第三章「魔物って簡単に言うけど、実はいろんな種類が(略」
コックという、ニワトリもどきの魔族になって、ぼくはすぐに自分の愚かさを思い知った。
進化合成をすると、なんとレベルが半分に落ちてしまうなんて、聞いてないよ!
レベル3にまで下がってしまったことに気づかず、強くなったと勘違いしたぼくは、森で出会ったオークに意気揚々と戦いを挑んだんだ。結果は、もちろん惨敗。自慢のクチバシ攻撃は硬い皮膚に弾かれ、貧弱な手羽先では彼の棍棒を受け止めることもできず、文字通り、ボールみたいに蹴り飛ばされてしまった。
全身の羽毛が泥だらけになりながら、命からがら逃げ出したよ。あの時ほど、物を掴める腕が恋しいと思ったことはない。進化するときは、ちゃんと計画的にやらないとダメだね。本当に、危ないところだった。
それからの日々は、まさに修行だった。地に落ちたプライドとレベルを、もう一度拾い集めるんだ。
ぼくは再び、スライムくんたちの力を借り(闇討ちし)、森に住むバットくんたちを「もっと楽しい世界を見に行こうよ!」と甘い言葉で誘っては、強化合宿(強化合成)を繰り返した。
たくさんの犠牲が、ずしりと重くのしかかる。でも、もう後戻りはできない。
そうして毎日、地道な努力を重ねて、ぼくはコックレベル12まで這い上がったんだ。
レベルが上がると、不思議なことに、今まで見えなかったものが見えるようになってくる。頭の中のもやが晴れていくように、この世界の仕組みが、少しずつ理解できるようになってきたんだ。
特に、魔族についての知識は、まるで泉のように湧き出てくる。これは、きっと魔王になるための準備なんだ。ぼくが魔王になった時、どんな姿になっていたいか、どんな魔族たちを従えたいか、ちゃんとイメージしておかなくちゃね。強くて、賢くて、そして、誰からも尊敬されるような、そんな魔王に。
よし、せっかく賢くなったんだ。この世界の魔族について、ぼくが知ったことを教えてあげるよ。
まず、この世界は大きく「人族」と「魔族」に分けられているけど、これは人族が自分たちの都合で勝手に決めた境界線なんだって。
例えば、エルフやフェアリー、マーメイドなんかは、魔族の仲間だけど、人族と友好的な関係を築いている。なぜかって? 答えは簡単、彼らが美しくて、人族の姿に近いからだ。まったく、人族って見た目で判断するんだから。
でも、サキュバスやインキュバスみたいに、見た目は人族にそっくりでも、その能力のせいで警戒されている種族もいる。彼らは夢を操り、人の心を誘惑するからね。面白いことに、とある城下町では、その能力が逆に重宝されて、夜の世界で大活躍してるらしいけど……なんでだろ? ぼくには、まだよくわからないや。
魔族は、大きく分けて14の種族に分類される。「亜人種」「魔法生物」「妖精」「妖魔」「精霊」「アンデッド」「死霊」「巨人」「魔獣」「幻獣」「獣人」「悪魔」「水棲(すいせい)種族」、そして「竜族」。多いよね。
つい最近までぼくが属していたゴブリンは、「妖魔」っていう種族。人族からは忌み嫌われ、その醜い見た目から、悪の象徴みたいに言われているんだ。
そして、ぼくが進化合成したバットくんは「魔獣」。動物に近いけど、魔力を持っている種族だ。その結果、今のぼく、コックも「魔獣」に分類される。妖魔じゃなくなったのは、ちょっとだけ嬉しいかな。
でも、やっぱり腕がないのは不便だ。早くレベルを上げて、石化のブレスを吐くっていう「コカトリス」に進化したいな。そうなれば、この不便な手羽先でも強くなっているはずだから。
じゃあ、夜な夜なおしゃべりしたゴーストくんは、どの種族だと思う? 正解は「死霊」。魂そのものが具現化した存在で、壁を自由にすり抜けたりできるんだ。うらやましいよね。
じゃあじゃあ、スラ男くんたち、スライムは? 魔法生物? ……残念! 「魔法生物」でも「妖魔」でもなく、正解は「水棲種族」なんだ。体のほとんどが水分で、水辺を好むからだって。見た目だけじゃわからないことって、本当にたくさんあるんだね。
そして、これら全ての魔族の頂点に君臨するのが、闇の王、魔王だ。今の魔王は、アンデッド系の魔族だという噂を小耳に挟んだけど、どんな姿をしているのか、どんな力を持っているのかは、まだ謎に包まれている。
ぼくが魔王になった時の姿を想像するんだ。やっぱり、体は大きくて、禍々しいオーラを放っていて、立派なツノも欲しいな。そして、何よりも強くて、かっこいい! 炎の魔法で、敵を焼き尽くしたりもしてみたい。今のコックの姿じゃ、火を噴くなんて夢のまた夢だけどね。
歴代の魔王は、悪魔、幻獣、アンデッド、死霊、竜族といった、名だたる強力な種族から生まれている。でも、一度だけ「精霊」の魔王がいた時代もあったらしい。その時は、人族と魔族の間に争いはなく、深い交流があったんだって。
今のこの世界からは想像もつかないけど、いつかぼくが、そんな平和な時代を、もう一度この手で作り上げてみせるんだ。
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