反出生主義

あなたは親に対して、

「産んでくれなんて頼んでない」

ということを言ったことはあるだろうか。

思春期の少年少女に特有の言葉だが、

論破するのは難しいことに気づくだろう。

反出生主義という言葉がある。


反出生主義とは、

「人間が生まれること」を否定する思想だ。

反出生主義は古代ギリシャや古代インドの

時代から始まった。


仏教の開祖ブッダは、「子を持つなかれ」

と説いている。彼は「人生は苦しいものである」

という一切皆苦を唱えているので無理もない。

物事が上手くいかずに苦労することを

四苦八苦(しくはっく)というが、

元々は仏教用語で、人間が生きていくうえで

避けられない苦しみのことである。


その他にもショーペンハウアーや

ドストエフスキーなどが反出生主義を

支持するような立場を取っている。

反出生主義の根拠である理由は主に2つ。


1つ目は苦痛回避論。

生まれてくると苦痛を感じる。

生まれてこなければ苦痛を感じない。

だから全ての人は生まれない方がいい。

という考えである。


2つ目は快楽と苦痛の非対称性だ。

苦痛があるのは悪いが、

快楽がないのは別に悪くはない。

よって人は生まれない方がよい、というものだ。


注意しておきたいのは、

反出生主義は今生きている人の

自殺や殺人を促す思想ではない。

これから生まれる人のことを考えているのだ。

また、貧乏な人は子どもを産むべきではない

という主張など、

〇〇な人は子どもを産むべきではない

というものでもない。

それは優生思想などが関係するのだが、

今度話題として取り上げようと思う。


次に、反出生主義のメリットと

デメリットを挙げよう。


メリットは、人口増加による資源の枯渇、

環境汚染、貧富の格差などを

防ぐことができることだ。

デメリットは、

子どもを産むか産まないか、

いつ・何人子どもを持つかを自分で決める

権利である「リプロダクティブ・ライツ」

と対立する恐れがあることである。

反出生主義者だとして、妊婦さんなどに対して

子どもを産むことを糾弾するような

ことを言うような人がいたら

流石に自分のデリカシーのなさを疑うべきだ。


反出生主義に対して私自身の意見を言うならば、

今のところ賛成だ。

恐らく今の私の精神疾患が、

生きるのは苦痛だ

という考えを誘い込んでいる可能性がある。

精神疾患があるから反出生主義者になったのか、

反出生主義者だったから人生の苦しみに

対して繊細になって精神疾患になったのか。

これから徐々に自分の心情を把握していく。


反出生主義は、

「交通事故が起こり得るから

車の運転に反対だ」という意見に

案外近いかもしれない。ただ、

命に直接関する議論なのでそこまで

単純に話すことは出来ないが。


あなたは反出生主義についてどう思うだろうか。

ぜひ教えてほしい。

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