第7話 ~小さな壁~
『チリリリリ~ン』朝目覚まし時計が鳴る。
もうこんな時間か。ちょっと寝すぎたな。
そういうとリビングに行き「おはよう!」と挨拶をする。
「真吾もうご飯できてるわよ」
そういうと朝飯をペロリとたいらげた。
そして髪をセットすると、ちょっと早いけど学校に行くか。
そう思うとチャリで学校へ向かった。
入ってくる生徒が俺に「おはよう!」と言ってくる。
何か不思議な感覚だったが俺も「おはよう!」と返す。
しばらくすると佐伯が入ってきた。
「よぅ! 車雑誌でも観ようぜ!」俺がそういうと、「ゴメン。今日はテストの復習をギリギリまでやっておきたいんだ」といい断ってきた。
俺は1人でOPTIONを観てるとあゆが入ってきた。
「あなた、よほど余裕なのね。今日はテストなのよ。そんな車雑誌なんか読んでていいわけ?」
呆れて言った。
「テストなんてのは、日頃の積み重ねなんだよ。今更あせったってしょうがない。今日の朝くらいはリラックスしてもいいんじゃないか? お前自称頭いいんだろ?」
「あたしは多分この学年でTOP取れるわよ。でも復習しないとだからじゃあね♪」
そう言って席についてテキストを開いて解く。
所詮中学校のレベルのテスト勉強しないでもいいだろう。
原と真也がゲームしてる間、俺は空いた時間にテキストを何回も解いたが満点だった。
恐れることは何もあるまい。
そう思ってOPTIONの特集記事を観ていた。
そうして先生が入ってきてホームルームだ。
「尾崎、沢渡お前等でかい事を言ってたが学年で10番以内に入らないとそのピンクの髪を黒く戻せ。沢渡も黒髪に戻せ」
そう言ってきた。
「え~そんな~」あゆが言った。
「いいですよ賭けですか?なら俺が10番以内なら俺の事を『さん』付けで呼んでもらって高圧的な態度を改めて下さい」
そんなの無理だという自信が先生にはあったのだろう。
「フンッ。いいぞ。約束は約束だからな」
「こっちこそ約束は守ってもらいますよ」
そうして先生の雑談が始りホームルームの時間は終わった。
あゆが近寄ってくる。
「あんたあんな無謀な賭けして大丈夫? 頭いいとは思えないけど、頭おかしくなったんじゃない?」
「お前こそ学年10番以内を取らないと子ギャル人生終わるぞ」
「私は勉強してきたからたぶんTOPじゃないかしら。真吾こそやばいんじゃないの?」
「まぁ結果が出るまで何とも言えんがな。ワンチャンあるよ」
そういうとあゆは席について問題集を解いていた。
テストは主要五科目の国語、社会、数学、理科、英語だ。
商社勤務だったこともあり英語は自信がある。
他の教科も中学レベルの問題なら難なく解ける。
そして1時限目が始った。まずは数学だ。こんなの公式に当てはめて行けばすぐ解ける。俺は開始20分で全問解き寝た。
後ろの席の奴がトントンと肩を叩いて起こしてくる。
後ろから順に回収だそうだ。
俺はテストを後ろの奴らの上に乗せると前の席の阿部に手渡した。
そうすること4時限。全て20分で解き寝るのを繰り返す。
4時限が終わると昼休みに入った。
弁当を食い終わると佐伯が近寄ってきた。
「噂で聞いたんだけど尾崎君が
なぜか『君』付けになっていた。
「あ~そうだよ。
「
「そうでもねえよ。
と俺が続ける。
「暴走族なんかと関わりもつと停学になりかねないわよ」
あゆがそう言ってきた。
「別に誰に迷惑かけるわけでもねーし、吹っかけられた喧嘩は買うのが俺の信念なんでね」
「バッカじゃないの喧嘩ばかりして、そのうち襲われるわよ」
あゆは真剣にそう言った。
「それよりお前等勉強はしなくていいのか?五時限目は日本人が最も苦手とする英語だぞ」
佐伯は急いで席に着くと問題集を解く。
「あたしは昔から英会話習ってるから中学レベルの幼稚な英文は問題ないわ」
