もっともな戦隊はごもっともな変態!?
阿弥陀乃トンマージ
第1章
オープニング
オープニング
「ぐわあああっ!」
全身黒のタイツを着た兵士たちが軒並み倒される。
「どうだ! 参ったか! 悪の組織め!」
強化マスクで顔を覆い、特殊なスーツに身を包んだ五人の戦士――レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクの五色に分かれている――が得意気に勝ち誇る。
「くっ……」
「お前たちの悪の組織の野望は俺たち、『最上戦隊ベストセイバーズ』が打ち砕く! この世界をお前たちの好きにはさせないぞ! 平和は俺たちが必ず守ってみせる!」
「ちっ、て、撤退だ!」
隊長格の兵士の号令の下、黒タイツの集団がその場から撤退していく。
「ふん、またベストセイバーズの連中が邪魔をしてきおったか、まったく忌々しい……」
悪の組織のとある基地内の一室に、年老いた男の声が響く。どうやらその場所にはおらず、別の場所から、声だけで通信を行っている模様である。
「は、はい……」
「しかし、貴様らも不甲斐ないのではないか? 毎度毎度やられっぱなしではないか!」
「も、申し訳ございません……首領」
幹部クラスと思われる者が慌てて頭を下げる。首領と呼ばれた男が呆れ気味に呟く。
「そういう謝罪もすっかり聞き飽きたわ……」
「や、奴らはなかなかに強力で……自らを『最上』と称するのも頷けると言いますか……」
「そういう弁明ももはや聞き飽きた! というか、納得してしまってどうする‼」
「は、はい!」
幹部クラスの者が背筋をビシっと正す。やや間を置いてから首領が口を開く。
「……何も正攻法で挑む必要もあるまい。搦め手を使うのだ……例えば潜入などだな」
「せ、潜入ですか……?」
「そうだ、奴らの懐に入り込み、徹底的に調査をするのだ。そうすれば、やれ最上だ、やれベストだと言っても、弱点のひとつやふたつ、必ずや見つかることだろう……」
「……そうであれば、首領、私にお任せください……」
黒いレオタードと網タイツに身を包み、黒いマスクで顔の半分を覆った女性が、黒い髪をなびかせながら前に進み出て発言する。首領がそれに反応する。
「ほう、ミスコン……貴様に出来るのか?」
「……ミスコンプリートです……それはともかく、奴らの正体に関しては大体の目星は既に付けております。私ならばベストセイバーズを『完全に』丸裸にすることが出来ます」
「さすがだな……それでは、早速潜入調査を命じる!」
「はっ、吉報をお待ちください……!」
ミスコンプリートは身を翻し、黒いハイヒールをカツカツと鳴らしながら、部屋を出る。
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