異世界転生した武闘家、道場を作り美少女を育成してみたらハーレムになった

奥野ミズオミ

第1話 1

1


 柳生やぎゅう 冷れいは25才の日本人である。


 現在、冷は日本人のひとりであり、誰も彼には勝てない程に強いというのが定説となっている。


 理由はあって、冷には伝統的に幼い頃から超人的にナギナタを教え込まれてきた為であった。


 柳生流ナギナタの極意という流派で世界最強の武道とも言われている。


 冷はその柳生流ナギナタの極意の継承者として鍛えに鍛え抜かれたのが理由。


 その冷にも悩みがあった。




(ああ、俺って金が無いな)




 世界最強にして無敗の冷にはある悩みがあった。


 ごく普通の人が持つ会話能力からすると極端に低かった。


 人と接して会話するのが大の苦手であり、その為高校を卒業して数年経ったが、いまだに無職という状態であった。


 昔と違い仕事をするには、現代の時代はコミュニケーション能力が必要だからである。




(可愛い女の子と会話してみたいな)




 さらに会話出来ないため、女の子とも接触は一切無し。


 手も握ったことさえ無いという始末となった。


 世界一の武道家なのにとても残念な結果となっていて、冷はというと武道の訓練が終わると、部屋でスマホゲームを楽しんでいた。


 もちろん無課金なのは無職だけに仕方なかったが、両親もニート同然の息子を心配していた。


 


 そんなある日のこと、冷は部屋でゲームをしていて時間を過ごしており、いつも通りであった。


 だがその時に冷の頭の中が突然に真っ白になってしまい、アレっ! と思ったのだが、その時には意識は無くなっていた。




 意識は無くなってから、目を開けると不思議な事に意識はあった。


 ふと、冷は辺りを見てみると、見たこともない風景に驚くしかない。


 一面何もない風景が続き、建物も木も何もないのだった。


 これで驚かない人間はいない。




(なんだぁ〜。ここはどこなんだ? 俺は死んだのか。風景からして日本ではなさそうだ)




 冷が困っていると1人の女の子が突然現れたので、二度びっくりした。


 女の子は青色の髪の毛で白いローブを着ている。


 冷よりも若い感じの女の子で、冷には何者かもわからない。




(誰なんだろうなぁ。それにしても可愛いけど、俺は女の子と一度も会話したことないんだけど)




 正体不明でも可愛いから、つい良いなぁと思ってしまう情けない武道家であった。


 


「ようこそ冷、ここは転生の間よ。あなたの知らない世界」




 青い髪の毛の子が言った。




「転生の間……君は誰なの?」




「私は神族のアリエル。まぁ平たく言えば神でして、あなたをこの転生の間に呼んだの。あなたは死んだのよ。それで異世界の世界に転生することに決めてやったってわけ。つまりは選ばれたのだ。おめでとうと言ってあげます」




「君が俺を殺したと……。おめでとう、じゃないだろ!」




 冷は死んだと聞き、あの世なのかと思った。


 青い髪の毛がアリエルであり聖なる神秘さをかもし出している。




「ザックリと話すと、あなたが行く予定の転生先の地は一兆個ある異世界で最悪の地。魔王や魔人が生息する世界。特に魔王はとっても危険な存在でして、つまりは冷に倒して欲しいのよ、あなた強いのは知ってるから」




 アリエルは申し訳なさそうに頼みこんだ。


 魔王が生まれたら、全ての異世界をも破壊しかねない程の力を備えると言われていた。


 現在までに伝説的な冒険者と言われる者を送り込んでも失敗に終わっていて、魔王どころか配下の魔人にさえ歯が立たない有り様。


 行ってくれるだけで、ありがたいと思っていてお願いする形になった。




「待てよ君は、アリエルと言ったな、神族なんだろ。それならさぞかし強いだろう。自分達で殺せば済むことだろう」




 冷は当たり前の事だと思い、言ってのけた。


 魔人や魔王などと倒せと言われても面倒くさいと感じたからである。




「私は倒せないの。なぜなら転生の間での仕事があるから。他にも転生者が来るのを振り分けるのが役目。そうね……いきなり行けと言われても困ると思うので特別にスキルを用意できます。冷のこれまでの生きた人生からぴったりのスキルを渡します。それで承諾してもらいたい。いいかしら?」




「異世界に行っても生きて行けるようにか。どんなスキルだよ!」




 冷は仕事があるからという理由には納得がいかないものの、あらゆる武術に精通した武道家としてはスキルという言葉に大変な興味を持った。




(スキルか。ちょっと興味深いな。俺の特有のスキルがもらえるなら、それを見てみてからでもいいかな)




「それでは判定します……」




 アリエルは冷に向かって両手をかざした。


 アリエルには転生者の過去から最も相応しいスキルを判定する能力があった。


 そのまま異世界に送っても無駄死にしない為もある。


 少しして判定の結果が出た。




(俺のスキルか。どんなスキルだろうなぁ! わくわくするぞ〜〜)




「判定の結果を報告します。こ、こ、これは珍しいスキルが!」




「早く言ってくれ!」




「スキルストレージ。このスキルは超絶にウルトラレアなスキルとなります」




「スキルストレージだと? 詳しく教えてくれ」




 冷は名前だけではよくわからなかったので説明を求める。


 実は大変な貴重なスキルであった。


 このスキルを与えられる者は皆無であり、アリエルもいまだ知らないのだったので初めての該当者に言葉を失った。


 それ程までに貴重なスキルであった。




「戦った者の持つスキルをスキル庫に記憶させる能力。一度記憶させればそのスキルを自分で使えるのです。なぜこのスキルを冷が該当者なのかは理由はわかりませんが、強力なスキルと思っていいですよ」




「なるほどな。相手からスキルを覚えれるのだな。それは戦えば戦う程強くなっていくのかな。ちょっと面白いかも」




(戦えば戦う程に強くなれるわけで、楽しみだなぁ。まさに戦うのが好きな俺の為のスキルらしい)




 すると頭に文字が現れる。






*柳生やぎゅう 冷れい




性別 男


種族 人族


称号 


ユニークスキル スキルストレージ 


職業 無職狂戦士バーサーカーレベル1




体力  9


攻撃力 9


防御力 9


魔力  9


精神力 9


素早さ 9






剣術レベル9


柔術レベル9


槍術レベル9


弓術レベル9


斧術レベル9






 現れた数値は冷のステータス数値であった。


 通常はほぼ1であるが、冷は日頃から鍛錬し最強の人間レベルまで達していた為に、レベル9


であった。


 そして職業が無職狂戦士となっていた。


 これも実際に10年以上に渡りニートだったから。


  


(確かにスキル欄にスキルストレージとあるな。まだ獲得スキルはないようだ。ただ職業が無職狂戦士バーサーカーてのは何だろう。日本にいた時のを受け継ぐのかもな)




 レアなスキルと聞き武道家として楽しみな展開になっていた。


 冷はこの時気づいていなかったが、世界最強の武道家になるまでに相手の動きをよく観察し技を盗むのは得意としていたのである。


 その武道家としての経験がスキルストレージの能力へと繋がっていたのであった。


 正に冷の為のスキルであり、冷にしか使いこなせないと言って差し支えないだろう。


 こうして冷は死んだ。


 その後に新たに史上最悪の異世界に旅立ちが決定した。


 スキルを手にして今さら断われないのもあるにはあるが、魔人やら魔王と戦いたい気持ちも湧き上がるのでアリエルの話しに乗ることにした。




(俺が行ってやろうじゃんか!!!)


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