あゆは自信満々に言う。
「俺も英語はネイティブレベルに出来る。なんつっても向こうの暮らしが長かったからな」
「え~真吾留学してたの?」
口が滑ったどうにか言い訳しないと。
「俺の幼馴染がアメリカ人だったんだよ。それでアメリカに行った事があってな」
そう言って強引に納得させた。
まさか未来から来たなんて言う訳にいかないからな。まぁ言っても信じてもらえないと思うが。
そんな雑談をしてるとチャイムが鳴った。
5時限目英語である。
簡単すぎて10分で解いて残りの時間はOPTIONを観ていた。
先生が「カンニングしてるんじゃないだろうな?」と言ってきた。
「じゃあ俺のテストは先に回収していいですよ」そう言うとテストを手渡した。
先生は受け取ると教壇へと戻って行った。
OPTIONにも飽きて中古車雑誌を観る事にした。
やっぱ湾岸攻めるならポルシェターボかな。そう思いつつポルシェを探していた。
さすがに学生が買えるレベルではない。
やっぱりスープラかGT-Rあたりをチューニングか?そう思うとスープラとGT-Rを探していた。
迷っているとチャイムが鳴る。
5時限目が終り佐伯が近づいてくる。
「先生と何か話してて10分位でテスト渡してたけどどうしたの?」
「もう解けたから渡しただけだよ」
「えぇ~10分で問題を解いたの?」
「あの程度普通じゃん?」と俺は言った。
あゆも近づいてきて「先生と何かあったの?」
と聞かれると「何でもねーよ。早く解いたから渡しただけ」
「あたしでも25分かかったわよ。真吾適当に書いたんじゃないんでしょうね?」
「ちゃんと解いたよ。あの程度10分あれば解ける」
俺はそう言うとあゆがビックリしたように話しかけてくる。
「10分で解いたですって?あの量を? やっぱあんたバカなんじゃない?」
「バカかどうかはこの後のテスト発表で明らかになるさ」
社会人と中学卒業したてのレベルの違いと言うやつだ。
明日には結果が発表されるだろう。
「じゃあ俺は別の面倒があるから帰るわ」
そうして校門から出る直前リンカーンマークVがある事に気がついた。
柏は車通学か、いいな~。そう思うと学校を後にした。
テストの問題は持って帰ってきてある。
答え合わせをやってみる事にした。ほぼ満点。ウロ覚えでどうかいたか覚えてないので今度はテストの問題にも答えを書いておこうと思った。
すると真也が窓から入ってきた。
「原は一緒じゃねえのか?」
そう聞くと原はデートだという。ちょっと興味が出てきたので原の彼女って何者なのかと聞いた。
「原の彼女は中学で一緒だった南麻美だよ。女子で1番人気だった奴と付き合うとは原もやるな」
真也が言った。
俺はピンと来なかったので中学の卒業アルバムを観て見る。
たしかに可愛いな。でも中学レベルだ。
女は大学に通う18歳頃になると激的に変わる。
「可愛い子と付き合えて原も自信持てたんじゃね」
「俺も南に中学時代告白したけど振られた。今の原だからイケたんじゃね」
そう言って真也は苦い過去を話してくれた。
「じゃあ今日は2人でゲームでもするか~」
俺はそういうと真也はいいぜと言って鉄拳をやった。
結果は無残にも真也に1勝もできず惨敗した。
「真吾普段ゲームしないから、なまったんじゃね?」真也がそう言う。
残念ながら普段からゲームをしてる奴には敵わなかった。
じゃあ次FF7な。というとゴールドソーサーのスノボミニゲームを2人で交互に始めた。昔熱中したゲームだ。
それでも真也の出すタイムに追いつけなかった。
惨敗だ。「真也速いな相当やり込んでるだろう?」というと
「まぁな、これくらいしか楽しみが無い」そう言った。
俺はデスクに戻ると、真新しいペンに自分の名前をシールで貼ったペンを作った。
「真也これを1万円で買わないか? その代わり誰かペンを買ってくれる人が居たら5000円真也にやるよ。つまり3人にペンを売れば5000円真也の下に入ってくるわけだ。それだけじゃない真也がペンを売った相手がさらにペンを買えば2000円真也に入ってくるぞ」
そういうと真也は「面白そうじゃん学校のみんなに売ってやるよ。これで一儲けだと言うと、真也は1万円を出してペンを受け取った」
余分にペンを渡しておく。
要はマルチ商法だ。そうして明日学校に持ってくペンを買いに文房具屋でペンを買い占めた。
次の日学校で柏の教室へ行き真也と同じ説明をした。
「任せて下さい。売って利益貰いますよ。神鬼没の連中にも売っておきます。」
そう言って柏から1万円を貰うのだった。
教室に帰って佐伯やらあゆ達を呼んで同じ説明をした。結果快く快諾してくれた。
これで俺はマルチ商法の頭となった。
ノートに最初に買った人達を書き記す。そしてそいつらからペンを買った人間も書き記す。
こういうときマイクロソフトオフィスアプリケーションがあれば便利なんだろうなと思った。
何ならウィンドウズを作ってやろうかと思ったがいかんせんソフトの知識が無い。
それならビルゲイツ宛に手紙を出そうと思った。
こうして俺のマルチ商法作戦は始った。1日でかなりの収益を上げている。
女子高生男子高生、族のネットワークは半端じゃなかった。
学校が終わり、俺は家に帰ってペンにシールを貼る作業に勤しむ。
原と真也にも手伝いを要請した。
「お前よくこんなの事考え付くな」原が言った。
「犯罪スレスレだけどね。ま~稼げるときに稼いでおかないと」
俺がそういうと黙々とペンを作る作業が続いた。
500本位作っただろうか、今日はこの辺にする。
「原、真也もういいよ。あとは1人でなんとかしてみる」
すると原がこういった。
「俺も1本買っていい?」
「いいよ。だけど売れなかったら赤字だぜ」
そういうと原は「何人かアテがあるから売ってみるよ」そう言って1本買って行った。
俺は最初の1本は俺から買うこととルールを決めておいた。
そうじゃなきゃまがい物が出てくると思ったからだ。
いわゆるネズミ講の先駆けである。
翌日学校へ行くと、ホームルームの時間に先生が言った。
「テストの結果を廊下に貼り出してある。みんな観て自分の実力を把握するように。」
そして先生がこっちを向いてチッ!っと言った。
俺の学年は4クラス約40名の位の人数だった。
全員合わせても160人前後の人数しかいない。
俺はホームルーム後廊下に出たら横幕のテスト結果が貼り出されていた。
最下位から順に観て行くと最下位は58点。バカもいるもんだな~と思った。
97位に佐伯のが表示されてあった。
あいつ普通にバカだったのか。そう思うと1位の方に向かって歩いていった。
俺の名前があった。尾崎真吾・・・・・・500点。
どうやら満点だったようだ。
2位との差はどれくらい付いてるのか気になって2位を観た。
沢渡亜由美・・・・・・489点。
あの子ギャルのあゆが2位とは度肝抜かれた。
あゆが近寄ってくる。
「まさか真吾に負けるとはね。パーフェクトってどう言う事なの? テストの時は始まって20分位で寝てたじゃない。信じられないわ」
「テストが案外簡単だったんでね。ってゆうか中学レベルの問題なら全問正解できて当たり前じゃね?」
っと俺は言った。
「あたしもどこかでボンミスしたのね。満点取れると思ってたのに」
テスト結果を桐山と塩沢も見ている。
「いょぅ? いい点取れたかい?」と言うと桐山は、「全然ダメだった106位だってよ」
塩沢は「あたしは65位だったわ。尾崎君頭良いんだね」っと塩沢は言った。
「あったり前じゃん。そこらのボンクラとは訳が違うのだよ」俺はそう言った。
目の前にある小さな壁を1つクリアしたような気がした。
