第二十話 さてガールズトークよ

 さてさて、サンタニールさんとガールズトークね。

 久しぶりだわ、こう、ちゃんと話が通じない相手がね。

 異世界転生とか転移者ってね基本的にイキリ散らしか、無自覚兵器だから困るわね。


「貴女も大変ね、サンタニール」

「……いや、それよりも聞きたいのだが」

「何かしら?」

「おそらくこの気配は暗部の者だろう、何故ここに居る?」


 ふふ、実はさっきから増えていたのよね。

 さっきは3人くらいだったかしら?

 まったく……虫じゃないんだからわかないでほしいわね。

 今はどれ位隠れてるつもりなのかしら?

 ま、ちちんぷいぷいほほいのほい、それで終るけど。


「それはもちろん私を消すためでしょ?」

「なるほど、単純に考えたら……全てセイントの言っている事が正しくなるな」

「あらあら、私を信用してくれるの?」

「ああ、国の暗部は何時から暗殺者集団に成り下がったんだ」

「仕方ないんじゃない? 国に所属している以上、誰かのコマよ? 王族も貴族もね」

「ふむ……言い方が気に食わないが、その通りだ」

「あらごめんなさい? 教養が無いの」


 ふふ、実際に私は教養が無いわ。

 異世界転生とか転移してきた人達から、チートを頂いたりしただけよ。

 もちろん、異世界誘拐犯から守ってあげたり――あら?

 サンタニールさんが、渋い顔をしているわ? どうしたのかしら?


「どうしたの? 考え事?」

「……この国の裏では異世界召喚が行われると」

「正直言って、どの国でもしてるんじゃないかしら?」

「私とて楽観的に考えてはいない、何処の国も大小汚い事はしているだろう」

「あら? 王の側近がそんな事を言っていいのかしら?」

「構わないな公式の場ではない、そして私は容疑者の話に合わせているだけだ」

「あらあらあら容疑者? なんの容疑よ」

「この国が異世界召喚をしていた、と、いう噓だな」

「あらあらあら、やっぱりその線で私を悪人にするのね?」

「暗部がここに居る時点でそうだろう、いや違うか、裏で処理するつもりか? 死人に口なしか」


 流石ね、暗部の存在にもちゃんと気付いている。

 ま、私の魔法で動けないけどね。

 やっぱりこの人強い……いや、これがある意味で普通では?

 そりゃ王の側近なんだから、バカじゃつとまらないわよね。

 

「あらあらまあまあ、私、この国で死刑ですか?」

「させるとおもうか?」

「あら?」

「多分差し金は大臣だろう、大臣と言っても色々と居るし、正直派閥も色々とある」

「国が大きくなると面倒くさいわね~」

「と言いつつ楽しそうだな」

「ええ、それはそうよ? 私は合法的にイキリ散らしたいの」

「……全力でお前の無実を照明する」

「えぇ? 何で? 私みたいな悪人切り捨てればいいじゃない?」

「正直言って、私でも暗部の人間数人には苦戦するだろう」

「そうかしら?」

「……今わかった、お前、30人以上を魔法で止めているな? 私を守ったのか?」

「そうね……私はお話が出来る人が好きなの、貴女は知ってる? 転生や転移者っておバカさんが多いのよ」

「さあな、私は知らない」


 うんうん、そうそう! 知っていても知らないっていいわね~

 何処で誰が聞いていかわからないしね。

 ああ、今は動けなくて隠れている暗部の方々が居たわね。

 流石に殺しとかはしないわよ? カオスじゃないんだから。

 ずっと停止させとくのも可哀想だから、後で解きましょ。

 でも暗部って凄いわね、透明化だったり、狭い所に隠れたり。

 ま、今はいいか、ガールズトークの続きよ。

 

「愚かねぇ多分この機会に、目の上のたんコブの貴女も消しにかかった」

「私は国に忠誠を誓った、不正等は見逃して来なかったからな、恨まれもするか」

「あらあら? 私もこの国のバランスを壊そうとしているわよ? ある意味でね」

「ふっ、話してわかったが、お前は話せる奴にはちゃんと言葉で返す」

「当たり前でしょ? 意思疎通は大切よ?」

「……だが少し面倒くさいな」

「何がかしら?」

「この人数の暗部だ、殺しに失敗したら次はどんな手段に出るか」

「あら? 考えてはいないんじゃない?」

「え?」


 あらあら、サンタニールさんが止まってしまった。

 鳩が豆鉄砲を食ったようって奴ね。

 そりゃ自国の人間が無能と言われたらそうか。

 ……あらあら、考え始めちゃった。


「貴女は少なからず殺し合いを経験しているわね?」

「ああ、国の為にな」

「例えば……それを書面のやり取り、つまりは戦死者を数字とかでしか見ない人間だったら?」

「なるほど失敗すれば……数が多ければいい、そう考えると?」

「ええ、愚かな話ね? 書面とかじゃわからない……絶対的な力があるのに」


 この私のように! 口では言わないわよ? イキリ散らしじゃない。

 やっぱりイキリ散らしは、ちゃんとしたイキリ散らしターンで使いましょう。

 やっぱりサンタニールさんは真面目ね、考え中よ。

 ……ふーむ、本当に書面でしか物事考えない奴が、大臣クラスとは考えたくないけど。


「……確かにアホだ、数で殺せる戦いはそんなに無いぞ、ちゃんと作戦があってこそだ」

「そうそう、だから多分安易な作戦でくるとおもうわよ? 例えば食事に毒をもるとか?」

「……1を知って10を知るとは言うがあまりにも雑だ」

「まあまあ、今の話もさっきの話も私の例えよ? でもそうね、おもしろそうじゃない?」

「は?」

「簡単よ、悪い事ってやればやるほど隠せないでしょ? 隠すにも限界がある」

「まあ確かに」


 悪事って大小やっぱり目立つのよ。

 はぁ……カオスのイキリ散らしを見ていると、全部小さく見えるから困るわ。

 もちろん、この私の所業もね? カオスに比べてかわいいものよ。

 それは置いといて、例え話をしましょう。


「例えばよ? 私の食事に毎回毎回毒を入れれると思う?」

「現実的に考えれば……誰かの弱みに漬け込んだとしても、短期なら出来るだろうが長期では無理だろう」

「そうよね……だから多分、私や貴女を殺せなかった事にアタフタ人間を見てればいいよね」

「……悪人としてレベルが低いのでは?」

「弱い者イジメをして得た経験値は自分を強くしないわ? 貴女も血反吐を吐いて今の地位があるんでしょう?」

「……ああ」


 ふふ、善にしろ悪にしろ努力した者は楽出来る。

 私もイキリ散らす為に……色々と努力したわ。

 あ~懐かしい~私も、あ! 可愛いお花! とか言ってた時期があったわ。

 おのれ異世界誘拐犯……私の青春を返せ。

 ま、今はそれはいいさね。


「ふっふっふっ、明日が楽しみね? 多分弱い者イジメしかしてこなかった奴が、慌てているかも?」

「ふむ……いい機会だ、逆に言えばセイントに便乗すれば国の掃除が出来ると」

「たくましいわね?」

「王の側近はこれくらい考えないとな、いや、考えるのは参謀の仕事か、私は懐刀だ」

「あら、最終兵器ってことじゃない? 信用されてるのね」

「ふっ、そうだといいが」


 おそらく今日は何も起こらない。

 明日以降が楽しみね?

 ふふ、ちょっとこの国を手助けしたくなっちゃう。

 さてはて、どうなることやら。

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