第14話 プール①

 ショッピングモールで買い物をした次の日、何故か可憐に家から引きずり出されてデカいプールの施設に連れてこられた。


「はぁー暑い、何でここに連れて来たんだ?」


「何でって男除けのために決まってんじゃん」


「それだけ!なら帰る」


「水着ならちゃんと持って来たけど?」


「そういう問題じゃない!」


 と言って文人は可憐に背を向けて帰ろうとした時に可憐から聞き捨てならない言葉が聞こえた。


「え〜〜、それなら仕方ないな〜才ちゃんにお兄ちゃんが来れなくなったって言っとくね」


「今なんて言った!」


「だから、才ちゃんにお兄ちゃんが来れなくなったって言っとくねって言ったんだよー」


(ニタニタ笑っているのがムカつくがそれはひとまず置いといて、御山さんの水着姿を拝めるなんてついて行かない理由がない!)


 そう思って文人は何とか平静を装っている(側から見たら装えてない)。


「なら仕方ないな、お前は大丈夫でも御山さんの男除けとしていないといけないからな」


「チョッロ」


「……可憐、なんか言ったか?」


「はい!何も言ってません!」


 そしてしばらくすると御山さんがやって来た。


「すみません!ちょっと遅れました!」


「才ちゃん!別に全然待ってないから大丈夫だよ」


「文人さんも待たせてしまってごめんなさい」


「だっだだ大丈夫です!」


(ダメだ!御山さんの水着姿が見れるってだけで緊張して呂律が回らない!)


 緊張しすぎた文人は周りの人達から見ても分かりやすく体がガチガチになっている。


「はぁー、お兄ちゃんは放っておいて行こう才ちゃん」


「おい!それはないだろ!」


「じゃあ、そんなガチガチに、なーらーなーいー!」


「フフッ賑やかですね」


 と言って文人を可憐が無理やり押して中に入る。


「まず着替えないとね、プールの入り口で集合だからね!お兄ちゃん!」


「分かった!」


 そう言ってそれぞれの更衣室に向かう。


(御山さんはどんな水着を着るんだろう、派手な感じのやつは多分着ないだろうし、色も濃いのは着ないだろうから、やっぱり白だな!想像しただけで鼻血が抜けそう)


 文人はそう想像を膨らませながら更衣室に着いて早速着替える。


(あー!落ち着かない!いろいろ気になるし緊張する!)


 もの凄く落ち着きがない文人は更衣室を動き回りながら着替え終わり、プールの方に向かう。


(ふぅー、出来るだけ緊張が表にでないようにしよう)


 そう決意して文人はプールの入り口に着いて可憐達が来るまで待つ。


(緊張しない!緊張しない!緊急しない!)


 と思いながらしばらく待っていると可憐の声が聞こえた。


「お兄ちゃーん!お待たせ!」


「可憐か、よかったー!御山さんは?」


「何が良かったのよ!才ちゃんはもうすぐ来ると思うよ、それより、どう!この水着」


 可憐が着ていた水着はちょっと水色の入った白を基調とした水着だった。


(可憐も成長してるんだな、胸がちょっとデカくなってる)


 その感想は言わずに水着の感想だけを伝える。


「そうだな、中の上ぐらいじゃないか?多分」


「そんなんだからモテないんだよ!」


 と言われて少し怒った可憐を宥めていると背後から御山さんの声が聞こえた。


「すいません!少し遅れました!」


 振り向くと白色の少しフリフリが付いた水着を着ていた御山さんがいて、近くにいる男は全員釘付けになっていた。


「どうかしましたか文人さん?」


「あっあー、いや!別に何も!」


(御山さん、スタイル良すぎでしょ!あと、御山さんって着痩せするタイプだったのか……控えめに言って最高!)


「ちょっとお兄ちゃん!鼻血出てるよ!」


「えっ!嘘だろ!」


 と言って確認したが、鼻血は出ていなかった。


「嘘だよーだ!」


「可憐!騙しやがったなー!」


「才ちゃんにデレデレしてるのがいけないんだよーだ!」


「クソー!覚えとけよ!家に帰ったらお前の冷蔵庫に大事にしてたプリン食ってやるからな!」


 と言ったら可憐はすぐに謝りに来た。


「ごめんってお兄ちゃん!それだけは勘弁してくださーい!」


「はぁーしょうがないなぁ、今度俺のプリンも買ってこい、それで許す!」


「ラジャー!」


 とその話は終わった、そして御山さんの方を向くと少し笑っていた。


「フフフ、じゃあプールで遊びましょうか」


「うん才ちゃん!早速あのウォータースライダーに乗ろう!」


「分かりました、じゃあ行きましょうか」


 と二人はウォータースライダーの方に向かう、文人もその二人について行く。


「お兄ちゃんはそこで待っててね!」


「はいはい、分かりましたよー」


(まあ俺はどうせ男除けですからねー)


 と文人は卑屈になって二人がウォータースライダーを滑ってくるのを一人寂しく待っている。




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