なぜか柏も来ている。
「おぅどうした?」
「尾崎さんがどの程度の学力持ってるか観にきたんだ。だけど500点とは度肝抜かれたぜ。1万円のペンといいどこまでも頭がキレるんだな。今度勉強を教えてくれないかな~。俺成績悪いんだ」
「いいぜ。この学校にいる神鬼と鬼没の奴ら集めて勉強会でもしようじゃないか」
そう言うと柏は頭を下げてクラスに戻って行った。
1時限目は担当教師の出番だった。
俺は「約束覚えてるよな? 俺の事は蔑まないように。それから『さん』付け忘れるなよ。」
そういうと、「尾崎さんの賢さは良くわかった。でもピンクの髪は高校生らしくない。次の機会があったら黒髪に戻させるからな」
そういうと授業に入った。
高校の授業だ、どこでテスト問題が出てくるか分からない。
俺は真面目に授業を聞いていた。
1時限目が終りふと気づく。
もしかして同じ授業を受けてる奴らからノートを借りれば授業受けなくてもいいんじゃないかと。
1時限目が終わると佐伯をあゆを呼びノートを見せてくれないかと頼む。
「俺は別にいいけど字汚いよ?」佐伯が言う「あたしもノートみせる位ならいいよ」あゆも承諾してくれた。
そして4時限目が終わるまで爆睡した。
授業が終わって昼休みだ。
俺は佐伯とあゆにノートの見せてもらうことにした。
佐伯のノートは何が書いてるか分からない。漫画を描いてる始末だ。それにひきかえあゆのノートは可愛い文字で綺麗に授業内容を写していた。
あゆにノートを借りると授業内容を頭に描きノートとにらめっこする。
大体書いてることは理解できた。
あゆにノートを返しに行く。
「真吾、そんなんで授業についていけるの?」
「あゆのノートのおかげで授業内容はおおよそ分かったよ。ありがとう」
あゆはテレくさそうにノートを受け取った。
今後はこの作戦で行こう。俺はそう思うのだった。
5時限目の授業は午前中寝すぎたせいで目が冴えていた。
珍しく授業をまともに聞くがノートは取らなかった。
記憶だけで授業を覚えられると思ったのだ。
俺の中には記憶宮殿がある。
記憶の宮殿とは頭の中に宮殿を作り部屋のあちこちに記憶の欠片を置く記憶術。
ハンニバル・レクターが愛用してたものと一緒だ。
俺は授業内容を1つの部屋の多段ある引き出しの中に収めた。
そうして授業が終り放課後となった。
今日は掃除当番の日である。俺の担当はトイレ。
トイレに向かうと汚れている。あちらこちらに「夜路死苦」やらわけのわからん漢字が並んでいる。
俺は几帳面な性格なので汚れをどんどん落としていくのに夢中になった。
同じ掃除当番担当の生徒が「尾崎君、もうこれくらいでいいんじゃないかな?」
と問いかけてくるが、「先に帰って行っていいぞ。あとは俺がやっとく」
そういって掃除当番を帰した。
理科室からシンナーを拝借し壁に書かれた文字を綺麗に消した。
トイレは金運を上げる神様が居るところだ。綺麗にしなくちゃな。
そう思うとトイレ掃除に励んだ。
もう16時だ。ちょっと本気を出しすぎたかもしれない。俺は綺麗になったトイレを観て満足だった。
教室に帰ると柏が待っていた。
「やっと帰ってきましたか。待ってましたよ」
というと柏は真剣な顔でこう言った。
「明日。水曜、初めての神鬼没の集会があるんですよ。モメるのも嫌だし良かったら尾崎さん付いて来てくれませんか?」
「そんな事なら別にいいよ。付いていくだけでいいんだろ?」
「モメ事が起きたら基本俺が対処しますから大掛かりなモメ事が発生したら尾崎さんよろしくお願いします」
なるほど、保険というわけか。
「いいよ。行ってやるよ。ちなみに何時?」
「21時から公園なので20時30分には迎えに行きます。いいですよね?」
そういうと俺は頭を縦に振り頷く。
