blue blue ocean, deep black sea

双葉紫明

第1話

肥後もっこす。

ただのロクデナシだった。

僕の父親。

海のない県で彼の庇護のもと。

いや、虐待のもと。

僕の腰椎は、幼い頃に彼に受けたキックで断裂している。

けれどもそんな彼も、人生に一度きり、善い事をした。

たぶん無理して金かけて、それ以上の金を無心に行ったのだろう。

今となってはそう思う。

たとえそうだとしても。

初めての飛行機。

初めての寝台列車。

初めての、九州便。

真っ暗な海が燃えていた。

瀬戸内。

コンビナート。

僕はあの景色を生涯忘れない。

あんなの見せてくれた。

クソ親父、死ねば良いと思う。

けど、それだけ好きだよ。

あとは大嫌いだ。

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