第四話 新天地に来たら行くのは冒険者ギルドさね

 さてはて、ここは『カミッニ』って国の港町だったね?

 名前は覚えなくてもいいだろ、まあ覚えるつもりもない。


「さてはて、どうなることさね」

「んー港町だねー」

「で、これからどうするさね?」

「ふむ、セイント、ちと耳をかせ」

「ん?」


 なんだなんだ? 他に聞かれたらまずい事か?


「ここは国の出入口だ、城がある王都と同じ位、法の目が行き届いているだろう」

「ふむ、それはそうだろうな?」

「まあ何が言いたいかわかるか?」

「ああ、目の届かない所に行くのか?」

「その通り、神の教えがどうのこうの言う馬鹿が居るだろう? ああ、もちろんちゃんとした方々は別な」

「つまりは、自分の私利私欲を肥やしている奴を探しに行くと?」

「ああ、何でもいいから今はイキリ散らしを、散らしたい」

「……異世界転生や転移のイキリ散らしじゃないのかい」

「ああ、そいつらはメインターゲット、他はサブクエストだ」

「なんつー神様の使者だこと」


 はぁ……まあ前の大陸で手伝ってもらったからな。

 まあしばらくは我慢するか、国が3つあるならば……

 影で召喚や転移をしている国もあるだろう。

 ゆっくりと探すか。


「んじゃ、まずは冒険者ギルドだな」

「はいはい、イキリ散らし見本市ね」

「出発!」


 てな訳で冒険者ギルドへ、カオスと共に依頼一覧の掲示板へ。

 まあまあ色々な依頼があるね。

 おや? カオスが迷わず貼り紙を選んだね?


「面白いのがあったの?」

「ああ、イキリ散らしを感じる、どうやら依頼を受けた者を騙す依頼だな」

「それ受けるの?」

「もちろんだ、面白いじゃないか」


 ったく、物好きな奴だ、で、どんな依頼なんだろうか

 うわぁ……笑顔で受付から帰って来たよ。

 はぁ……しばらくこの生活が続くのか。

 まあカオスも、文句言いながら手伝ってくれたし、お返しさね。


「どうやらここからちょいと離れた村に、魔物が出で困っているらしい」

「ああ……」


 いや、よくある依頼だよな、本当に困っているのと、騙すパターン。

 で、村の名前は……ダマッス、いや、偶然か? まあいいか。

 名前なんて歴史でコロコロ変わったり、消えたりするから。

 それに異世界基準の命名に、私達の基準を当てはめるのは、異世界転生や転移者だけだ。

 あ、私も異世界転移者だったか、ふふ。


「さ、とりあえずこの村に向かおうぜ?」

「ええ、どんな出迎えをしてくれるのかしら?」


 今後の為に勉強しておくのも悪くない。

 カオスのイキリ散らし返しをね。

 おやおや? 何やら興味深い話をしている人達が居るねぇ?


「あの2人可哀想にな」

「ああ、あの依頼、ダマッスのだろう?」

「今度の犠牲者はあいつらか」


 ほうほうほうほうほうほうほうほうほう!

 これは面白くなってきたねぇ!

 おっとっと、私は異世界誘拐犯や、にイキリ散らす専門。

 それ以外はカオスに任せないと。


「カオス、今の聞いた?」

「ああ、楽しみにじゃないか、セイント、一緒に踊るか?」

「今回はアンタに任せるよ、独り占めしな」

「おお、こりゃ食い放題だな」


 私達はダマッス村へと向かうのだった。

 さてはて、カオスのイキリ散らしを見届けようかね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る