『私の昔話』

あの時は、凛ちゃんがいなくて…


いつものように近所のイジめっ子にイジめられていた。


凛ちゃんがいないから、いつもより激しくて、服や顔、手足はボロボロ。


そんな時、颯爽と現れて私を、助けてくれた子。


男の子か女の子か分からない。


その子がイジめっ子相手に乱闘を繰り広げている間…


私は、傷だらけで泣いて座り込んでいた。


『覚えてろよ!』


なんて、ありきたりのセリフを吐いたイジめっ子。


私は、ずっと泣いてばかりで。


その子は、白いハンカチを差し出してくれた。


逆光で顔は見えないし、帽子で陰になっていたし。


だけど…


綺麗に伸びた脚を覚えている。


スラリとした綺麗な脚。


「もう…大丈夫だから…泣くなよ」


幼いけど綺麗な声で、私に言ったの。


男の子か女の子か、ほんと分かんなかったけど


素敵な子なんだろうなって…


直感で思った。




このままじゃいけないって分かっている。


強くならなきゃって。


でも、人前に出ると怖くて何も言えなくて…


凛ちゃんがいてくれなかったら、きっと、イジめられたいたと思う。


今だってそう…


何でかは分からないけど、クラスの女の子がイジワルしてくる。


冷やかしとか、私をバカにした事を言うだけなんだけど。


凛ちゃんがいるから、手出し出来ないだけなんだよね。


凛ちゃん、空手部主将だから。


でも、すごく嫌なんだ…


私を見ているとイラつくって言っている。


…そうだよね。


私みたいな女の子…いてもウザいだけだよね。


分かっている。


でも、彼を見ていたいから。


彼ー安藤航平君を、少しでも見つめていたいから。


でも、自分の身くらい自分で守れないと…


いつまでも凛ちゃんがいる訳じゃないんだから…


今日も憂鬱だな。


学校に行ったら、また…


考えるだけで憂鬱だな…


どうして私って可愛く生まれなかったのかな?


お父さんとお母さんを恨んでも仕方ないけど、もうちょっと美人に生まれていたら、違っていた気がする。


うぅん、きっと変わらない。


私みたいな内気な子は、何も変わらない。


こんな性格じゃあ何にも変わらない。


きっと…

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