1章 13話 1層のボス部屋へ

武が戦闘に入るのを合図に、天津は新しく覚えたスキル "ワークアップ" を武にを使った


「ワークアップ!」


すると、しばらくは何の変化もなかったが、次第に力が漲ってきた。


「やっぱりバフ系か、力が漲ってくるのを感じるな」


武は剣を抜き、ツバメのような魔物に斬りかかった。すると、二体のツバメのような魔物は槍を構え、こちらに突っ込んできた。


武の剣とツバメのような魔物二体の槍がぶつかり合った時、ワークアップのバフの強さをより実感できた。


同レベル帯二体との押し合いに互角までいけるとはな


武は剣を槍から一瞬離し、そこから槍に飛び乗り、加速し、二体まとめて斬撃を放った。


ピヤアアアア!


ギピアアアア!


するとツバメのような魔物は槍を瞬時に構え、突きの攻撃をしてきた。

武はその突きの攻撃を躱そうとするが、あまりの槍の速さと長いリーチで躱せず、ダメージを負った。


かはっ!


右腹部を貫かれて、武はすぐさま距離を離した


「リストア!」


天津はダメージを負った武を回復させた


姫菜のワークアップはまだ継続してるな、このバフ効果がどれくらいの持続時間があるか分からないが、もう一度姫菜にバフをかけてもらうか


「姫菜もう一度ワークアップかけれるか?」

「うん、消費SPは4だけど私のSP容量なら大丈夫。」

「そういえばバフって上限ってあるのか?」

「あるよ、三段階までそのバフ効果をかけられる重複すればそれだけ継続時間が増えるし、さらに対象者の能力がさらに上積みされるよ」

「そういうことかなら残り二段階頼む」

「分かった」


天津はワークアップを二段階かけた。すると、今まで感じたことがないほどの力が漲ってくる感覚であった。


「ああ、すげえ力が湧き上がってくる」


武はツバメのような魔物の間合いを詰め、斬撃を放つがツバメのような魔物は槍で防いだ。だが、武の三段階の力アップのバフによって同レベルの魔物一人では抑えきれず、槍ごとツバメのような魔物を斬り裂いた。


ピギャアアアア!


ツバメのような魔物はそのまま倒れ、消滅していった


武はもう一体の処理に向かおうとしたが、どこにもおらず、まさかと思い天津の方に目を向けた。

もう一体のツバメのような魔物は天津の方を攻撃していた。天津は必死にその槍の突きを防ぎつつ、耐え凌いでいた


まさかこっちに来るなんて…やばいもうこれ以上防げないかも


「姫菜!」

「武君!」


すぐさま魔物の槍の突きを剣で防いだ。


「ごめん、目を離した隙にまさか姫菜を襲ってくるなんて」

「大丈夫だよ、ありがとう武君」


武は思いっきり槍を斬り落とし、スキル技一撃で決めた。


「乱流斬!」


ズシャーーン!!


ピギャアアアア!!!


「はあ…これで門番の魔物はこれで終わりか」


武はレベルとスキルを確認した。



Lv 14

SP 48

使用技 乱流斬 消費SP 3 物

六華閃 消費SP 5 物、氷


「俺もついに新しいスキル覚えたな」

「なんていうスキルだっけ?」

「六華閃だねでもこのスキル物と氷がついてるけど、魔法系なのか物理系なのか分からないな」

「物理系だね。氷だけなら魔法系だけど物がついてれば、物理系統の氷技だね」

「なるほどならあのキラーウルフにも通用するな」

「そうだね」

「回復薬で全回復させてから入るか」


武と天津は回復薬を飲んでからボスの部屋へと入っていた


そこには天津が言っていたように頭を二つ狼の魔物がそこにいた


あれがキラーウルフか



グルル…ワオーーーン!!



Lv 16 キラーウルフ


「姫菜はいつものように後衛で支援を頼む」

「分かってる!」


武は前へと出ると天津はワークアップを唱えバフ効果を付与した


「ワークアップ!」


さて新しいスキルを試す前にまずは普通に戦ってみるか


武は剣を持ち、走り出した。そこからキラーウルフの頭の片方を狙い、斬撃を入れる。キラーウルフは武の斬撃を躱した、そこから武から距離を離した。


な、躱されただと!?しかも俺から距離を離しただと?でも攻めるしかない!


