27
時に君、文学とは何と心得るかね?
いや、君を困らせるつもりはなかったんだがね。
単なる思い付きだよ。
空が飛べたらとか生まれ変わったらとか、
そういう他愛もない空想の類だ。
意味などないさ。
・・私かね?
私は
”文学とは文字の間に空想のあるもの”
と言う言葉を推している。
これも私の思い付きだがね。
しかし思い付きとは言え
私の哲学には違いないのだろう。
私は繊細な描写で
読者の眼前に映像の流れるような文章を書けぬし、
壮大な長編も書けぬ。
だがね君、
文字を並べる作業は偉大な文筆家にだけ
許されたものではないはずだろう?
例えば過去を、季節を、独白を、
或いは意味のない言葉遊びのようなものを。
私は切り取って君に見せることが出来る。
まぁ、出来るとは言ったがね、
その実これしか出来ぬと言うのが本音だ。
結局のところ
私は出来損ないの物書きという訳さ。
いや、すまないね。
すっかり愚痴めいてしまった。
そういう空想にするつもりは
なかったのだがね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます