第48話
「もう一度お願いします」
ソフィアはコンラッドにそう言った。
コンラッドとアレンは顔を見合わせる。
コンラッドは肩をすくめてソフィアに言った。
「それで結果が変わるとは思わないな。それともなにか秘策があるのか?」
「それはないですけど……。でもこのまま不合格じゃ納得できません」
「甘いな」
コンラッドは嘆息した。
「もし今のが本番だったらお前ら全員殺されてるぞ。お前らが戦おうとしてるのは人間の力を遙かに超えた化け物達だ。そんな覚悟じゃマナも魔力も桁違いに上の相手と戦って生き残れるとは思わないな」
「う……」
ソフィアは言葉に詰まった。
他の生徒達も反論できない。
既に引退しているコンラッドに手も足も出なかったのは事実だった。
コンラッドが背を向けて歩き出そうとした時だった。
クロエが前に出て言った。
「だけどそれは今に限ってのことですよね」
コンラッドは足を止めて踵を返した。
「……今じゃなければどうにかなるとでも?」
「分かりません。ですがどうにもならないとも限らない。少なくとも私はそう思いません」
「……大した自信だな」
「それがなければここにいません」
クロエの瞳には覚悟があった。
「俺も」
ルークが一歩前に出る。
「強くなります。騎士ですから」
ルークの瞳も強く燃えていた。
その覚悟は他の数人の生徒にも伝染していく。
ソフィアは言った。
「私達はまだまだ強くなる。だからもう一度チャンスをください」
生徒達の気迫に押されたコンラッドはやれやれと頭の後ろを掻いた。
「困ったな……。若さってのには……。自分の考えが老けてるんじゃないかと思わされる……」
コンラッドはふぅっと息を吐いた。
「仕方ない。一週間後に再試験だ」
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