「そんな事言うためだけに待ってたの?トイレに来てくれたらいいのに」
「仕事の邪魔しちゃ悪いと思って、尾崎さん真剣だったから声かけると悪いかなと思って、待たせてもらいました」
「別に邪魔じゃないけどね。ちょっとトイレが汚かったので真剣になりすぎた。悪い。」
「いえいえとんでもありませんよ。待つのも業務のうちですから」
そう言って柏は帰って行った。
さあて家に帰る前にジムでも行っとくか。
そう思ってチャリでジムに向かった。
「ちわーすコーチ今日もよろしくお願いします」
「おぅ尾崎。最近熱心だな。プロにでもなる覚悟は出来たか?」
「収入が不安定なプロよりサラリーマン選びますよ」
そういうとグローブを付けてサンドバッグに打ち込みを開始した。
『ドスン、ドスン』サンドバッグが揺れる。
真剣に打ち込みをしてると小柳がやってきた。
「やあ尾崎君練習に熱中してるね。素晴らしい」
「何か御用ですかまたスパーリングですか?」
「いやいや毎日のようにスパーリング頼むのは申し訳ないよ。今度の日曜日プロ1試合目が決まったんだ。良かったら観にきて応援してくれないか?」
そういうとチケットを1枚渡してくる。
俺は受け取ると。
「いいですよ。俺が応援する前で負けたら拷問ですよ」
と言ったが「相手のビデオは何回も観て対策を練ってある。無様に負けるようなことは無いよ。減量さえ注意すればね」そう言って小柳は同じくサンドバッグを叩いた。
プロボクシングを生で観るのは久しぶりだな。ライトフライなら12Rまで行って判定だろうと予想していた。
「尾崎ぃちょっといいか?」
コーチに声を掛けられサンドバッグを撃つのを止める。
「今度うちにライト級のプロボクサーが移籍してくることになったんだ。良かったらスパーリングでもしてみないか? 言っておくが相手は日本20位の強敵だぞ」
「ライト級なんて敵じゃないですよ。日本チャンプでも連れて来て下さいよ。けど、20位がどの位の強さか知りたいんでスパーリングお受けします。今日はもう失礼します」
そういうとジムを後にした。
家に帰るとまたもや原と真也が居た。
「原ぁ昨日は来なかったけど何かしてたん?」
「昨日は彼女がうちにお泊りにきてさ。連れて来ようと思ったけど止めたんだ」
「これで童貞卒業か、おめでとう!」俺は声高らかに言った。
「昨日は何もしてないよ。一緒に寝ただけ」原はそう言った。
「男子たるもの寝てる女子を襲うのが義務だぞ。いつから草食系男子になったんだよお前は」
「いや、なんとなく話の雰囲気からね。一緒に寝ることになった。襲おうと思ったけど止めといた。いつでもデキるしな」
「臆病者め、じゃあ今日はAV鑑賞会にしようじゃないか」
そう言ってベッドの下からAVを撮り出すとビデオデッキに入れた。
絡み合いから始まった。
原と真也は食い入るように観てた。
女なんて全部一緒だし観る価値が無いと判断し俺はX-JAPANの曲を掛けながら勉強した。
AVが終わると2人共興奮していた。
「俺もヤりて~」真也がそういうと、「いつでも出来るやん」と俺は言った。
「そういう雰囲気にならないんだよ」と原が言った。
「男ならやらせてくれ!の一言だけで済むだろ?ワンチャンあるかもしれないぜ?暴走族に入って彼女もいるのに童貞は無いだろう。少し考えてみろ」
俺は2人にそう言った。
真也は「今度頼み込んでみる」といい原は「次にうちに泊まりに来たら襲ってやる」と意気込んでいた。
「彼女いない真吾はどうするの?溜まりっ放しじゃん」
原がそう言うと。「俺は性欲が薄いんだよ。別にどうって事ない」そう言い放った。
でも俺も人並みに性欲はある。彼女でも欲しいもんだ。そう思った。
しかし原と真也がうちに来つづける限り無理だと思った。
「さぁAVの後はゲームでもしたまえ」そう言ってPSのスイッチを入れた。
