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果物が目の前にあるとしよう。

そうだな、赤いリンゴだ。

君はまず何を思う?


赤いと思います


それから?


美味しそうだと


それから?


食べるかどうか考えます


その場合リンゴはすでに君のものということだね?


あぁ、人のリンゴの場合もあるのか


いいだろう、今日は君のリンゴと言うことにしよう。

では君はそのリンゴを食べるかい?


・・・いいえ


なぜ?


食べたら無くなるからです

僕によってリンゴが失われてしまう


君は君のリンゴを奪いたくないと?


えぇ


リンゴが君のものである時点で、

君に奪われているとは言えないのかい?


・・・僕が失いたくないのは、

今目の前にあるリンゴそのものなのです


ほぉ・・


赤くて丸い今のリンゴを失いたくない


赤くなく丸くもないリンゴは嫌いかい?


嫌いという訳ではありませんが


が?


僕はそれを美しいとは感じない


赤くて丸いのがリンゴの美しさという訳か。


・・・違いますか?


いや。美の基準なんてものは存在しないからね。

正解も不正解もそこには無いのさ。

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