感じさせないんだよ。世の中の三十六歳なんて、すでに枯れて魅力がないのが大半だろ。芸能界には美貌を保つ人は居るけど。

 そこらを歩いてる三十六歳なんて、ザおばはん、だしなあ。


 まあでも俺が三十過ぎれば、そんな人にも魅力を感じるのかもしれない。

 若いからそう思ってしまうだけで。


 十一時頃になると復活したようだ。


「少し時間があるから掃除しようかな」

「もう大丈夫なんですか?」

「お酒は抜けたから。今夜は飲まない」


 飲んでもいいんだけど、暴れさえしなければ。

 掃除機を探し出し部屋の掃除をする絢佳さんが居る。

 俺はと言えばウッドデッキに出て、邪魔にならないようにしておくだけで。手伝うことは無いかと聞くと「迷惑掛けたし翔真君は、のんびりしてていいからね」と言われた。

 掃除機の音に混じって鳥の囀りが少々。

 空気は綺麗だし、でも暑さは相応にあるし。


 掃除が終わると部屋に入ってと言われ、部屋に入り窓を閉めてエアコンを入れる。

 絢佳さんは昼食の準備に入ったようだ。


「午後は勉強しようね」


 昼食ができると並んで食事をして、食休み後に勉強をする。

 少々寝不足気味なのか知らんが、どうしてもうとうとしてくるな。


「お昼寝する?」

「少しでいいです」

「十五分とか二十分が適切だって」

「じゃあそれで」


 ソファでと思ったら「ベッドで寝た方が」と言われ、ベッドに転がると横に絢佳さんまで。


「あの」

「私も少しだけ」

「はあ」

「イヤ?」


 嫌なわけがない。大歓迎だ。

 ただ、絢佳さんが居て眠れるかと言えば、難しいかもしれない。目が冴えちゃうでしょ。

 それでもお構いなしに隣で子守唄?


「絢佳さん」

「なあに?」

「あの、寝れんです」

「仕方ないなあ」


 そう言うと起き上がって俺に覆い被さり、しっかり唇を奪われた。

 キスするの好きなんだな。これで親子関係になんてなれるのか? どう考えても夫婦レベルの密着度合いだし。

 なんだか、ここに来て絢佳さんがどんどん積極的になってる。

 旅行先ってのは人を大胆にするのかも。


 どうやら眠っていたようで体を揺すられ「二十分経ったよ」と起こされた。

 起きたついでにまたキスされたし。


「お目覚めのキス」


 恋人同士だ、これ。

 絢佳さん、本気で俺に惚れた? 俺は勿論、最初から絢佳さんにべた惚れだけど。

 非日常の世界だから、と思うことにしよう。家に帰ればいつもの絢佳さんに戻るだろうし。ここだから、積極的に恋人のようにしているだけ。そう思わないと、家に帰ってからも期待してしまうからな。


 起き上がり再び勉強することに。


 テーブルの上に乗っかる絢佳さんのばるんばるん。

 もう気が散ることはない。生をしっかり拝見してるし。しかも全身だからな。なんか生い茂るものまで見えたぞ。

 中は未確認だけどな。いずれ確認できるんだろう。


 この日の夜。


「絢佳さん」

「なあに?」

「禁酒」

「あ、そうだった」


 酒を飲もうとしたから止めると「少しくらいは」なんて言ってるし。

 昨日の続きなら、まじで手を出すぞ。もう我慢も限界を超えてるからな。


「ちょっとだけ」

「本当にちょっとですよ」

「明日は乗馬するからね」


 今日の予定は明日に延期。

 さすがに今日は遠慮して少量で済ませたようだ。酒に飲まれちゃ駄目だよな。


「じゃあ明日は早いから寝ようか」


 なぜ一緒のベッド?

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