「真吾いやにご機嫌だな~何かあったん?」真也がそう聞くと。
「俺学校のテストで総得点500点だしたんだよね~」
「えっ。そこまで真吾頭良かったっけ?」原と真也が声を合わせて言う。
「俺をナメてもらっちゃ困るな。ま~クズ学校のテストだから簡単だったけどね」
2人は驚いた表情になった。
「勉強も出来て喧嘩も強い、そうなったらモテるんじゃね~の?そのピンクの髪さえ何とかすれば」
真也がそう言った。
「ピンクの髪は俺の魂だ。絶対やめねーよ」
「ピンクの髪なんてこの街にお前しかいないぜ?」
原がそういった。
「だからいいんじゃないか」俺は続ける。
「皆と同じ事してたら皆と同じ人間になってしまう。だから俺は革命を起こしたい。要はムーブメントって奴だ」
「ピンク色の髪は流行らないと思うぞ」
真也はそう言った。
のちにHIDEがソロデビューする頃には一般人でもピンク色の頭してるやつなんて珍しくなかった。
「流行は今から作ればいいんだよ」
「そういえば音楽やらね?」真也が唐突に言ってきた。
「何をいきなり」
「X-JAPANみたいなロックやろうぜ」
原はどうやら聞いているようだった。
俺は元の世界でも2歳から10歳まではピアノ。25歳からはジャズベースを嗜んでいた。
「別にいいけど他のメンバーどうするの? ってか担当楽器とボーカルは?」
「メンバーはこれから集める。俺はベース、原はギター、真吾はボーカル兼ギターでどうだ?」
真也は言った。
「楽器どうすんのよ高いぞ」
「真吾から買ったペンを広めて資金源にする。問題ないだろう」
マルチ商法なんだから問題ありありだろうとか思ったが言わないでおいた。
「じゃあまずは楽器買うのが当面の目標って事だな?」
「おぅよ!」
真也は勢いよく返事をする。
「作詞作曲は真吾よろしく~」原が言ってきた。
「いやいやいやいや。1曲作るのってかなり大変なんだぜ。それに作詞もって言われるとな~なんかコンセプトでもあるのか?」
「ハードでロックチューンな感じで頼むわ。あとコードはTab符でお願いね」
真也が言ってきた。
丸投げにされた気がする。
「バンド名とかどうすんの?」俺が聞くと。
「みんなで考えよう!」
原が答えた。
「結局やるのはいいけど内容は白紙じゃねーか。そんなんで音楽やれるほど甘くねえぞ」
「楽しければとりあえずはいいんじゃないかな。ほら、俺等別々の高校だろ? みんなで何か1つの事やろうぜ!」
真也が無邪気にそう言った。
こいつら口だけで他は全部俺に丸投げである。苦労させられる予感しかしない。
ベースは弾けてもギターはな~。それとボーカル俺ってのもどうかと・・・・・・
「なんでボーカル俺なんだ? 原や真也はやりたくないのか?目立つぞ?」
「俺等には個性が無いから裏方でいいんだよ。ピンク色の髪のボーカルなんてまずいないだろうし」
「そうだよ、やっぱバンドは目立たなくちゃ始らない。X-JAPANだって超目立ってるだろう?」
2人共勝手な事を言う。
「ま~分かったから今日は解散な。明日の夜用事あるから早く寝たいんだよ」
「用事って神鬼没関係か? まぁ俺達も明日集会で走るんだけど」
原が質問してくる。
「ま~そんな所だ。だから明日はうちに集れねえぞ。ちなみに言っとくが帰り寄ろうなんて考えるんじゃないぞ」
俺は釘をさしておいた。
「じゃあまたな~」
「おぅよ!」
そう言って窓から2人が出て行った。
明日は忙しくなりそうだ。そう思っていつも通りシャワーを浴びる。
そしてベッドに入ると明日はどうするかな~と考えていた。
翌日の夜思いも寄らぬ事が起きるとは俺はまだ知らなかった。
Coming Soon!!
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