第2話
「あれ、ここはどこだ?」
食品の買い出しに出かけたところまでは記憶にあるが、突然、見ず知らずの森の中にいた。
日本の森にしては、漠然と何かおかしいと俺の勘が告げていた。
「ケシャーーーーーーーーーーー!」
「なんなんだよ。この鳥の声……」
そう言って空を見上げると、3mはあろうかと言う鳥たちが、飛び回っていた。
「恐竜か……? いや、恐竜にしては……」
そう思いながら、さっと木の影に隠れ、観察する。向こうがこちらに気づいた様子はない。
「そうか。あれだ。ワイバーン。ってここ、もしかして異世界ってやつか?」
異世界。そう認識すると、今まで感じていた違和感が、すっきりとした。広葉樹のようだが、見たことのない木。
森のようだが、明らかに人の手が入っているが、違和感のある道。
街道というには頼りないが、ここの文明は、きっとそこまで進んでいないのであろう。
ふと思いついて、唱えてみた。
「ステータスオープン」
破反 律
人間(異世界人)
男
17歳
職業 なし
レベル1
体力6
知力150
魔力0
反力9999
運50
スキル
料理
「うわ、まさか本当に開けるとは……体力が絶望的なことはわかった。魔力はないのか……」
異世界で魔法をバーンとやるのに憧れていたのだが……
「この反力ってやつはなんだ? やけに高いが……」
そう悩んでふと空を見上げると、1匹のワイバーンと目が合った。
「やべ」
そう言っても、逃げる場所などない。思わず、腕で顔を覆った。
死を決意した。昔、ちょっとしたズルをした。正義感溢れる思春期の同級生たちには、決して許すことのできないものであったようだ。
“お前ってそういうやつだよな”と、友人たちは離れていった。
責任感を育てさせてやるから、学級委員長にしてやるよ、と学級委員長を強制的にやらされ、全員で無視された。
そのうち、誰からともなく暴力を振るわれるようになった。
そんな目に遭ううちに、学校に行く意味がわからなくなって、不登校になり、引きこもった。
母子家庭で、母さんが働きに出ている間に、俺は家のことをするようになった。
母さんに苦労をかけている自覚はあった。でも、人と関わることが怖かったんだ。
異世界転移して母さん、心配しているかな?
でも、もう終わっちまう……親不孝な俺への天罰だな。
パァァァァァァァ
「なん…だ……これ」
俺自身が光り輝いたと思ったら、ワイバーンが倒れていた。
「もしかして……」
手のひらを上空のワイバーンに向け、狙いをつける。
力をワイバーンに向けて飛ばすイメージで、力を込めると、手のひらからビームのような光が飛び出し、ワイバーンが撃ち落とされた。
「これ、反力か?」
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