第30話 みんなで一緒に新しい暮らし
すーちゃんと一緒にお披露目となった新しいおうち。
僕はいつだってどこだって新しい場所はワクワク探検隊ですよ!
今まではすーちゃんは寝室からそう簡単には出て来なかったけど、このよーいドン!で
僕と同じくすーちゃんも探検してどこにでも行くようになってしまいました。
8回目のお引越し、末広がりないい暮らしになりますように。
お部屋は何か所か増えて扉はいっぱい。
うっかり入ったら僕一人では出られない部屋すらあります。
これは気をつけねば危険ですね。
そういうところは基本的に開きっぱなしになることはありません。
常に開放している扉を僕が押して閉めたりなんかしない限り安全なのです。
今までよりもごはんの場所も増えていますね。
寝る場所だって選び放題です!
ところが困ったことに、いつもなら昼間お仕事に行くはずのオトシャンとオカシャンがずっと一日中おうちにいるじゃないですか。
もしかして、僕の真似ですか?
オトシャンはおうちに居ながらテレワークをパソコンでしているけど、
オカシャンはほぼ寝ています。
変化が嫌いな僕はこの変化が喜べません。
毎日オカシャンを叩いて起こして「おい!お仕事いけよ!」とけしかけますが、
オカシャンは撫でて歌を歌ってくれて僕を眠りに誘ってきます。
僕もうっかり眠ってしまいます。
すーちゃんは新しいおうちに引っ越したからもう病院行かなくていいって言ってたけど、
引っ越したあとも変わらず同じ先生に同じ目にあわされています。
すーちゃんも予想外だったようです。
「思ったより引っ越し先近かったのね、ふん!」と言うだけでした。
ぬか喜びさせられたじゃないか!
そうこうしているうちに、また世の中は煌びやかな光が溢れる季節になりました。
すーちゃんの誕生日が近いですね。
何か美味しいものが貰えるはずです!
すーちゃんはなんかオカシャンを心配してるみたいだけど、オカシャンは以前からだいたいこんなもんですよ?
休みはだいたい寝て過ごします。
急激に体調を崩してお仕事に行けなくなって寝たきりになることも月に一度くらいありました。
確かにここ最近はお薬か何かでそういう日も減っていましたが、オカシャンは自分自身が満身創痍では大きな事故につながるからと、無理せず休みを選ぶタイプです。
そんなに心配しなくてもそのうちオカシャンは動き出しますよ。
そんなことよりも今年のクリスマスプレゼントが楽しみです。
更に誰か増えたりしませんよね・・・。
特にその気配はありません。個室が組み立てられることもありません。
随分と寒い季節になってきたようで僕の大好きなホットカーペットはヌクヌクです。
そしてある日、これまた真っ赤なプレゼントが届きました。
僕の大好きなホットカーペットの上にドン!と置かれた四つ足のテーブル乗れば広々と歩くスペースがあります。
そのテーブルの間に大きなお布団が挟まって隠れられるヌクヌクスペースになりました。
もちろん僕が一番乗りです!中は真っ暗何も見えません。出口も見えません!
怖くなった僕は一目散にとりあえずどこでもいいから飛び出しました。
「ふぅ怖かった」そこを出たり入ったりと遊んでいるうちにすーちゃんがその存在に気が付きました。
迷わず中に入るなり出てきません。
僕が最初に見つけた場所なのに・・・。
すっかりすーちゃんに取られてしまいました。
オトシャンとオカシャンによってすーちゃんは「こたつの種火さん」という二つ名が出来ました。
僕は以前から「ホカペの妖精」という二つ名を持っています。
いや、僕には二つ名どころか、勇者じゃこ天、名俳優じゃこ天などなど才能溢れる名がありますから、ずっとすーちゃんよりすごいのです。
オトシャンとオカシャンは二か所にあるベッドでそれぞれ眠ります。
寝る時には僕はオカシャンの傍で眠ります。
オカシャンは大きなベッドの壁際で眠りあまり動かないので僕は真ん中で眠ります。
でも、ベッドのドア側が空いてない場合は僕は窓辺のご近所さんとご挨拶できるはずの毛布が敷かれた台の上で寝ます。
危機察知は大切ですからね。
オカシャンは気を抜くと僕のふわふわに顔を埋めて吸い始めるので。
一度はこちらから嗅がせてあげたおしりも気に入ってしまったらしくしょっちゅう嗅ぎ始めるので、情報漏洩を避けるためにも、僕はドアに近い場所で眠ります。
クリスマスプレゼントで今年も寒い季節に関係なく僕らはヌクヌクできるのに、そうですね・・・すーちゃんが心配するのも分かってきましたね。
オカシャン・・・珍しく動き出しませんね。
オトシャンもあまり出かけません。
僕の一人の時間がだいぶ減ってなかなかストレスです。
すーちゃんもストレスを抱えているのかソファに意思表示をしていたので、僕も重ねて意思表示で不服を申し立てました。
それに気づいたオカシャンはソファにいい匂いのする水をかけてひたすら掃除をしてはぼくたちのトイレに使うシートでソファを守り、
小皿を安定させるための板を置き、たくさんの小皿に僕たちのごはんを置きました。
これはお供えと言って、オカシャンが病院の先生に習ったものだそうで
ごはんを置くとそこに僕たちは意思表示を示さなくなるおまじないみたいなものらしいのです。
確かにそこにごはんがあるならば僕は食べます。
でも、ソファってものは僕たちのごはん置き場になってだれも座れないし寝られないものになりましたがこれでいいのですか?
そう思っていたら今度はすーちゃんはトイレと壁の間に意思表示をし始めました。
それにはオカシャンも大ダメージだったようです。
オカシャンはこの新しいおうちに引っ越す前に入念に撥水ワックスというものを業者さんに4度塗りしてもらったらしいのですが壁との間はワックスが塗れません。
見事に床の下に染み込んで床の色が下から変わってしまって対策をひたすら考えています。
僕たちは変化が嫌いです。
でも、時間が経てばそれが当たり前になるので意思表示は避けて通れません。
それでも怒らないオカシャンは僕が可愛い家族だからなのでしょう。
もう一度言います。僕たちは変化が嫌いです。
それなのにもう・・・オカシャンは出かけなくなった代わりに、お客さんが来る機会が増えました。
いつも来ているオトシャンとオカシャンのお友達(とろとろの舌の止まらないやつをくれないけど遊んでくれる方)ではなく一気に何人ものお友達が来ることになったのです。
やれやれです。
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