青い The First Flower in the Dark

16Vitor-1-07010

第1話 The First Flower in the Dark 01

 青い。


                   第一章

 人混みの中で、誰も他人のことを気にしない、盗みさえ日常になるほどだ。誰とも話さない...当然、人が多過ぎて、話すことは無理だろう。

 それでも、自分の声を届けて、自分の世界観を全員に知ってもらいたい。私は救世主でも、希望の象徴でもない。ただの不良の女の子だ。だけど、普通の女の子でもない。自分の名前と同じ色にポニーテールを染めていく。自分の名前を上着の後ろに縫い付けていくつもりだ。

 目標は注目を集めることじゃない。

 その先へ。


               The First Flower in the Dark


 日本、東京。 2094年6月16日。

 自動ドアが開き、涼しい夜風が私の膝まで届く長いポニーテールをそっと揺らす。

 階段を降りると、アパートの入り口の前に黒い車が停まっているのが見える。 運転手はタバコを窓から歩道に投げ捨て、その視線は冷たくて孤独で、まるで他人の人生に死を持ち込む者のようだ。

 私が近づき、車のドアを開ける。車内はタバコと香水の匂いが強い。

 後部座席の窓側に座り、必死に窓を開ける。

 隣の席にドレスが置いてある。なぜ車にはドレスがあるのだろう? このオッサンが何をしていたのか、想像すれば一目瞭然だ。

「目的地はどこだっけ?」

「スマホが送ってくるところ、お嬢さん」

 車は走り出す。

「学校どうだった、青い?」

「最悪...」

 窓の外を眺める。目の前で瞬く街のネオン、そして二度と見ることがない自分のアパート。

「...」

「あんなことが起こるほど最悪だった...ニュース見た?」

「全国が注目している」

「なぜか学校中、私が犯人だと思い込んでいる......逃げたのは私なのに、私が犯人? 今の世代はバカすぎる......」

「彼らを責めるなよ、青い」

「あのホラーシーンは私のせい? どうやって考え出したの?」

「答えはもうわかっているはずだ」

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