桂沢林道2018

リュウ

第1話 はじめに

 人それぞれの生き方がある

「いい人生だった」とか

「悪くはないかな」とか

「最低だったな」とか

 死ぬ時に分かるのか


 死ぬ時って

 そんな余裕なんかないと思うんだ

 苦しいかもしれない

 悶えるほど痛いかもしれない

 眠りに誘われるように気持ちいいかもしれない


 今は分からない

 死んだことがないから


 急に死んじゃったら どうする

 起きたままでグチャグチャなタオルケットとか

 テーブルに置いたままのケチャップのついた皿

 飲み跡が残ったコーヒーカップとか

 借りっぱなしのビデオやエッチな雑誌とか

 彼女に送りっぱなしのラインとか

 ほおったらかしの約束とか

 いらないものを突っ込んだ会社のロッカーとか


 気にならない?

 恋人や家族や友だちや

 友だちっぽい人とか

 同僚とかが

 自分の残してきた物を見る

 泣いたり

 笑ったり

 バカにしたりされる


 持病を抱えてたり

 高齢じゃなかったら

 終活なんてしない

 自分が死ぬなんて思っちゃいない

 楽しくなりたいから

 一生懸命だから

 死なんて

 頭の片隅に一ミリもない


 何でこんな話になったのか


 僕は2018年にいろいろな時間をもらった

 誰からか貰ったと思うんだ

 誰?

 誰かわからないけど

 

 この時間をもらったから

 これからきっと楽しく生きられると思った


 いままで生きてきて

 多くの情報を得てきたと思っていた

 この場所で見せられたもの

 知らないことや考えなかったことばっかりだった


 ここで出合った動物や昆虫や風景の写真や動画を取り

 ”桂沢林道2018”として

 アイフォンに閉じ込めた

 後でいつでも見れるようにと

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