第36話
レプリカは竜巻を引き起こし、周囲の自動車を浮かせ振り回すように暴れさせた
「なんて迷惑な。風系の魔法は見えないから厄介ね」
ジュリエルはあえて砂岩の岩壁を作り出し盾にした
ぶつけられる重量物や風の斬撃によって砂岩は削られ、砂埃が舞う
岩壁は完全に破壊されたが、ジュリエルは余裕だった
「アンタには分からないでしょう?なぜ壊れやすい壁を作ったのか」
「…」
レプリカは無言で風の斬撃を放つ
しかし、ジュリエルはその斬撃を避けレプリカに肉薄した
「ただの速くて鋭いだけの斬撃なんて見飽きてるのよ」
斬り裂かれ崩れ落ちるレプリカに吐き捨てたのだった
『嵐よ』
「チッ」
ジュリエルのすぐ横を嵐のような斬撃が掠める
「アンタ、レティだったかしら?私に何の用?」
『気安く私の名を呼ぶな。虫唾が走る』
『コウタの時と随分態度が違うわね。一体どんな恨みを買ったのか教えてくれる?』
『お前は私の兄を殺した!お前さえいなければ!兄さんは結婚する予定だったのに…』
『そう。残念ね』
『お前は何人殺した?』
『そんなモノ一々数えないわ』
『お前は魔女だ!』
『私は自分の正義を貫いただけよ』
『どうして、そんなに平然としていられるの?』
『私の村の住民達は盗賊に殺されたの。どうしてだと思う?』
『は?』
『それは私が村を守りきれなかったから。村を捨てるしかなかったの』
『お前のせいじゃないか』
『でも、村で戦える人間は私1人だったわ。本来なら数人は派遣されるはずだった。でもされなかった。貴族は権力争いに夢中で辺境の開拓村なんて見向きもしなかったのよ』
『自分が不幸だと言いたいのか?』
『違う。不幸なのは村人達。戦う力も持たない彼らは逃げるしかなかった。でも、どこにも安住の地なんて無かったの。そんな国にしたのは誰?魔女である私?違うわ。あの肥え太った豚どもよ!私はヤツらを殺さなければならない。それがただの復讐だとしても』
『だから殺したの?ただの兵士だった兄さんもみんなも!』
『邪魔をするからよ。アナタも邪魔するなら殺す。命が惜しいなら退くことね。今なら見逃してあげるわ』
『ほざけ!風雲よ!』
「ギガント」
風や弾丸のように打ちつける雨によって巨人はみるみる削れていくが
「完全に削れるより私の方が速い」
ドカンと巨大な爆発音にも似た音が響き渡る
『くっ』
「よく防いだわね。次は…フリーズ」
降らせた雨によって周囲は水浸しであり、その水を使って氷漬けにしようとする
『そんなもの!…しまっ!』
レティは空中に浮かび氷を回避するが、瞬間自身の周りに氷の花が咲き、レティを閉じ込めた
『雨が降った後は空気の中にも水滴がたくさん漂っているものよ』
「さて、どうしてやろうかしら」
ジュリエルの氷の塊に触ろうとした瞬間に電撃が走り、ジュリエルを感電させた
「また新手?」
「久しぶりだね。ジュリエル」
「ルーク・バリエント…」
「もう兄と呼んでくれないのかい」
「一度も呼んだことはないわ。私の邪魔をするの?」
「こちらにも思惑という物がある。君に好き勝手動かれると困るんだ」
「邪魔をするなら殺す」
「おっと、これはまずい。君は僕よりも強いからね。逃げるとしよう」
「待ちなさい!」
ルークはレティを連れて逃げた
「ハァ、本気で逃げられると追いつけないわ。…肝心な時はいない癖に、余計な時にはいて邪魔をするんだから」
ジュリエルは文句を言いながらコウタの元に向かった
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