第17話 雪だるま
白い世界がジョン達を迎えた。まるで世界が生まれ変わったようだとジョンは感じた。
「さぁ、雪だるまを作りましょうね」
「は~い」
「ジョンも手伝って。けっこう力仕事なんだから」
「もちろん」
始めは小さな雪の塊を転がして、だんだんと大きくしていく。
「これは大変だな」
「そうでしょう」
大きくなった雪の塊をさらに三人で転がしていく。
そしてもうひとつ、同じ作業で雪の塊を作り上げ、雪だるまは完成した。
「雪だるま、完成!」
「でもなにかものたりないよ、おかあさん」
「顔と手じゃない?」
「そうだね!」
マリーは家の中から適当なガラクタを持ち出してエリーに見せた。エリーはそれらを使って顔と手を作った。そして仕上げにパーティーで使う三角帽子を雪だるまの頭に乗せて本当に完成させた。
エリーは「動けば面白いのに」と言った。この体験はロボットへの関心を深めることに繋がった。
マリーはそんなエリーを写真におさめていた。1枚また1枚と思い出の写真は増えていった。
「エリーと一緒にどう?」
ジョンはマリーに促した。
「そうね」
マリーは自分のRBフォンをジョンに渡すと「きれいによろしく」と言った。
「もちろん」
ジョンはマリーとエリーそして雪だるまを1枚の写真におさめた――次の瞬間、マリーはよろめいて地面に倒れた。ジョンはマリーを抱き上げ、急いで家の中に連れていった。
「すみません! 救急車をお願いします!」
「何事だ!?」――剛。
「マリーが倒れました!」
「わかった! すぐに連絡しよう!」
人の運転する救急車は自動運転車に比べて速度や信号などに融通がきく。剛は救急車に連絡するとマリーの手を握り「私のせいなのか」と呟いた。それを耳にしたジョンは昨日のことを思い出していた。
「必ず元気になりますよ」
ジョンはそれぐらいしか言葉にできなかった。
マリーを乗せた救急車は総合病院に向かった。追うようにして、ジョンと剛も自動運転車で向かった。
エリーと節子は家に残った。そこにはエリーの泣き声が悲しそうに響いていた。
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