第28話

石狩市上空


「スタンピードが起きたのは炭鉱ダンジョンね」

『コウモリとかクモみたいなモンスターが中心らしい』

ドローンカメラからコウタの声が聞こえる

「夜になる前に対処出来ればいいんだけど」

『俺はナビゲーターの講習受けた事あるからモンスターの位置とか救難信号とかは任せろ』

「ジュリエルさんこの下がスタンピードの現場です」

「ありがとう。さあ、行くわよ」

「ご武運を」


ジュリエルはヘリから飛び降りてモンスターの大群の中に降り立った

「ウジャウジャいるわね」

『ちょっと気持ち悪いな』

「フローズン」

周囲のモンスターを凍りつかせジュリエルはダンジョンの入り口に向かう

「モンスターを倒せても元を絶たない意味無いからね。サモン"デュラハン"」

首の無い漆黒の騎士が現れる

「外に出ようとするモンスターを殺せ」

『めちゃくちゃ強そう』

「デュラハンは防衛戦に向いたモンスターなのよ」

『はえー』


メリスを召喚し剣に纏わせたジュリエルは周囲のモンスターを殲滅する

『楽しんでる所悪いが、救難信号だ。パターンA、民間人だ。2時の方向に約300m』

「了解。周囲に他の探索者はいる?」

『いるけどモンスターが多くて近づけないみたいだ』

「周りのモンスターを殲滅、探索者と協力して救助を試みるわ」


民間人が取り残されている建物に到着したジュリエルは探索者達を巻き込まないように魔力弾を撃ち込む

数秒で数十体のモンスターが身体を抉られて倒され、数が減ったモンスターに探索者達が追撃をしかけた


「獲物を奪ってしまったかしら?」

「いや、助かったよ」

「救難信号まですぐだ急ごう」


バリケードを壊して建物の中に入ると白衣を着た人物と意識を失っている人物を発見した

「大丈夫か?」

「私は医師でこの人は患者だ。閉じ込められている間に容態が悪化してしまった。すぐに病院に連れて行かないと!」

「一番近い自衛隊はどこ?」

『えーと、北に1kmほど行った所で防衛線を敷いているはずだ』

「最短距離を突っ切るわよ」

「そんな!無茶だ!」

「無茶でもやるしかないわ。私がモンスターを全て倒す。あなた達はこの人達を運んでちょうだい」

「やるしかないか。そうと決まれば早く行こう」

「仕方ないか」


コウタのナビゲートを頼りに最短ルートを決死の覚悟で進んだ

「走りなさい!速く!」

「行くぞ!」

「うおおおお!」


モンスターは弱った獲物を喰らってやろうと襲いかかってくる

「いやあああ!」

「すごい数だ!」

「問題無い。そのまま進みなさい!」


ジュリエルの魔法によって何十、何百ものモンスターが倒されていく

しかし、集まってくるモンスターの数は無限なのではと思うほどだった


「自衛隊のバリケードだ!」

「闇夜に紛う黒霧ミスティア」

ジュリエルの周囲から黒い霧が発生し、モンスターを包み込む

霧に包まれたモンスターは前後左右を見失い、獲物の匂いをたどって進もうとするも他のモンスターとぶつかり、動けない

そうこうしている間に霧が晴れると前方には自衛隊が待ち構えており、

「撃て!」

ダダダダダダ!という銃声が響き渡った


「死ぬかと思ったー」

「急死に一生とはこの事だな」

「問題無いと言ったのに、大袈裟ね」

「アンタのお陰で助けられた。ありがとう」

「仕事だもの。完璧にこなさないとね」

「俺は乾、こっちは陸津。アンタの名前は?」

「私はジュリエルよ」

「ジュリエルか。良い名前だな」

「ジュリエル?確か、人と意思疎通ができるモンスターが同じ名前だったような」

「あら、よく知ってるわね」

「おいおい、この人がモンスターなわけ「事実よ」…ええ!」

「本物に会えて嬉しいよ」

「あら、もう少し騒がしくなるかと思ったのに」

「俺達は君に命を預けたんだ。今さらモンスターだったと知っても仲間である事に違いは無い」

「そうだな」

「そんなに面と向かって言われると照れちゃうわ」

『お楽しみの所悪いが、ダンジョンの入り口に巨大な魔力反応だ。恐らく、ジュリエルの召喚モンスターが倒された』

「スタンピードの原因がお出ましね」

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