第2話

 男は自分に与えられた部屋へと戻るため、歩を進めた。


 帰りも辺りは灯り一つなく、けれども男の足に迷いは無かった。


 カツカツとリズムよく革靴の足音が廊下に響く。


 男は暗闇を見つめながら歩を進めた。


 男は先程の声の事を考えていた。


 『あわ、、、な、子』と聞こえた。哀れな子供とでも言ったのだろうか?


 男は考えた。


 自身の年齢は知らない、または分からない。


 何故なら男は気がついたらこの”場所”に居たのだから。



 目を開けて暫くしてから自分がいつからこの場所に居たのか疑問を持った。


 しかしすぐに興味を失った。


 またはこの先数え続ける事を考えると面倒に思い、目が覚めてからの日数を数えることはしなかった。


 よって男は自身の年齢を知らない。


 自身は子供に見えるのだろうか?そこまで考えると男は自分が子供だったとしてそれで?と考え思考を止めた。


 これ以上考えても仕方がない。


 そう思い思考を打ち切ったのだ。


 (例え自分が子供だったとしても自分のする事は変わらないだろう)


 そう確認するように考え、自身の部屋へとひたすらに歩を進め続けた。

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