第10話 これがダンジョン配信ってやつか

「それにしても災難でしたね、中層でイレギュラーに遭遇するなんて、本当間に合って良かったですよ。」

「えぇ、下層の中ボスくらいならギリギリ戦えたんですが、下層の奥の方のボスが出て来るなんて思いませんでした。」


 俺達は少し休憩した後ダンジョンを出る為に歩きながら出口へと向かっている。


「……」

「……」

「……」

「……」


 全員何を話せば良いのかわからず、聞こえるのは互いの足音だけ。

 正直気まずい!気まず過ぎるぞ!


「「あ、あの!」」


 おっと、被ってしまった。


「さ、先にどうぞ。」

「い、いえ私より正人さんが先にどつぞ。」

「じゃっ、じゃあ……」


 レディーに譲られたなら仕方あるまい、俺が先に言ってしまおう。


「さっきからか、華恋さんの後でふよふよ浮いてるのってダンカメですよね?もしかしてダンジョン配信者なんですか?もしかして今も配信中だったり?なんて……あはは……」

「……」

「……」


 おいマジですか?マジなんですか?


「す、すみません!忘れてましたぁ‼︎」


 マジでした☆……嘘だろオイ……


「デスヨネー……」

「は、早く視聴者さんに報告しないと!」


 慌てて華恋さんがダンジョンカメラ、略してダンカメの前に立った。


「視聴者の皆さん忘れててごめんなさい!そして私は無事です!」


 華恋さん声がダンジョンに響く。


:お、やっと気がついたw

:おかえり^ ^

:無事でよかった!

:慌ててる華恋ちゃんかわええ

:俺達を忘れてるなんて、お母さんそんな子に育てた覚えはありません!

:↑知らないお母さんいて草

:知らん男華恋ちゃん助けてくれて感謝!


「ありがとうございます!そしてすみません!」


 華恋さんがダンカメに向かって必死にぺこぺこ頭を下げてる。

 なんか絵になるなぁ……


「これがダンジョン配信ってやつか」

「あるじースズ達はああいう事ダンジョンでやるの?」


 スズが華恋さんを指差す。


「ふぇ?ち、違いますよ2人共!普段は普通にダンジョン攻略してるんで!」

「そうだったんだ」

「そうですよもー」

「あはは」

 華恋さんが頬をぷくぅと膨らませてそう言う。

 うんやっぱかわええな…スズとシズには一生敵わんけど。


「あるじ!モンスターこっち来てる!」


 シズがモンスターを感知したらしく俺に報告した。


「数は?」

「2対だけ、私がやる?」

「いや、俺達だけだったら任せたけど華恋さんがいるから俺がやるよ。」

「うん分かった。」


 少し不機嫌そうにシズが頷く。

 やっぱりまだ怒ってる?これはちょっとご機嫌取りが大変そうだ。


 そんな事は後の自分に任せて俺は腰に掛けていた白殺を鞘から抜き構える。


『Garrrrrr…』

『Garrrrrr…』

「今度はワンコロか」


 モンスター2体の正体は黒い狼だった。

 確かブラックウルフだったっけな?

 まぁワンコロには変わりないからとっとと殺っちゃうか。


「すぅー……『白閃』!」


 赤い牛野郎に使った『白閃』で2匹の首を刎ね、叫ぶ間もなく霧となって霧散する。


「はいおしまい」


 白殺を鞘にしまいそう言う。


「やっぱり凄い……ねぇ皆?」


 華恋さんがダンカメに向かってそう言う。


:何あれ⁉︎

:カッコよ!

:白閃だっけ?惚れたわ

:太刀筋なんも見えんかったわ……

:てか探索者にこんなやついたっけ?

:いや知らんけど強すぎ…

:てか同接多いなおいw

:Waht⁉︎

:japanese SAMURAI⁉︎

:海外ニキまで来てるw


 コメントは大盛況


「凄いですよ正人さん!視聴者の皆さんも褒めてますよ!」

「さすがあるじなの!」

「そ、そこまでか?なんか照れるなてかそれより早く戻らないとな。」

「そ、そうですね!」


 こうして普通に褒められるのはあまりなかったから嬉しいな。


 そんなちょっとした嬉しさを握りしめながら出口へと再び歩き出した。



 ※



 30分後…ダンジョン1階層出口


 特に何も無く普通に戻ってこれた。


「や、やっと戻ってこれた…正人さん今日はありがとうございました!それと視聴者の皆さんも見守っていただきありがとうございます!今日はここまでなのでまた次の配信でお会いしましょう!それではさようなら!」


:おつおつー

:お疲れ様!

:本当生還してくれてよかった!

:これでぐっすり眠れる

:次も楽しみにしてるで!

:少し落ち着いてから配信してな!

:乙


 華恋さんが俺と視聴者に向けて感謝を伝えて配信終了のボタンを押した。


「華恋さんお疲れ様でした。」

「いえいえ、正人さんの方こそお疲れ様です。」

「俺は別にあんま疲れてないんだけどな。」

「またそんな事言って〜。」

「あはは、スズもシズもお疲れ様!帰りにデザート食べに行くか!」

「ねぇシズ聞いた⁉︎デザートだって!デザート!」

「流石あるじ分かってるねぇ、ふふ」

「だろ?だから早く受付に向かおう!」


 良かった、これでご機嫌取りはOKだな。


 早足で受付に向かった。


「正人様⁉︎」

「うわっ⁉︎受付のお姉さん⁉︎」


 突然呼ばれたからびっくりした〜。

 受付のお姉さんでしたか。


「中層の下層付近でイレギュラーが出たと通報を受けていたんですけど生憎中層の下層付近まで行ける探索者が居なくてどうしようか迷ってたんですけど無事戻って来れたようで良かったです!そちらの方は華恋さんですね!」

「はい、彼女がイレギュラーに遭遇してたんで倒して助けました。」

「イレギュラーを討伐されたんですか⁉︎」


 受付のお姉さんの声が受け付け中に響く。


「あ、すみません」

「いえ、全然平気です。」

「それで本当に討伐なされたんですか?」

「えぇ」

「正人さんここは私が」


 華恋さんが割って入ってきた。

 まぁ遭遇した本人が言った方がいいか。


「正人さんがイレギュラーに襲われていた私を助けてイレギュラーを倒したのは本当です!なんなら配信のアーカイブも残ってるので確認してもらって構いません!」

「分かりました。」

「あぁそういえば忘れてた、討伐したイレギュラーの素材なんですけど全部買取してもらえないですか?」

「は、はい今担当の者を呼ぶので少しお待ち下さい。」


 あぁ、まだもう少し長くなりそうだな。


 そんな事を思いながら担当の人が来るのを待つ。



 あとがき


 こんばんは!今日は久々に早い時間に更新できました!

 それはそうともうすぐ作品フォローが200人行きそうでなんとも嬉しい気持ちです!

 これからも頑張って行きたいと思っている所存です!

 なのでもしよかったら作品フォロー、☆レビュー、♡などなどよろしくです!

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