スカートなんて履きたくない
もちっぱち
第1話 高校の文化祭
文化祭当日、外部からのお客さんも含めて、
学校内は賑わいを見せていた。
外では焼きそばやフランクフルト、かき氷などの販売を行っていた。
こういうお店を出すのは、クラスでは
もちろんカースト上位の男女が盛り上がって
やっている。
お店を開く前に検便をしなくちゃいけないのは嫌だねと愚痴っていうのを聞くと
やりたくないなって感じてしまう。
よく晴れた昇降口前で、これから
どこに行こうかと文化祭のマップを
確認する。
「
運動部の咲夜は、文化祭をものすごく
楽しみにしていた。
「
ゆっくり行こうよ。
そうだなぁ。やっぱお化け屋敷から
いかない?」
同じクラス、同じ部活に所属する
翼は中学からの親友だ。
「いいね。
お化け屋敷いこう。」
ざわざわと混み始めた校舎の中、
2人は、文化祭マップを確認して、
人混みをかきわけた。
「えっと、確か先輩たちが
準備してるって話だよね。
3年3組の教室かな。」
「そうそう、ちょっと待って。
ここ茶道部だよ。
和菓子が食べられるよ。」
「もう、翼は、食い意地張ってるんだから。」
「だってぇ。和菓子好きなんだもん。
すあまとか、どら焼き、らくがんとか。」
「翼っておばあちゃんだった?」
「違う違う。
おばあちゃんと一緒に過ごすこと
多いから、一緒にお茶飲みながら、
食べるのよ。
咲夜は食べたことない?美味しいよ。」
「大福とかどら焼きはあるよ。
すあま?らくがん?
知らないなぁ。」
「らくがんはお墓参りとか仏壇に
お供えするあれだよ。」
「あーあれね。
ごめん、食べられないかも。
チョコとかクッキーの洋物の方好き。」
「そっか。あ、ここじゃない?
お化け屋敷。」
「あ、そうだね。
緊張するなぁ。」
咲夜と翼は、3年生の受付に声をかけて
チケットを差し出して、
恐る恐る中に入ってみた。
教室は昼間だというのに真っ暗に
なっていた。
真っ暗の何もない空間に声をかける。
「お邪魔します。」
懐中電灯をそれぞれ渡されて、
LEDライトを取りに行くという
ミッションを達成するため、
奥へ進む。
怖すぎて、隣同士べったりで
先に進んだ。
足元には上靴で何かを踏んだ。
べちゃという音が響く。
定番のこんにゃくかと思ったら、
蛍光色に光るスライムがたくさん
落ちていた。
なかなか抜け出せない。
広範囲にカラフルなスライムが不気味に
光ってる。
進むたびに変な音がする。
ぬかるむ感じになった。
オーディオから聞こえるドロドロと
幽霊が出るよみたいな演出がされていた。
中から頭に三角形、体には白い服を
着ていた。女装している男性がいた。
顔は暗くて見えない。
懐中電灯を当てた。
目的地であるたくさんのLEDライトが
男性の後ろに並べられてあったが、
進路をふさがれた。
「きゃーーー。」
顔が怖いんじゃない。
右を行けば左で塞ぎ、
左を行けば右を塞いで
追いかけてくる。
気持ち悪くなってきた。
鼻息もあらい。
「きもちわるい!!」
思わず、持っていた懐中電灯を顔に当てた翼。
「いったぁ…。」
「ほら、今のうちだよ。」
咲夜が誘導する。
痛がってる間にろうそく型のLEDライトを
2人分取りに行った。
走って、ゴールに逃げる。
痛かったようで、追いかけてこない
お化け。
申し訳ないことしたかなと
翼は後悔した。
「大丈夫だった?」
「うん。」
「たたいたの申し訳なかったな。」
「そう?
ストーカーみたいだったから
いいんじゃない?」
「そうかな。」
「お疲れさまでした。
スタンプラリーのハンコ押します。」
お化け屋敷受付をしていた3年の先輩が
声をかけた。
「あ、すいません。
ハンコお願いします。」
「いいよ。2人分ね。」
「あ、あの、すいません。」
「ん?どうしました?」
「さっきのお化けさんに思いっきり
懐中電灯当てたんですが、大丈夫でした?」
「あーそうだったの?
平気平気。あいつは不死身だから。」
「は、はぁ、そうなんですか。」
「そうそう。
楽しめたようでよかった。」
「いやいや、怖かったですし、
気持ち悪かったです。」
咲夜は大きく頷いた。
「そしたら、大成功ね。
ありがとうね。」
先輩はニコニコと嬉しそうだった。
なんとなくほっこりした2人は教室を
後にした。
次はどこに行こうかと文化祭マップを
確認した。
外の出店では、
たこ焼き屋が行列をなしていた。
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