武は斬撃を入れるため近づいていった。それを見た天津はキラーウルフに関しての情報についてはっと気づき、伝え忘れていたことを思い出し、武を引き留めようとした。


「武君!それ以上近づいたら!」


しかし、天津が言った時にはすでに遅く、武はキラーウルフの射程範囲内にいた。

すると、射程内に入ってきた武にキラーウルフは口から炎を吐き出した。



『フレイムブレス』



なっ!口から火を!?


武は躱そうとするが、躱せずその炎に飲み込まれていった


ぐああああっ!!


「武君!!」


まじかよ。姫菜が言っていた炎に耐性があるって聞いたが、そういうことかよ。


なんとかその炎から抜け出し、ほぼ致命傷までのダメージを負っていた


「はあ…はあ…」

「武君すぐ回復するよ!」


すると、キラーウルフは天津に突進していき、吹っ飛ばした。


「がはっ!!」

「姫菜!」


武はすぐさま立ち上がり、新しく覚えたスキル六華閃を放とうとした。


「六華閃!」


しかしそう唱えたが、スキルは使えなかった。


な、なんで!使えないんだ!?


キラーウルフは武の右腕に噛み砕いた


「ぐあああああっ!!」


やけどしたところから血が噴き出し、あまりにも武にダメージ負荷が大きすぎていた

キラーウルフはんそのまま咥えて、遠くへと吹っ飛ばした


「がはっ!!」


くそっ!痛てえ…なんで六華閃が使えないんだ、スキルは習得しているはずなのに。


さっきのフレイムブレスから右腕の噛みつきでかなりのダメージくらったな…これがボス魔物かレア魔物並みにワクワクさせてくれるな…


武はよろよろながらも立ち上がった。


まずは…姫菜の回復だな


しかしそれも難しかった。武が立ち上がったのと同時に、キラーウルフは炎のブレスを吐いてきた。


武はそれを躱し、徐々に姫菜の方へと近づいていった。


「大丈夫か姫菜」

「うんなんとか、ごめんね今回復をかけるよ」


姫菜はリストアと唱えると、武は回復していった


「姫菜の方は回復大丈夫か?」

「うん、さっきの攻撃で咄嗟に回復したから、それよりごめんねキラーウルフの情報伝え忘れてて」

「それは大丈夫だ。俺も聞き損ねていたからな」

「ここで改めて言うけど、キラーウルフは距離を離したときにフレイムブレスを使ってくるのが主なパターン、あとは噛みつき、引っ掻き、突進もある」

「他にもあるか?」

「ごめんもう一パターンあった気がするけど、ごめん思い出せない。」

「そっか、その情報だけで十分だそのフレイムブレスの射程範囲はわかる?」

「うん、射程範囲は半径5m」

「分かった」


武と姫菜は態勢を立て直した


ボス魔物がスキルを使うとはな、フレイムブレス…半径5mか、その時になったら安易には近づけないな、被ダメージも極力避けたいし、ここはディフェンスに徹ししつつ、ヒットアンドアウェイでいくか


武はさっきと同じように、キラーウルフに向かって走り出した。

すると、キラーウルフは唐突にフレイムブレスを撃つ構えをしてきた。しかし、それより先に武は加速して、スキル技を使った。


「乱流斬!」


ズシャンッ!!



グアアアア!!



そして半径5mの範囲からすぐさま離れて、武は態勢を立て直した。


「バフが乗ってない状態でこのダメージが妥当か」

「武君!バフかけるよ」

「ああ頼む」


天津はワークアップを唱えて、武の力を一段階上げた。


「まだまだここから戦いが長引きそうだな」


武はそう言ってボス魔物との戦いの続きに入っていった。



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神里武 E級 Lv 14

SP 48

使用技 乱流斬

六華閃


天津姫菜 E級 Lv 21

SP 74

使用技 リストロ

ワークアップ

──────────────


──────────────

1層 エントランス

ボス魔物 キラーウルフ Lv 16

使用技 フレイムブレス

        ???

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